「地球の歩き方」的「インディ・ジョーンズ」の旅! ~④『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』編~

公開日 : 2023年06月29日
最終更新 :

1981年の公開からスタートした映画「インディ・ジョーンズ」シリーズは、ハリソン・フォード演じる主人公の考古学者が、自身に降りかかるさまざまな危機に立ち向かいながら宝物を手に入れる冒険物語。スクリーンには、実在する世界各地の名所や史跡も次々と現れ、映画ファンはもちろん、旅好きにとっても見応え抜群な内容になっている。2023年6月30日には最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が全世界同時公開! それを記念し「インディ・ジョーンズ」シリーズより、今回はシリーズ第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』の世界を紹介しよう。さあ「地球の歩き方」が冒険の旅にご案内!

シリーズ第1作『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』の旅はこちら
シリーズ第2作『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の旅はこちら
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謎がいっぱいの水晶髑髏(どくろ)が本作の宝物

古代エジプトの展示が充実している大英博物館、ドクロはどこに!?
ⒸDongurihouse 古代エジプトの展示が充実している大英博物館、ドクロはどこに!?

2008年に公開されたシリーズ第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』の舞台は、前作『最後の聖戦』から約20年の年月が過ぎた1957年。時代は米ソ冷戦の真っ只中だ。毎回、世界の宝物をめぐって争奪戦が繰り広げられる本シリーズ。今回のターゲットとなったのは「クリスタル・スカル」、その名のとおり水晶で作られた髑髏(どくろ)だった。不思議なパワーがあるとされるクリスタル・スカルを狙うソ連軍とインディとのバトルが始まる。

実はクリスタル・スカルは実在するもの。当初は中南米の考古遺物とされていたのだが、硬度の高い水晶を傷つけることなく造形する技術がその当時にあったのか、と疑問視されているシロモノだ。こういった、時代の科学技術と制作物が見合わないものをオカルト世界では「オーパーツ」と呼ぶ。なんとあの大英博物館もクリスタル・スカルを所蔵しているのだそう。さすが270年もの歴史を誇る世界最大級の博物館、オーパーツまでコレクションしているとはすごい!

■大英博物館(イギリス)

URL
https://www.britishmuseum.org/
※企画展を除き入場無料。一度に入れる人数に制限があるため、ウェブサイトからの予約を推奨している。
画家ジョージア・オキーフが愛した場所としても知られるゴースト・ランチ
画家ジョージア・オキーフが愛した場所としても知られるゴースト・ランチ

広大な草原を真っすぐに突きぬける道路で、若者たちが軍用車とスピードを競う場面から始まる本作。遠くに赤茶けた岩壁が見え隠れするこのシーンは、アメリカ、ニュー・メキシコ州の町アビキュー近郊の「ゴースト・ランチGhost Ranch」で撮影された。
ん? ゴースト? 幽霊? これはまたスピリチュアルな地名ではないか。また、ここは画家ジョージア・オキーフが描いた自然豊かな場所としても有名。彼女が描く具象とも抽象ともつかない美しい花、聖なる力を感じさせる牛の頭骸骨の画……。ん? 骸骨? 青春映画『アメリカン・グラフィティ』さながらのカーチェイスの舞台にも、これから待ち受ける「不思議世界」を感じてしまうのは、気のせいか?

ゴースト・ランチは、近年、新たな旅のスタイルとして注目されている「リトリートRetreat」のスポットとして人気を集めている。リトリートとは、数日間、日常のルーティンを忘れて静かな場所で過ごし、心身ともにリセットすること。自然と触れ合うハイキングやトレイルで物足りない人も、乗馬体験でインディの冒険気分が味わえそうだ。滝を真っ逆さまに急降下! というわけにはいかないが、夏ならラフティングも楽しめる。

軍の倉庫には、第1作で争奪戦となったアーク(聖櫃)もあった!
© & TM 2023 Lucasfilm Ltd. 軍の倉庫には、第1作で争奪戦となったアーク(聖櫃)もあった!

インディが拉致され、連れて行かれたのは「軍の倉庫(エリア51)」。木箱が無造作に並ぶ倉庫、ここにチラッと見えた黄金の聖櫃をインディのファンなら見逃すまい。それはともかく、今回KGBのイリーナ・スパルコが探していたのは、ロズウェル事件でアメリカ軍が手に入れた箱。ロズウェル事件とは、1947年(本作設定の10年前)に、墜落したUFOと宇宙人をアメリカ軍が回収し、秘密裏にエリア51に運んだ、とされる事件。今でも世界中のUFOファンの耳目を集めている、聖地といっていい地名だ。

ロズウェルにはUFO博物館があり、毎年宇宙人に扮した人でにぎわうUFO祭りが催される。一方、エリア51は長らく存在すら隠されていたが、2013年になってようやく基地があることを米軍は認めた。もちろん、基地に入ったり近づくことはできないが、近くを通る州道375線は「エクストラテレストリアル・ハイウェイExtraterrestrial Highway(地球外生命体ハイウェイ)」と呼ばれるようになった。こちらには、エイリアン・リサーチセンターがあり、「Extraterrestrial Highway」の道路標識も出ているのでドライブの際はお見逃しなく。

倉庫から脱出したインディは、次なる試練「核実験」に遭遇する。冷戦時代の負の部分が垣間見え、ちょっと考えさせられるシーンだ。

マットとの出会いのシーンに使われたエセックスの蒸気機関車
マットとの出会いのシーンに使われたエセックスの蒸気機関車

インディとともに冒険の旅に出るマットと出会うシーンが撮影されたのは、アメリカ、コネチカット州のエセックス。インディが乗っていた蒸気機関車は、観光列車として運行しており乗車が可能だ。19世紀末から20世紀初頭にかけての雰囲気が残るアンティークな客車で、峡谷の風景を眺めながら、レトロな鉄道の旅を楽しめる。

■エセックス・スチーム・トレイン Essex Steam Train(アメリカ)

イェール大学
イェール大学

毎回、絶体絶命のピンチから奇跡の脱出を遂げるインディ。大胆不敵な冒険家のイメージが強いけれど、忘れちゃいけないのは、インディの本業は考古学者で大学の教授だってこと。大学での講義シーンも何度か登場する。しかしその学びの場が、まさかのカーチェイスの舞台となってしまうのが、本作。撮影が行われたのは、アメリカ、コネチカット州ニューヘイブンにあるイェール大学のキャンパスだ。18世紀からの歴史をもつ名門大学で、ゴシック様式の重厚な校舎が並ぶなか、派手な追跡劇が繰り広げられる。
マットの運転するバイクで図書館に乱入するインディ。学生の質問に「真の考古学者は図書館などに用はない!」と叫ぶ。ちなみに前作『最後の聖戦』では「考古学は図書館でするもの」と言っていたけど。
学生によるガイド付きツアーに参加すれば、この図書館を含め舞台となったキャンパスを回ることができる。

■イェール大学のキャンパスツアー(アメリカ)

ナスカの地上絵がスカルを見つけ出すヒントに

蜘蛛を描いたものといわれている地上絵
蜘蛛を描いたものといわれている地上絵

クリスタル・スカルがナスカにあることを突き止めたインディとマットは、ペルーに向かう飛行機に乗り込む。ナスカといえば、誰もが思い浮かべるのが「地上絵」。映画のなかでも、飛行中に地上絵の上空を通過する。紀元前後から800年頃にかけて描かれたとされるが、その目的は解明されていない。地表の小石を取り除き、地面を露出させる方法で描かれた鳥や動物は、ナスカ空港やリマに近いイカ空港などからの遊覧飛行で観ることができる。

ちなみにオカルト世界での「ナスカの地上絵」と「宇宙」の関係は深い。地上からは理解不能、空から見なければ全容がわからないという巨大アートは、宇宙人からのメッセージ、宇宙船の発着基地(目印)など、今でも議論がつきないのだ。ぜひ自らの目で確かめてほしい。

絶体絶命? 車ごと滝にダイブ!

車をボート代わりに激流を下るインディたち
© & TM 2023 Lucasfilm Ltd. 車をボート代わりに激流を下るインディたち

大胆な行動に出るのはインディだけじゃない。ソ連軍の追跡をかわしながら車を運転していたインディの元婚約者であるマリオンの度胸たるや。崖まで追い詰められてもはやこれまでかと思ったら、なんと車ごと谷底にダイブしてしまう。着水後も次々と現れる滝にダイブの連続!
水しぶきをあげながら、断崖絶壁を流れ落ちる滝の風景は、アルゼンチンとブラジルの国境にまたがる「イグアスの滝」で撮られた(キャストの場面はハワイで撮影)。ナイアガラの滝、ヴィクトリアの滝とともに「世界三大瀑布」に数えられるイグアスの滝だが、そのスケールは桁違い。滝幅は4kmにも及び、大小275もの滝で構成されている。最大落差こそ約80mだが毎秒6500トンもの水量は圧倒的だ。ハイライトとなっている大滝「悪魔の喉笛(のどぶえ)」を眺められる展望台もあるが、インディの冒険を疑似体験するなら、滝壺に迫るボートツアーに参加するのが一番。激しい水しぶきで全身ずぶ濡れになりながら、大迫力の滝を体感しよう。

■イグアス・ジャングル IGUAZÚ JUNGLE(アルゼンチン)

黄金都市「アケトー」のモデルと思われる遺跡

チチェン・イッツァのピラミッド「エルカスティージョ」
チチェン・イッツァのピラミッド「エルカスティージョ」

三度滝から落ちても不死身のインディたちは、クリスタル・スカルを元あった場所、伝説の黄金都市「アケトー」に戻すべくその入口にたどり着く。戻した者は、人知を超えた不思議な力を得るとされており、執念深く追ってきたソ連軍とインディたちの最後の対決、物語のクライマックスへと展開していく。
撮影はセットで行われたが、この「アケトー」のモチーフになったと考えられるのが、メキシコ、ユカタン半島に残るマヤ文明の遺跡、チチェン・イッツァにあるピラミッド「エルカスティージョ」だ。高さ約24m、9層の基壇をもつピラミッドで、9世紀初頭に完成したとされる。
春分、秋分の日には、ピラミッドの正面にあるククルカンの頭に蛇の影が現れ、太陽の傾きによって動いて見えるという。蛇嫌いなインディは、この日には来たくないかも!

インディの世界観を体感できる旅に出かけよう!

本作でもアメリカや南米の各地に点在する名所や旧跡、景勝地を舞台にした冒険を繰り広げる『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』。「地球の歩き方」なら、目を見張るような絶景や、今も解明されない謎が残る地上絵、オカルト世界をちらっと垣間見るスポットなど、映画の世界を追体験できる見どころをしっかり&バッチリ紹介。映画を見て、うずうずしてきたらガイドブックを片手に実際に冒険の旅へGO!

シリーズ最新作は2023年6月30日に全世界同時公開!

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我らの英雄インディが、いよいよスクリーンに帰ってくる! 最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は6月30日(金)からロードショー。インディの最後にして最大の冒険を映画館で見届けよう。

■『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

“人間の想像を超える力”を持つ謎に満ちた伝説の秘宝《運命のダイヤル》を巡り、考古学者にして冒険家のインディが、因縁の宿敵、元ナチスの科学者フォラーと全世界を股にかけて陸・海・空と全方位で争奪戦を繰り広げる! 巨匠ジョン・ウィリアムズのおなじみのテーマ曲に乗せて、インディ・ジョーンズ最後にして最大のアクション・アドベンチャーの幕が上がる———。

最新作の公開前に旧作を一気見!

これまで公開された『インディ・ジョーンズ』シリーズをまとめて見たい方に朗報! ディズニープラス「スター」で見放題配信中なので、最新作公開までの復習にぴったり!

■「Disney+」

TEXT:どんぐりはうす&オフィス・ギア

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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