NYで『ティファニーで朝食を』の夢を叶える!リニューアルしたティファニー本店を完全レポート
世界中から愛される老舗高級ブランド「ティファニー」。日本にも数多くの支店がありますが、本店はニューヨークにあります。2019年2月から4年にわたる長期間の改装工事が終了したニューヨーク本店は、2023年4月末にリニューアルオープン。ニューヨークの名所でありながら、いまひとつ時代遅れで地味な印象があった本店は、仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の買収により、どのように生まれ変わるのか注目されていました。ティファニーのイメージカラー「ティファニーブルー」から「ティファニーイエロー(ティファニー・ダイヤモンドのカナリアイエロー)」にブランドカラーを変更するとの噂もあり、筆者も気になっていました。
そこで、注目のティファニーのニューヨーク本店がどのように変わったのか、取材してきました!
ティファニーってどんなブランド?創業~現在までの年表
ティファニーといえば、映画通ならオードリー・ヘップバーン主演の『ティファニーで朝食を』を、ファッション通ならスターリングシルバーのアクセサリーやダイヤモンドの指輪を思い浮かべるのではないでしょうか。「愛」を表すハートモチーフや「永遠」を誓うインフィニティなどティファニーのアクセサリーは、シンプルなデザインで主張しすぎず上品、年齢もファッションも選ばず似合うことから、世界中から絶大な人気があります。
そんなティファニーの創業から現在までの年表を振り返ってみましょう。
- 1837年 文具雑貨店として創業。初日の売り上げは$4.98
- 1848年 チャールズ・ルイス・ティファニーがヨーロッパの貴族からジェムストーンを買い付け、米国内でダイヤモンドの販売元として名を馳せる
- 1851年 銀製品の製造開始。シルバーの純度基準925/1000と設定し、現在の米国基準になる
- 1877年 チャールズ・ルイス・ティファニーが、287.42カラットのファンシーイエローダイヤモンドを購入。翌年に128.54カラットにカット、「ティファニー・ダイヤモンド」と命名
- 1902年 ティファニー創立者の息子ルイス・カムフォート・ティファニーは、アールヌーボースタイルのステンドグラスやテーブルランプで、ティファニー社の芸術性を高めた
- 1940年 現住所である57丁目と5番街の角に、ティファニー本店をオープン
- 1961年 オードリー・ヘップバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』で、ティファニー本店が登場
- 2019年 2月改装工事着手、11月仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が買収を発表
- 2021年 コロナ禍を経て、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)が買収を完了
- 2023年 ティファニー ニューヨーク本店が4年にわたる改装工事を終了、「ティファニー・ランドマーク(Tiffany Landmark)」としてオープン
『ティファニーで朝食を』の主人公がこよなく愛した、ニューヨークのティファニー本店
映画『ティファニーで朝食を』の主人公ホリー・ゴライトリーは、ニューヨークで心のままに生きる女性で、こよなくティファニーを愛しています。クロワッサンをかじりながら店前からウインドーを眺めるオープニングシーン、好きになりかけている男性を店に連れてくるシーンなど、店内外ともティファニーが登場しました。
彼女はティファニーについて、こう言っています。
「赤信号が点滅している気分になった時は、イエローキャブに飛び乗って、ティファニーに行くの。すぐに気持ちが落ち着くわ。ここは静寂さとプライドが満ちている。嫌なことは、何ひとつ起こらないのよ。(意訳:青山沙羅)」
ティファニー本店の各階には何がある?
2023年4月下旬、ティファニー本店は4年ぶりにリニューアルオープンしました。名称も「ティファニー・ランドマーク(Tiffany Landmark)」に変更し、人々が訪れやすい観光名所としてアピールしています。
リニューアルオープン後の各階は、下記の通りです。
- 1階 正面入り口、メインフロア、デザイナーの人気コレクション
- 2階 ー(売り場なし)
- 3階 ブライダル(婚約指輪、結婚指輪など)
- 4階 高級ジュエリーコレクション
- 5階 シルバー・ジュエリー(オープンハート、ティアドロップネックレスなど)、チャームほか。『ティファニーで朝食を』コーナー(オードリー・ヘップバーンの映像、衣装の黒いドレスのレプリカ展示)
- 6階 ザ・ブルー・ボックス・カフェ、テーブルコレクションなど
- 7階 最高級ジュエリー&時計コレクション
【1階】正面入り口、メインフロア、デザイナーの人気コレクション
ドアマンがいる回転扉を押して入ると、店内にマンハッタンの摩天楼の景色が広がります。ニューヨーク色を強めた、新生ティファニーにテンションが上がります。摩天楼はビデオウオールで映し出されるもので、オフにすると鏡になるそうですよ。
高級店でありながら、カジュアルな服装の客が多いので、服装に気後れせず入りやすいのが嬉しいです。
【3階】ブライダル(婚約指輪、結婚指輪など)
ティファニーのダイヤモンドが入ったブルーボックスを捧げてプロポーズされるのは、女性の夢かもしれませんね。業界最高水準のダイヤモンドはかなり高価ですが、高品質が保証されており、サイズ直しや修理のアフターケア(有償)も整っているので安心。クリーニングは無償で利用可能です。
3階にある素敵なシャンデリアは、ダイヤモンドを連想させますが、実はアルミホイルでできています。驚きですね。ニューヨークで活躍したアーティスト、アンディー・ウォーホール(故人)の「ファクトリー」(同氏の作業場兼社交場で、壁や天井がアルミホイルで覆われていた)へのオマージュだそうです。
【4階】高級ジュエリーコレクション
エレベーターや階段でアクセスできますが、一般客はほぼいなかった高級ジュエリーコレクションの4階。
ニューヨークの夜空をイメージしたシャンデリアは必見。『ティファニーで朝食を』のテーマ曲「ムーン・リバー」のイメージを呼び起こします。
【5階】シルバー・ジュエリー(オープンハート、ティアドロップネックレスなど)、チャームほか『ティファニーで朝食を』展示コーナー
各フロアのなかで、最もにぎわっていたのがスターリングシルバー・ジュエリーのコーナー。ショーケース内には、ティファニーの顔であるオープンハートやリターントウティファニー、インフィニティ、ティアドロップなどのネックレスやブレスレットが並びます。
リニューアルオープンの目玉のひとつである、『ティファニーで朝食を』展示コーナー。ティファニーを世界的に有名にした映画『ティファニーで朝食を』のオープニングシーンのフィルム、およびオードリー・ヘップバーンが着ていたジバンシィのブラックドレスのレプリカが展示されています。
観光客が憧れる映画のイメージを、ティファニーの店内で現実に確認できるのが嬉しいですね。観光名所にしてしまおうと潔く腹をくくった、新生ティファニーの集客作戦です。
【6階】ティファニーで朝食を実現できる「ザ・ブルー・ボックス・カフェ」、テーブルコレクションなど
6階も人気の階で、テーブルコレクション(食器など)と「ザ・ブルー・ボックス・カフェ」があります。
テーブルコレクション
目の保養になるテーブルコレクションのコーナー。セットになった食器は持って帰れなくても、紙コップ風のティファニー・コーヒーカップやエスプレッソカップなどは、比較的手頃な値段でおみやげによさそうです。
オードリー・ヘップバーン気分で「ザ・ブルー・ボックス・カフェ」
多くの女性が憧れるティファニーでの朝食。ニューヨークを訪れたら、叶えたい夢のひとつかもしれませんね。ティファニーブルーを基調としたザ・ブルー・ボックス・カフェで、夢が叶います。
カフェメニュー
天井から降ってくるような、ティファニーの箱のオブジェが印象的なザ・ブルー・ボックス・カフェ。世界中にレストランを持つ、セレブリティー・シェフのダニエル・ブールー氏がプロデュースしていることも話題に。オードリー・ヘップバーン気分で、ティファニーで朝食を召し上がれ。おもなメニューは下記のとおり。
- ティファニーで朝食を(BREAKFAST AT TIFFANY'S )クロワッサン、アプリコットデニッシュ、マドレーヌ、グラノーラ、スクランブルエッグ、ブリオッシュ、キャビア、ミックスジュースなど 58ドル(税・サービス料別)
- ホリーのお気に入り(HOLLY'S FAVORITES)クロワッサン、バター&ジャム、フレッシュフルーツジュース、コーヒーまたは紅茶など 32ドル(税・サービス料別)
- ティファニーでお茶を(TEA AT TIFFANY’S)ティーサンドイッチ、スコーン、クッキー、ペストリー、お好みのお茶 98ドル(税・サービス料別)
【7階】最高級ジュエリー&時計コレクション
新生ティファニーの、ここが見どころ!
生まれ変わったティファニー本店の見どころを、5つのポイントにまとめてみました。来店予定がある方は予習として、予定のない方でもこれを読めば訪れることなくティファニー通になれますよ。
1.『ティファニーで朝食を』展示コーナー(オードリー・ヘップバーンの映像、衣装の黒いドレスのレプリカ展示)
ティファニーを世界的に有名にした、映画『ティファニーで朝食を』の映像およびオープニングシーンで着用していたブラックドレス(レプリカ)が展示されています。観光客が漠然と抱いていた映画のイメージを、ティファニーの店内で現実に確認できるのが嬉しいですね。
2. 今までに4人のみが着用した「ティファニー・ダイヤモンド」128.54カラット
ニューヨーク5番街のティファニー本店のリニューアルオープンを記念して、新デザインによる 「ティファニー・ダイヤモンド」が展示されています。ティファニー・ダイヤモンドは1877年に南アフリカで発見された、世界最大級の287.42カラット。「ティファニー・ダイヤモンド」の新デザインは、過去にセッティングされた小鳥のブローチから着想を得て制作され、ブローチとペンダントの両方で楽しめるハイジュエリーに姿を変えました。
「ティファニー ・ダイヤモンド」は時を経てデザインを変えていますが、着用した女性は史上4人のみ。
- 1957年 ロードアイランド州ニューポートで開催された「ティファニー ボール」で、チェアパーソンを務めたシェルドン・ホワイトハウス女史が着用
- 1961年 オードリー・へプバーンが、映画『ティファニーで朝食を』のプロモーション撮影で着用(ジャン・シュランバージェによる「リボン ロゼット」ネックレスにセッティング)
- 2019年 レディー・ガガが、第91回アカデミー賞授賞式で着用(2012年ブランド創業175年を記念して100カラットを超えるダイヤモンドがあしらわれたネックレスにセッティング)
- 2021年 ビヨンセが、ティファニーの「About Love」キャンペーンで着用
新しいデザインの「ティファニー・ダイヤモンド」は、誰が身に着けるのか気になりますね。店内スタッフに確認したところ、「ティファニー・ダイヤモンド」は非売品だそうです。
3. オープンハートのジュエリー・デザイナーによる、流れるように「美しい階段」
1974年よりティファニーに加わり、40年に渡ってデザインを手掛けたエルサ・ペレッティ(2021年逝去)による、3階から8階へ美しい曲線を描く階段。同氏は、流行となったオープンハートやビーンなど、ティファニーの時代を作り上げたデザイナーでした。
ニューヨークのアッパー・イーストにある、らせん状のスロープが特徴のグッゲンハイム美術館をイメージするのは、筆者だけではないかもしれません。
4. 店内を彩る「ティファニーブルーのアート」
新生ティファニーは、美術館のごとく、アートを身近で見ることができます。ニューヨークで活躍したアーティストを中心に、イメージカラーの「ティファニーブルー」で統一されたアートです。
一部で噂だったブランドカラーは「ティファニーイエロー(ティファニー・ダイヤモンドのカナリアイエロー)」になることなく、「ティファニーブルー」は健在です。やっぱりティファニーといえば、この色ですよね。筆者も大好きな色です。
5. イケメン率が高い「ザ・ブルー・ボックス・カフェ」
筆者のテンションが上がった「ブルーボックス・カフェ」(入り口から覗いただけ)。女性客が多いためか、スタッフはほぼ男性で、イケメン率が高いです。「値段が高すぎる」「約100ドルのアフタヌーンティーが、たったの1段だけ!」とイマイチな評判のカフェですが、これだけのイケメンに会えるなら、価値があるかも?
ティファニーの商品って、実際おいくらするの?
ティファニーの商品には値段は付いていません。ティファニー通でない筆者は「いったいいくらするの?」と思いました。商品を手に取り隅々を見てみましたが(苦笑)、価格札は付いていません。店内スタッフはどなたも感じがよく、聞きやすい雰囲気ではありますが、買い物が目的ではないので、結局価格を聞くことはありませんでした。
そこで、目についたものを公式サイトで調べて見ましたので、参考にしてください。
リターントウティファニー・ハートタグ・ビーズネックレス(写真下)475ドル
リターントウティファニー・ブルーダブル・ハートタグ・ペンダント(写真上)550ドル
- リターントウティファニー・ハートタグ・トグルネックレス 850ドル
- リターントウティファニー・ハートタグ・トグルブレスレット 600ドル
- アップル・チャーム(写真左)190ドル
- ショッピングバッグ・チャーム(写真右)375ドル
- エルサ・ペレッティ メッシュスカーフ・ネックレス(写真左)2,850ドル
- エルサ・ペレッティ メッシュタイ・ネックレス(写真右)2,850ドル
- ティファニー セッティング エンゲージメントリング18K(ダイヤモンド) 16,300ドル〜
- リターントウティファニー・スモールチャームトート(写真奥) 2250ドル
- リターントウティファニー・マイクロトート(写真手前各) 1,150ドル
- ティファニー Tクリップボールペン(写真左) 300ドル
- ティファニー オードパルファム 118ドル〜
- ペット用首輪 315ドル〜
- ペット用リース 395ドル〜
- ティファニー ラージコーヒーカップ(2個組) (写真後方 ブルー無地) 240ドル
- ティファニー エスプレッソカップ(4個組)ピンク 200ドル
*価格は2023年7月現在のものであり、変更する可能性があります。本体価格のほか、税金などが加算されます。
安いと感じるか、高いと感じるかは個人によると思いますが、ダイヤモンドの婚約指輪はさすがに高価です。クリーニングやサイズ直し、修理などのアフターケアは生涯利用できる(有償)ので、一生ものと考えれば価値のある買い物かと思います。
大事な記念日の証として購入する利用客も多く、シルバーのチャーム売り場では子供(女の子、3歳くらい)に、チャームを選んでいる富裕層の中国系家族を見かけました。子供の誕生日プレゼントに毎年ブレスレットのチャームを増やすのではないかと思われ、お母さんの指に輝くダイヤモンドの指輪もティファニー製のようでした。
筆者が「高いな〜」とびっくりしたのは、1階の売り場でもれ聞こえたブレスレットの値段。チラッと見ただけですが、ダイヤモンドでもゴールドでもないバングル(留め金なしのはめるタイプ)のブレスレットが4200ドル! でも、公式サイトで確認したら、ブレスレットの値段では安い方でした……。
というように、庶民(筆者)が富裕層の生活レベルの高さを実感する場所でもありました。
ニューヨーク旅行にいらしたら、新装オープンして観光名所として訪れても楽しいティファニーへ、ぜひ足を運んでください。ニューヨークで、お待ちしています!
TEXT:ニューヨーク特派員 青山 沙羅
PHOTO: Hideyuki Tatebayashi
*Do not use images without permission.
監修:地球の歩き方
※店内撮影については、店舗スタッフの許可を得て撮影しています。
※掲載情報は2023年7月時点の情報です。店舗へ訪問の際は、事前に必ず公式サイトなどで最新情報をご確認ください。
筆者
アメリカ・ニューヨーク特派員
青山 沙羅
はじめて訪れた瞬間から、NYに一目惚れ。プロ・フォトグラファーの夫とNY在住。
【記載内容について】
「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。
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