【スコットランド】しっとりした食感が面白い。スコットランドのチーズクラッカー「オートケーキ」

公開日 : 2023年08月06日
最終更新 :

チーズクラッカーといえば、薄手でパリッとした軽い食感のものをイメージすると思います。ところがスコットランドで食されているチーズクラッカーはそのイメージを覆し、分厚く、重く、ザクっと主役並みの存在感がある「オートケーキ(Oat Cakes)が主流。
このオートケーキは噛めば噛むほど味の出る素朴なもので、チーズクラッカーというよりもビスケットに近い感じがします。イギリスでは癖の強いブルーチーズに甘いビスケットを組み合わせて食することが多く、このオートケーキもそれに近い感覚なのかもしれません。
ザクっと素朴なオートケーキに癖の強いチーズやスモークサーモンをのせて、スコッチウイスキーと共に頂くのは最高の組み合わせです。
今回はスコットランドのオートケーキを紹介していきたいと思います。

オートケーキとは

オートケーキというのはクラッカーやビスケットに似たフラットブレッドの一種とされています。その原材料はオーツ麦。日本でも低糖質で繊維が多いダイエット食品として大人気のオーツ麦ですが、スコットランドで昔から食べられているのは日本でよく食べられる「ロールドオーツ」ではなく、「スコティッシュオーツ」と呼ばれるもの。
ロールドオーツはオーツ麦のもみ殻を取り除き、蒸した後に平べったく伸ばす、という過程を施したもので、食べやすく調理しやすく、プチプチした食感が特徴です。
一方スコティッシュオーツは、籾がついたまま(米でいうなら玄米)石臼ですりつぶしたもので、調理に時間はかかるものの、食感がなめらかでクリーミー。玄米と同様ビタミンと繊維も豊富なホールフードなんです。

スコットランドでは昔からオーツ麦の栽培が盛んで、収穫したオーツ麦はそのまま石臼で挽かれる方法が普通だったそうです。そこでスコットランドの人たちは、朝食にはスコティッシュオーツをお湯や牛乳でコトコト煮たオートミールを食べて身体を温め、寒い気候に対応していました。
スコティッシュオーツは小麦代わりにビスケットやクラッカー、パンなど様々な食品にも加工され、その中でもオートケーキは現在でも人々に愛され続けているスコットランドを代表する食品のひとつとなっています。

こちらがスコティッシュオーツ。ロールドオーツに比べて目が細かい。
こちらがスコティッシュオーツ。ロールドオーツに比べて目が細かい。
これがオートケーキ。ケーキと呼ばれるのに見た目はまさしくクラッカーです。
これがオートケーキ。ケーキと呼ばれるのに見た目はまさしくクラッカーです。

オートケーキの種類

オートケーキの原料はスコティッシュオーツとバター(またはラード)と塩、そして少量の水のみ。それらを混ぜ合わせて生地をまとめ、薄く伸ばして型で抜き、オーブンで焼く、というシンプルなもの。
オートケーキ自体がとてもシンプルなので、オーツの挽き方によって食感を変えたり、チーズや様々なスパイスを混ぜ込んで味に変化をつけたり、薄いもの、分厚いもの、形も丸いものから三角のものまで、様々な種類があります。
それでも食感としてはどれもザクっとしたビスケット風ですね。オートケーキ自体にかなり存在感があるので、パン代わりにスープと共に食べたり、スモークサーモンやパテをトッピングして軽食として扱うこともあります。
筆者はこの素朴なオートケーキがとにかく好きで、これにバターを薄く塗ってトースト代わりに食べることも多いです。

様々な種類のオートケーキ。製造元によって形も食感も変わります。
様々な種類のオートケーキ。製造元によって形も食感も変わります。

こんな風に食べてみました

オートケーキのトッピング例
オートケーキのトッピング例

写真の左側から、ブラックプディング(これまたスコットランドの名物。豚の血、オーツ麦、大麦、スパイスで作られたソーセージ。)に甘酸っぱいアップルソースを乗せたもの。後ろ側はマッシュルームパテの上に胡椒がピリッと効いたスモーク鯖を乗せたもの。そして真ん中の小さいのは、クリーム状のブルーチーズを乗せました。
オートケーキが素朴なので、味が濃くて癖のある食材にもよく合います。今回のトッピングは赤ワインの共にもぴったりでした。
他にもスモークサーモンとクリームチーズ、ひよこ豆で作られたフマスと呼ばれるパテに黒オリーブ、茹で卵にロケットリーフなど、様々なトッピングを考えるのも楽しいですね。

今回はスコットランドのオートケーキを紹介しました。ケーキと呼ばれるのにクラッカーでありビスケットであるこの不思議な食品は、長い間スコットランドの人々に愛され続けているもの。
皆さんももし日本で見かけたら、一度手に取って試してみてはいかがでしょうか。

筆者

イギリス特派員

ベイトマン明子

2023年に引っ越してきたばかりのスコットランドのあちこちを訪れ、皆様に報告できることを楽しみにしています。

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