デンバー発カリフォルニア・ゼファー®大陸”2/3”横断鉄道33時間の旅

公開日 : 2023年11月26日
最終更新 :

2020年にシカゴから大陸横断鉄道に乗る計画がキャンセルになって、今年ようやく仕切り直しの時がやってきました。アムトラック屈指のナイスビューで人気路線「カリフォルニア・ゼファー®」で、デンバーからサンフランシスコまで覚書です。車窓からの景色は四季折々楽しむことができるそうです。今回は紅葉の頃でしたが…来年、春の卒業旅行や、夏休みの家族旅行、秋の行楽シーズンの為に参考になれば幸いです。

出発駅デンバー・ユニオン駅
出発駅デンバー・ユニオン駅

カリフォルニア・ゼファー®(以下ゼファー)は、シカゴ・ユニオン駅から7つの州を通り抜け、カリフォルニア州・サンフランシスコ間を52時間かけて運行されています。今回はデンバー・ユニオン駅からサンフランシスコ間の33時間の乗車です。贅沢に”寝台車”といきたいところですが、一人旅の一泊なのでお安いコーチクラスです。

さて、前日14:00にシカゴを出発したゼファーは、翌日7:15にデンバー・ユニオン駅に到着します。

デンバー出発は8:05。50分の停車時間でこの間にチャックインします。既に乗車している人は列車を降りてちょっと散歩したりできます。→デンバー・ユニオン駅は、お洒落なショップや素敵なカフェ、レストランが充実してるのでうっかり乗り遅れにならないようにお気をつけくださいね。

意外にもチェックインは手作業でした。座席番号が記された手書きの半券をもらい車両に乗り込みます。500番台がコーチクラスです。車両は二階建てのスーパーライナー。視点が高いので眺望が期待されますよね。自分の座席に荷物を置いて、先ずはラウンジカー(展望車)に行ってみました。半分ほど席が埋まっていましたが、一人だとどこでもお邪魔できるので、あっさり席を確保できました。「ラウンジは交代でお願いします」と何度かアナウンスがありましたが、来たら変われば良いと早速学びました。

8:05定刻に静かに動き始め、いよいよ33時間の旅が始まりました。

ちょっと街中を走ったかと思えば、列車は緩やかに丘陵地を登り始めました。この広々とした丘陵地帯を眺めるなら右側のシートがおすすめです。また、晴れていましたが、風がとても強く大荒れの波のようにワサワサと草木を揺れ動かしまるでロッキーおろし?西海岸ではあまり見ることのない草原のうねりでした。

早速の”ロッキー超え”です。

ラウンジカーは、天井がドーム型のガラス張り
ラウンジカーは、天井がドーム型のガラス張り

お楽しみのラウンジカーは、全席車窓側に向いていています。車両中ほどに1階への階段があり、スナックバーになっています。飲み物、軽食を買って、景色を見ながら、モグモグタイム。

ゼファーのロッキー超えの見どころは、「リトル10カーブ」「ビッグ10カーブ」という急カーブを曲がりながら進んでいく様子。10カーブとはアメリカの鉄道の曲線規格の数字で、10が最も曲がっている事を意味します。ロッキーにへばりつくように急カーブを力強く健気に登っていく様子は、感動に近いものがあります。是非ともラウンジカーで見てほしいですね。

ロッキーの最高地点(2817m地点)にあるモフィット・トンネルを数分間くぐり抜け、無事通過といったところでしょうか。

ロッキー超えの名物”リトル10カーブ”
ロッキー超えの名物”リトル10カーブ”

チーフコンダクターはコーディさん。アムトラックのマスコット人形のような方で、おしゃべりも上手。こんな時、自分がネイティブだったら全てのアメリカンジョークが理解できるんだろうなと残念に思いますが、心配無用、笑っていたのは車内の半分ほど。東海岸で受けるジョークも中西部じゃ分からないし、西海岸や外国人には尚更だよと囁いてくれました。さすが全米を網羅しているアムトラックのスタッフです。

車内の注意喚起で少し理解できない事があり、質問してみた時の事です。おもむろにスマホを取り出し日本語訳「この機能って便利だよね、貴方も安心ね」という親切さ。また、パンデミック中はダイニングカーは制限されていて、コーチクラスはスナックバー利用のみだったので、楽しみのダイニングカーの利用についても確認しました。

ランチ前(11:00頃)、ディナー前(15:30頃)に予約をとりに来るから待っててね。これで待望のダイニングカーでの食事が実現します。

ウィンターパーク駅
ウィンターパーク駅

デンバーから2時間後、最初の停車駅ウィンターパーク(Fraser-Winter Prak CO)で5分の停車。ここでタバコを吸う人はどうぞ!とのアナウンスでした。

ダイニングテーブルランチ
ダイニングテーブルランチ

長距離列車の楽しみの一つがダイニングカーでの食事ですね。スナックバーにはカップ麺とかデニッシュが販売されておりそれで済ましてしまう人もいましたが、今や消えつつある列車のダイニングカー。ランチ25ドル(飲み物付き)、ディナー45ドル(飲み物付き)で決してお高い料金ではないのでここはぜひ体験してほしいところです。

本当に各人に予約の有無を聞きにきてくれました。古き良きサービスを感じてしまいます。

12:00過ぎアナウンスがあり、4人掛けテーブルに案内されました。特に一人は相席となります。メニューは6種類あり好きなものを選べます。クレジットカードで支払います(ティップは20%)

憧れのダイニングカー初体験でした
憧れのダイニングカー初体験でした
全米一の湯治場グレンウッドスプリングス駅
全米一の湯治場グレンウッドスプリングス駅

長距離列車の旅は、時にまさかという事件が起こるものです。

実は、グレンウッドスプリングス駅(Glenwood Springs CO)到着10分ほど前。コーディさんのレシーバーに「5△△(座席番号)にきてください」ともう一人コンダクターのクリスさんから一報がありました。その席は私のすぐそばだったので後をついていきました。そこには連絡した屈強な体格のクリスさんが立っていました。速やかにその乗客を二人で挟むように荷物と共に乗降ドアの前まで行きました。

そこでコーディさんは悟すように「貴方はもう分かっていると思いますが、これ以上列車には乗れません。私の判断でここでお別れとなります。でも貴方はラッキー、次は有人駅です」と告げました。到着すると真っ先にその乗客はクリスさんと下車。一旦は戻ろうとしたのですが、そばにいたコーディさんが「どこ行くんですか?貴方はこの駅で降りるんですよ」降ろされた乗客は、荷物を抱えベンチに座り込み列車を眺めていました。

チーフコンダクターは絶対だと聞いたことがあります。あの足取りから泥酔状態と思われました。アムトラックの規定で、アルコールはダイニングカーの食事中、ラウンジカーまたは個室のみで、それ以外で飲酒は禁止されています。おそらく座席で飲酒していたのではないかと推測されます。

話は横道にそれてしまいましたが、グレンウッドスプリングスは、世界最大の”Hot Springs Pool(温泉プール)”があります。次回は途中下車してゆっくり温泉に浸かってみたいと、既に次回の旅の計画がよぎりました。温泉フリークの皆さん、いかがでしょうか?

停車時間7〜8分で出発しました。

歴史的な駅舎のグランドジャンクション駅
歴史的な駅舎のグランドジャンクション駅
いわゆる萬屋何でも売ってる
いわゆる萬屋何でも売ってる

グランドジャンクション駅(Grand Janction CO)には、雑貨屋さんがあり13分間の停車時間の間に皆さん一斉に買い物下車です。スナックや歯磨き粉とか買っている人がいました。ここで私はおやつにアイスクリームを買いました。

アムトラックシグネチャーディッシュ・ステーキを是非ご賞味ください。
アムトラックシグネチャーディッシュ・ステーキを是非ご賞味ください。

夕食のダイニングカー。ランチタイムと雰囲気が違っていたのは真っ白なテーブルクロスがひいてあった事でした。3コースのディナーメニューは、アペタイザー3種、メインコース5種類、デザート3種類から選べます。 いやいやまさかこんなに美味しいステーキが食べられるとは思わなかったです。専属の熟練シェフが腕を振るっているとは聞いていましたが、ポートワインのソースがお見事!トラディショナルな洋食をいただきました。

グリーンリバー(UT)辺り
グリーンリバー(UT)辺り

刻々と移り変わるオレンジ色の夕日が天井からも見え、今日の振り返りの時間でした。雄大なロッキーの山越えや岩肌が何とも形容しがたくただただアメリカ大陸を感じた1日でした。

日が暮れ、漆黒の夜。ラウンジカーにはほとんど人は居らず私も座席に戻りました。二席ずつ左右4席のシートは、飛行機のプレミアムエコノミークラス並の空間、リクライニングシートでフットレストも高くなります。ほぼ真っ直ぐシングルベッドくらいかなり快適でした。大判のストールは毛布代わりに使えますので持ち込んだ方がいいかもしれません。

途中の事件(?)や美味しいアイスクリームに、初めての食堂車体験を堪能して、初日何とか無事に乗り越えた感じでした。お隣の方は既にお休みになっていて私もリクライニングにした途端寝落ちでした。降りてみたかったソルトレイクシティー(11:05着/UT)は全く気が付かず通過、それほど静かな列車でした。

翌日の様子は次の投稿で、ではおやすみなさい。

【アムトラック®】
カリフォルニア・ゼファー®:https://www.amtrak.com/california-zephyr-train
アムトラックレイルパス:https://www.amtrak.com/deals-discounts/multi-ride-rail-passes.html

筆者

アメリカ・カリフォルニア州特派員

美丸(Mimaru)

サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。

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