オークランド(ニュージーランド)の観光スポット。話題の体験型ラグビー施設も!

公開日 : 2023年10月16日
最終更新 :
筆者 : 伊澤慶一

ニュージーランドの玄関口として、渡航者が最初に訪れる都市オークランド。成田空港から毎日1便(2023年11月30日から2024年3月31日までは、増便して週10便運航)、ニュージーランド航空が直行便を運航しています。オークランドはニュージーランド最大の都市なので、見どころもたくさん(ちなみに首都はウェリントン)。ここでは最新・定番・穴場に絞って、おすすめの観光スポットを紹介したいと思います。

【最新】オールブラックスを肌で感じる体験型ミュージアム

ツアーガイドが同行。日本語字幕のツアーもWEBから申し込み可能です
ツアーガイドが同行。日本語字幕のツアーもWEBから申し込み可能です
伝統の対抗戦、ニュージーランド対オーストラリアの「ブレディスローカップ」も展示中
伝統の対抗戦、ニュージーランド対オーストラリアの「ブレディスローカップ」も展示中

まず紹介するのは、2020年12月にオークランド中心部にオープンした体験型施設「オールブラックス・エクスペリエンス(ALL BLACKS EXPERIENCE)」。オールブラックスとは、ラグビー大国・ニュージーランドの代表チームの愛称。全身黒のユニフォームからその名で親しまれ、ラグビーW杯3回優勝(1987年、2011年、2015年)は南アフリカと並んで最多記録となっています。

オールブラックス・エクスペリエンスではまずガイドが案内する約45分間のツアーに参加し、主にオールブラックスの歴史やニュージーランドのラグビー文化を学んでいきます。本施設が素晴らしいのは、ラグビーのルールや歴史についてまったく知らないという人でも、映像や音響など最新のテクノロジーを駆使した展示により直感的に楽しめる点にあります。さらにラグビーに必要な俊敏性や判断力を画面上で判定したり、実際に体を動かしてラグビーのプレイを体験するゲームもあったりと、エンターテインメント性に富んでいるのも魅力。実際訪れてみると、博物館というよりテーマパークに近い印象でした。

タッチパネル式の画面を挟んで2チームでゲーム。これが意外と白熱!
タッチパネル式の画面を挟んで2チームでゲーム。これが意外と白熱!
ロッカールームではバーチャルの代表選手たちと写真撮影もできます
ロッカールームではバーチャルの代表選手たちと写真撮影もできます

例えばツアー中、参加者が2チームに分かれ、タッチパネル式になったモニターを使ってゲームが行われます。これはラグビーの実際の映像を見ながら、ボールをもった選手は「パスを出すべきか?」それとも「走って突破すべきか?」問われるもの。ラグビーの試合に勝つためにより効果的な状況判断ができるか、頭を働かせながら競います。他にもパネルに表示されたラグビーボールを素早くタッチし、動体視力や反射神経を養うゲームもあり、大人から子供まで、ラグビーのルールに精通していなくても楽しめる内容になっています。

またゲームのあとは、ロッカールームを再現した部屋へ移動。こちらは映像技術を駆使した演出で、まるで歴代のレジェンドプレイヤーたちが自分のすぐ隣へやって来て、アドバイスしてくれているかのようでした。選手たちが口々に話すオールブラックスへの熱い気持ちを聞きながら、いかにこの国にラグビー文化が根付いているかを知っていくのですが、それは学ぶというより「熱を帯びて伝わってくる」という感覚に近いかもしれません。

そうこうしているうちに、スタンドの声援が地鳴りとなってロッカールームまで響いてきました。これも実際スタジアムにいるかのような素晴らしい音響効果! 試合前に緊張感が高まっている選手たちのように、胸を高鳴らせながら列を作っていざピッチへと選手入場を行います。

高さ約4mのスクリーンでハカを体験。迫力ある声援が響き実際にピッチにいるかのよう!
高さ約4mのスクリーンでハカを体験。迫力ある声援が響き実際にピッチにいるかのよう!
最後は実際のラグビーのプレイを想定したゲームでポイントを競って遊べます
最後は実際のラグビーのプレイを想定したゲームでポイントを競って遊べます

そしてオールブラックス・エクスペリエンスで最大のハイライトともいえるのが、巨大スクリーンに映し出された選手たちの「ハカ」です。ハカとは、ニュージーランド代表が試合前に行う儀式で、もともとは戦いの前に士気を高める先住民マオリの民族舞踊。ラグビーの国際大会ではお馴染みの光景ですが、初めて見る方はきっとその迫力と勇ましさに圧倒させられることでしょう。映像とはいえ、オールブラックスの選手たちのハカを対戦相手の目線で見られるというのは、ラグビーファンであれば垂涎ものの体験です。

そしてハカのコーナーを抜けると、最後にラグビーの動きを使ったゲームコーナー。ゴールポストの間をめがけてボールを蹴る「キッキング」や、ラインアウト時の「スローイング」など、ラグビーの試合で重要になってくるスキルを試すことができます。ラグビー経験者の方であれば腕が鳴る場面! こちらの最後のゲームコーナーはツアーガイドが同行せずじっくり遊べるので、館内での滞在時間はツアーの45分も含めだいたい計1.5時間ほどみておくのがよいかと思います。最後のゲームコーナーを全力で挑戦したい方は、動きやすい格好での参加がおすすめです。

オールブラックス・エクスペリエンスが入るのは、オークランドの中心にそびえるスカイタワーのすぐ隣、スカイシティ・グランド・ホテル コンベンションセンター内のレベル4なので観光客にとって便利なロケーションです。ただし見学はツアーガイド(45分間)が付いた完全予約制となりますので、必ず事前にホームページなどで予約してから訪れてください!

オールブラックス・エクスペリエンス
https://www.experienceallblacks.com/

大人用から子供用までグッズが並ぶショップ。こちらは予約なしでも立ち寄り可
大人用から子供用までグッズが並ぶショップ。こちらは予約なしでも立ち寄り可
オールブラックスの選手たちのパネルに並んで記念撮影。中には2mを超える選手も!
オールブラックスの選手たちのパネルに並んで記念撮影。中には2mを超える選手も!

【定番】海洋国ニュージーランドの歴史を学び、いざ海へ!

「帆の街(シティ・オブ・セイルズ)」と呼ばれるほど海上交通が発達していたオークランド
「帆の街(シティ・オブ・セイルズ)」と呼ばれるほど海上交通が発達していたオークランド
ヨットレースの最高峰、アメリカズカップを制した「ブラック・マジック号」も展示
ヨットレースの最高峰、アメリカズカップを制した「ブラック・マジック号」も展示

続いて紹介するのは「ニュージーランド海洋博物館(New Zealand Maritime Museum)」です。海洋国家であるニュージーランドは、ポリネシアの人々、そしてヨーロッパ人の到来と、常に海の向こうからやってきた来訪者とともに歴史を築いてきました。この国の歴史や生活様式を知るためには、まずは海洋史、そして海との繋がりを知るべきと言っても過言ではありません。

館内で最初に目にするのはポリネシア人たちが航海で用いていた伝統的なカヌーのレプリカです。全長約76フィート(約23m)の大型アウトリガーカヌー「タラタイ号」は、ココナッツの繊維から作られたセンニットという紐で繋いで作られており、釘やボルトなどは一切使われていません。数千キロの航海にも耐えられたとのことで、当時の造船技術と航海能力の高さには驚かされます。

その次の展示コーナーでは、18世紀にキャプテン・クック率いるイギリス海軍、またスペインやポルトガルなどヨーロッパの船がニュージーランドに到達した時期の海図や海軍制服などを展示。ヨーロッパに発見されたことはニュージーランドにとってまさに歴史の転換点であり、自国の話ではないにしろ世界史の一幕を垣間見た気分になれるのではないでしょうか。

19世紀中頃、ニュージーランドを目指す移民たちの船内の様子を再現。実際に揺れます!
19世紀中頃、ニュージーランドを目指す移民たちの船内の様子を再現。実際に揺れます!
ニュージーランドで昔行われていた捕鯨に関する紹介コーナーも
ニュージーランドで昔行われていた捕鯨に関する紹介コーナーも

個人的に一番面白いと感じたのは、当時イギリスからニュージーランドへの移民を運んでいた船を再現したコーナー。スーツケースが収納棚いっぱいに詰められ、船室には所狭しと2段ベッドが並んでいます。厳しい環境だったことがうかがえるこちらの船室は、なんと実際の船のように波に揺られる仕掛けになっており、長いこといると船酔いしてしまいそうでした(笑)。ヨーロッパからニュージーランドへの移住を推奨するポスターが当時の資料として壁に掲げられていて、厳しさの中でも新天地を目指す人々の希望が感じられる展示コーナーになっていました。

ほかにも20世紀に発展を遂げた海運会社のオフィスを再現したコーナーや、国内各地に設置された灯台の写真、ニュージーランド近海で活躍する漁船模型、さらに天体を使った航海術など、海にまつわるあらゆる展示がされているニュージーランド海洋博物館。海洋国家としての歩み、そして島国として豊かな海洋文化を持つ点などでは、日本と多くの共通点を見いだすことができます。中でもそれを一番強く感じたのが捕鯨文化の紹介コーナー。かつてニュージーランドでも捕鯨が盛んだった時期があり、捕鯨船の様子や、鯨の骨を使ったアート作品、狩りのための道具なども展示されており、ニュージーランドのことがより親しく身近に感じられるはずです。

テッド・アシュビー号のセーリングツアー。乗船した子供たちが帆を広げるのをお手伝い
テッド・アシュビー号のセーリングツアー。乗船した子供たちが帆を広げるのをお手伝い
船上から眺めた近代的なオークランドの街並み
船上から眺めた近代的なオークランドの街並み

そしてニュージーランド海洋博物館で一番おすすめしたいのが、100年以上前の伝統的な帆船を復元した「テッド・アシュビー号」のセーリーグツアー。ニュージーランド海洋博物館の真隣のハーバーから出航し、途中帆を広げて近くの湾内を周遊します。オークランド・ハーバーブリッジの下を通過したり、オークランドの街並みを沖合から眺めたり、1時間の乗船時間もあっという間。帆船の上からオークランドを眺め、かつてこの街が「シティ・オブ・セイルズ」と呼ばれていた頃の光景に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

博物館があるのはウォーターフロントのヴァイアダクトハーバー。周辺にはおしゃれなレストランも多く、また徒歩ですぐのところに2020年6月にオープンした商業施設「コマーシャルベイ」や再開発エリア「ブリトマート」などもあるので、セットで観光するのもおすすめです。

ニュージーランド海洋博物館
https://www.maritimemuseum.co.nz/

【穴場】南半球の固有種もたくさん。無料で楽しめる植物園

1982年開園、美術館のような外観の植物園エントランス
1982年開園、美術館のような外観の植物園エントランス
広大な原っぱもきれいに手入れが行き届いており気持ちのいい空間です
広大な原っぱもきれいに手入れが行き届いており気持ちのいい空間です

最後にご紹介するのは、オークランド中心部から車で20〜30分ほど離れたところにあるオークランド植物園(Auckland Botanic Gardens)。バスや電車でのアクセスは不便なので、行くにはレンタカーかタクシーがおすすめ。およそ64ヘクタール、東京ドームにすると約14個分という広大な敷地面積で、園内に小川が流れていたり、湖が広がっていたり、原生林が広がっていたり、ニュージーランドの自然を身近に感じられる庭園になっています。

植物園では1万種類以上の植物が生育されており、急ぎ足でメインルート「パシフィック・パスウェイ」を観賞して回るだけでも、1時間半ほどは時間をとっておくことをおすすめします。ただし植物の種類やテーマごとにエリア分けがされているため、どうしても時間がない時は興味のあるエリアを絞って回ることも可能です。

食用の植物を集めた「エディブル・ガーデン」や、料理用から美容健康、虫除けなどさまざまな用途の香草を集めた「ハーブ・ガーデン」などは日頃から園芸が好きな方にはとても興味深いエリアでしょう。個人的には世界中のヤシを集めた「パーム・ガーデン」、そしてニュージーランドと同緯度のアフリカ南部の植物を集めた「アフリカ・プランツ・ガーデン」がエキゾチックな雰囲気でとても面白かったです。日本ではなかなか手に入れることのできない(売っていたとしても超高額な)ネイティブプランツもたくさん見ることができて、入場料は嬉しいことに無料! じっくり見て回ったら丸1日あっても足りないので、時間に余裕のある方は数日に分けて訪れてもよいかと思います。

うっそうと生茂るパーム・ガーデン。ニュージーランド固有のニカウヤシも見られます
うっそうと生茂るパーム・ガーデン。ニュージーランド固有のニカウヤシも見られます
アフリカ・プランツ・ガーデンで花咲くキダチアロエ。原産は南アフリカ
アフリカ・プランツ・ガーデンで花咲くキダチアロエ。原産は南アフリカ
雨上がりのあと、太陽に照らされキラキラと輝くピンクのカメリア(ツバキ)
雨上がりのあと、太陽に照らされキラキラと輝くピンクのカメリア(ツバキ)

我々が訪れたのは7月(南半球の冬)でしたが、ちょうど「カメリア・ガーデン」や「マグノリア・ガーデン」の花々が見頃のタイミングを迎えていました。またサボテンや多肉植物が植えられた「ロック・ガーデン」でも鮮やかな赤色をしたアロエの花が開花しており、十分楽しむことができました。もちろん、スタッフの方がおっしゃるにはやはり9月頃から開花する花の種類も増えてくるそうなので、ニュージーランドでも随一のコレクションだという「ローズ・ガーデン」や、例年9月下旬頃から咲き始めるピンクの桜の「スプリング・ブロッサム・ガーデン」なども、また季節を改めて訪れたいと思いました。

ちなみにビジターセンターには天井が高くて開放的なカフェが併設されておりコーヒーやランチをしながら一息つくのにぴったり。また図書館も併設しており、英語にはなりますが植物に関する膨大な資料を閲覧することもできます。さらに広大な園内で原生林のエリア「トタラ・パーク」まで足を運べば、所要時間2〜3時間のトレッキングに。途中で放牧された牛たちにも出会うユニークなコースで、小さな丘になった頂上からはオークランド中心部のスカイタワーも見渡せます。

オークランド植物園
https://www.aucklandbotanicgardens.co.nz/



Text by Keiichi Izawa
Photos by Tomohito Ishimaru

天井が高く、明るくて開放的な空間のカフェ。歩き疲れたらここで休憩しよう
天井が高く、明るくて開放的な空間のカフェ。歩き疲れたらここで休憩しよう

筆者

トラベルエディター

伊澤慶一

70ヵ国ほど旅してきましたが、ベタにハワイと軽井沢が好きです。

【記載内容について】

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