【岡山】天下の奇祭「西大寺はだか祭」 ~岡山市西大寺~

公開日 : 2024年01月31日
最終更新 :
筆者 : mami

 こんにちは。岡山特派員のmamiです。
 早いもので1月も今日で終わりですね。辰つながりで、お正月は初詣をもう一か所行っていました。西大寺観音院です。
 約1200年前、周防の国(山口県)に住む藤原皆足(ふじわらのみなたる)姫が西大寺金岡の郷に草庵を開基し、千手観音を安置したのが西大寺観音院の創まりです。

 西大寺観音院の仁王門(国登録有形文化財)です。県下でも最大級の三間一戸の楼門で、組物が多く使われた建物です。組物間の中備には、十二支の彫刻が巡らされています。いかがでしょう、装飾的な組物が目をひきますね。
 一階は組物が四段重なっています。四段目は四手先(よてさき)と呼ぶそうです。二階は三手先(みてさき)ですが尾垂木(おだるき)が配置されています。観音さまをお参りするのには相応しい、華やかな意匠で門前からワクワクしてきます。

 左右に立つ金剛力士像も力強さを感じます。

 本殿です。ご本尊は十一面千手観世音菩薩で、災難、延命、病気平癒、夫婦円満、恋愛成就…。あらゆるご利益があるようです。
 本殿は、邑久大工と塩飽大工の技で落成しました。塩飽大工は瀬戸内海の塩飽諸島を拠点とする大工の集団です。塩飽は、藤原摂関家の荘園だったので宮大工と船大工の技術が継承され、造船と大規模な神社・仏閣の建立で名を馳せました。

  県下でも最大級の大屋根で、妻側の龍の彫刻も躍動感にあふれ迫力があります。

 ここにも龍の棟飾り…。
 宝亀8年(777年)、安隆上人(あんりゅうしょうにん)が大和の長谷寺で修行されていたとき”備前金岡庄の観音堂を修築せよ”と夢にお告げがあり、上人は船で急ぎ金岡の庄に向かう途中、児島の槌戸ノ浦にさしかかった時、犀角を持った龍神が現れて『この角を持って観音大士影向の聖地に御堂を移し給え』と霊告されたそうです。(紙本著色金陵山古本縁起⦅西大寺縁起⦆より)

 本堂の内部は会陽(国重要無形民俗文化財)を行うため、ご覧のように、外陣部分が板敷に柱だけで壁や建具はありません。内陣正面上部には会陽の際に宝木を投下するための御福窓(ごふくまど)を備えています。この広さの外陣に会陽当日は、9000人もの裸群があがるとは、とうてい信じられません。

 会陽というのは、「西大寺はだか祭」とも呼ばれ、歴史は遠く奈良時代に始まります。新年の大祈祷の結願の日、参詣の信者に守護札を出したところ、これを戴く者は「福が得られる」と希望者が続出し、やむなく参詣者の頭上に投与したところ奪い合いとなりました。神のお札は破れるので、木でできた宝木に変わり、体の自由を得るために裸となり、今日の会陽へ成り立ったと伝えられています。

 2019年の宝木(たからぎ)が投下されるまでのyoutubeをご覧下さい。
 「男の祭り」とされる西大寺会陽ですが、白衣をまとった女性達が境内の垢離取場(こりとりば)に姿を見せ、冷水に入り大願成就を念じ、水垢離をします。祭りの始まりを告げる会陽太鼓も女性たちで、「炎祷」と「龍神」の2曲を交互に打ち鳴らします。

 ここが垢離取場(こりとりば)です。普段は水が入っていませんが、祭りの当日はここで水垢離をしてから本堂へ向かいます。
 私も2度ほど会陽を見に行きましたが、2月の極寒の夜にも関わらず、垢離取場は熱気に溢れていました。
 宝木が投下されるやいなや、本堂外陣で2本の「宝木」をめぐって激しく奪い、やがて宝木を掴んだ男たちが本堂を走り抜け、奪おうとする裸群の男たちが後に続きます。裸は本堂にあがっている人だけではなく、宝木を持った裸を下で待ち受けている裸群もいるので、境内全体で分奪戦が続きます。
 会場には見学者が本堂に近寄らないようにロープを持った警備員がいますが、そのロープを気にかける様子もなく裸群が走って来るので、見学者も彼らの動きに合わせて、後ろへ下がったり、左に寄ったり、うかうかしていられません。
 ちなみに裸の男たちはフンドシ一枚だけの姿なので、アナウンスでは「裸が入ります!」と呼ばれます。

 会陽が開催されるのは、2月の第三土曜日で、ちなみに今年は2月17日(土)になります。
まだ明るい3時半頃から「少年はだか祭」が始まります。午後7時からは花火大会も開催されるので、これも楽しみの一つです。宝木の投下は見なくても、花火は毎年見に行っていた頃もありました。宝木の投下は午後10時です。今年は4年ぶりに宝木争奪戦が行われるので、楽しみにしている人も多いと思います。

住所
〒704-8116 岡山県岡山市東区西大寺中3-8-8
電話番号
086-942-2058
交通アクセス(車)
山陽自動車道山陽ICから約30分
交通アクセス(公共)
JR西大寺駅から徒歩約10分
駐車場
普通車70台、バス5台

筆者

岡山特派員

mami

岡山生まれの岡山育ち。岡山市内在住の生粋の「おかやまっ子」です。

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