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スペイン・アストゥリアスの知られざる魅力 ①町の歴史と世界遺産
海外からの観光客数では常に上位に位置するスペイン。定番のバルセロナやマドリード、人気のアンダルシア、ビーチリゾートのコスタ・デル・ソルなど、人気観光地は枚挙に暇がない同国ですが、近年は美食の街サン・セバスティアンや巡礼地で知られるサンティアゴ・デ・コンポステーラなど北スペインも人気急上昇中です。
そんな北スペインでも、今回ご紹介するのは、知られざる魅力に満ちたアストゥリアスです。
目次
レコンキスタと巡礼路の発祥の地
![アストゥリアスの山々](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005020/20240325_172933_fc2b1d42_w1920.jpg)
アストゥリアスを紹介するには、まずその歴史からひも解く必要があります。ご存知のようにスペインは8世紀以降800年もの間、イスラム勢力の支配下にありましたが、大西洋北岸に位置するアストゥリアスは南側に山岳部があるため、北上するイスラム勢力の侵攻を阻み、やがて、ここから国土回復運動(レコンキスタ)が始まります。つまり、アストゥリアスはレコンキスタ発祥の地なのです。
世界遺産 オビエドとアストゥリアス王国の建造物群
![サンタ・マリア・デル・ナランコ教会](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005020/20240325_172245_ef8754a0_w1920.jpg)
スペインは長年にわたるイスラム支配の影響で、キリスト教文化とイスラム教文化の融合がおこり、とくに建築ではムデハル様式とよばれる独特の建造物が南部アンダルシア地方などに残っています。一方、アストゥリアスはイスラムからの支配を免れたために、古い時代の文物が残されている土地で、建築物ではプレ・ロマネスクと呼ばれる古式の教会建築などが残存し、世界文化遺産に登録されています。
![オビエド大聖堂](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005020/20240326_142947_5f24ce46_w1920.jpg)
あるいは、北スペインといえばサンティアゴ巡礼路が人気ですが、州都オビエドは、プリミティボの道と呼ばれる最も古い巡礼路の起点となっています。プリミティボとは“原始”という意味で、814年に使徒サンティアゴの墓が発見された際、この道から最初の巡礼に訪れたのがアストゥリアス王アルフォンソ2世であることから、こう呼ばれています。彼はサンティアゴ・デ・コンポステーラに聖堂を建て、オビエドからの巡礼路を整備しました。このため、地元ではそもそもの巡礼発祥の地はオビエドであると、盛んに宣伝したりもしています。オビエドの大聖堂にはアルフォンソ2世の遺体が安置されており、世界遺産にも登録されています。
アストゥリアス旅行のススメ
アストゥリアスは以前は交通の便があまりよくなく、マドリードから特急列車でも5~6時間はかかっていたため、時間の限られた日本人観光客には縁の遠い土地でした。しかし、2023年11月に待望のスペインの高速列車AVE(スペイン高速鉄道)が開通し、マドリードからオビエドまで3時間半程度で行けるようになりました。
夏は涼しく(真夏でも30度以下)、冬も温暖(大西洋海流のおかげで氷点下にはならない)。雨は多いですが、その分、湿潤温暖です。夏場はとくに、激烈な暑さと乾燥に備えなければならない南部より旅行もしやすいでしょう。
時間のない人は空路という手もあります。アストゥリアス空港まではマドリードから1時間弱とアクセスは容易です。例えるなら、東京から飛行機で1時間、日本海と立山連峰に囲まれた富山空港に降り立った、といった感じでしょうか。空港の小ぢんまりした感じも、山海の幸に恵まれている土地柄も妙に似ています。今回の旅では時間優先で空路を使いましたが、時間が許すならマドリードからの陸路山越えが、風景の変化を楽しむことができてお薦めだそうです。
PHOTO:新井邦弘、iStock
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筆者
株式会社地球の歩き方 代表取締役社長
新井 邦弘
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