「サンフランシスコ・プライドパレード2018」は平等と愛、表現の自由を讃える祭典!(アメリカ)
毎年、6月下旬に全米各地で開催される「プライドパレード(Pride Parade)」。「プライドパレード」とは、レズビアン(Lesbian)・ゲイ(Gay)・バイセクシャル(Bisexual)・トランスジェンダー(Transgender)・クィア(Queer)によるお祭りです。虹色がテーマの華やかなお祭りで、派手で、騒がしく、お祭りの域を超えた衝撃的なパレードが大人気です。あまりにも度を超えた超刺激的なパレードもありますので、お子さま連れの人は充分な配慮が必要です。今回は、平等と愛、そして表現の自由を讃える「サンフランシスコ・プライドパレード2018」を紹介します。
2018年6月23日(土)~6月24日(日)の2日間、アメリカ・サンフランシスコにあるシビックセンターを中心に「サンフランシスコ・プライドパレード2018」が開催されました。
毎年この時期に開催される「サンフランシスコ・プライドパレード」は、数ヵ月も前から入念に準備が進められます。パレードが行われる6月に入ると、一気に盛りあがりをみせます。サンフランシスコの繁華街・パウエル駅の周辺をはじめ、目抜き通りであるマーケット通りなどは、6色の虹の旗(レインボーフラッグ)で彩られます。
これらのレインボーフラッグは、1978年、サンフランシスコのアーティストであるギルバート・ベイカー(Gilbert Baker)が考案したもので、色にはそれぞれ意味を持たせています。
赤色:生命(Life)
橙色:癒し(Healing)
黄色:太陽(Sunlight)
緑色:自然(Nature)
青色:調和(Harmony)
紫色:精神(Spirit)
多様性をコンセプトにしたという説もあれば、お気に入りの歌のタイトルに虹を使っていたからという説もあります。
パレードの一番手はレズビアンライダーたち
パレードの一番手は、女性同性愛者のライダーたちです。一行は、エンバカデロ地区(Embacadero)から出発して、マーケット通りをイベント会場近くの8番通り(8TH Street)までパレードします。
「サンフランシスコ・プライドパレード(San Francisco Pride Parade)」は、1978年、サンフランシスコで「Gay Freedom Day Parade」として開催されたのが始まりです。
このパレードは、1969年6月、ニューヨークのバー「ストーンウォール・イン(Stonewall Inn)」で起こった警察の踏み込み捜査に、当時迫害を受けていた同性愛者たちが真っ向から立ち向かっていった出来事が発端となっています。この出来事が、同性愛者の権利擁護運動に繋がっていったといっても過言ではありません。
「サンフランシスコ・プライドパレード」には、LGBTQの人々に限らず、近郊の大小企業、学校、行政団体、NPO団体、ボランティアグループが参加します。選挙のある年には、立候補者がオープンカーに乗りパレードに参加がてら、公約を訴えることもあります。
毎年、約200組のグループが参加し、沿道には100,000人の見物客が集い、身動きが取れない状態になります。パレードをじっくりと観たい場合は、朝早くから場所を確保する必要があります。
パレードの終了時間は、毎年、あってないようなものです。悲しい事件や喜ぶべき出来事がある年は、パレードが永遠と夕方まで続くこともあります。パレードの最後は、警察とLGBTQの人々が手を繋いで、沿道の観衆に手を振って歩きます。かつての敵味方が仲よく歩く光景は、1970年代初めには考えられなかったことなのです。
シビックセンタープラザ開拓者記念広場の周辺
イベントのメイン会場となるシビックセンターでは、イベント期間中、ライブやダンスパフォーマンスが披露され、食べ物や飲み物のフードトラックをはじめ、レインボーグッズにユニークなオモチャなどが販売されます。また、会場のあちらこちらに刺激的なポスターが貼り出されており、いろいろな意味で大興奮のイベントです。
LGBTQのお膝元、カストロ地区
メイン会場から少し離れていますが、この時期にぜひとも訪れたいのが、ゲイコミュニティーの中心地「カストロ地区(Castro)」です。パレードが近づくとお祭りの雰囲気が漂うようになり、6月に入るとハードウエアショップの商品はとにかく虹色でいっぱいになります。
景勝地ツインピークスではピンクの三角
パレード前日の土曜の朝は、景勝地ツインピークスの展望台で、「ピンク・トライアングル(Pink Triangle)」の被害にあった人々の追悼を兼ねたセレモニーが行われます。ナチス強制収容所では、政治犯と同様に同性愛者も収容され、罪状が分かるように色分けされた逆三角形のバッジをつけられました。同性愛者はピンク色の逆三角形だったといいます。
カストロ通りとマーケット通りの交差点にある「ピンク・トライアングル・パーク(Pink Triangle Park)」。ここはアメリカ初となるゲイの人々の常設追悼公園です。ホロコーストで約15,000人の同性愛者らが亡くなっている事実は、あまり知られていません。花崗岩でできた三角柱が、1基1,000人として15基建てられています。
いかがでしたか。歴史を辿ればとても奥深いLGBTQ。と言っても、この「サンフランシスコ・プライドパレード」は、馬鹿ばかしいくらい破茶滅茶なパレードがありながらも、平等と愛、表現の自由を讃える大真面目な祭典なのです。機会があったらぜひ参加してみてください。
Happy Pride San Francisco
筆者
アメリカ・カリフォルニア州特派員
美丸(Mimaru)
サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。
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