食のW杯!「ボキューズ・ドール ヨーロッパ大会」がイタリア・トリノで開催
2年に1度、世界一を決める国際料理コンテスト、
ボキューズ・ドール(Bocuse d'Or)。その予選となるヨーロッパ大会が、食の都と称されるイタリア・トリノで行われました。本選は、2019年1月、トリノ同様に美食の街として有名なフランス・リヨンにて開催されます。アジア大会では日本チームが優勝し、本選への出場が決まっています。そんな食のW杯、ボキューズ・ドール ヨーロッパ大会について報告します。
ボキューズ・ドール(Bocuse d'Or)って?
ボキューズ・ドール(Bocuse d'Or)とは、国際レベルの料理コンテストのことです。1987年から行われており、それぞれの国でドリームチームが結成され、大陸ごとに予選が行われます。
名前の由来は、‟現代フランス料理界の父“ として名高く、この料理コンテストの創設者である Paul Bocuse(ポール・ボキューズ)氏の名前に依ります。惜しまれながら、今年 2018年1月に91歳で永眠。ミシュランの3つ星を50年以上も維持し続け、生涯現役を貫いた偉大なシェフを讃える料理コンテストでもあります。
料理コンテストは、今年から、息子である Jérôme Bocuse(ジェローム・ボキューズ)氏に引き継がれています。
テーマに選ばれたピエモンテ州に欠かせない食材とは?
今年から、初の試みとしてテーマ食材が提示されました。同じ食材を使うことにより、各国のオリジナリティーや創造性が試されます。
テーマ食材は、ピエモンテ州が誇るファッソーネ牛、北ピエモンテに位置する米の産地ビエッラ(Biella)、ヴェルチェッリ(Vercelli)で栽培されるサンタンドレア(Sant’Andrea)種の米。そして保護指定原産地呼称(D.O.P)に認定されているセミハードタイプ、熟成が進むと青カビタイプとなるカステルマーニョチーズと鶏卵の4つです。
キャプテンを筆頭に国が一丸となり、熱い戦いが目の前で繰り広げられます。みな真剣な眼差しで、軽快に役割を果たしていきます。
館内では、それぞれの国の応援団が国旗を掲げ、熱い声援を送ります。
ボキューズ・ドール ヨーロッパ大会の内容は?
料理コンテストには、時間制限があります。料理の開始時刻から1皿目の料理を提供するまでの時間は、5時間です。そして35分後には大皿料理を発表しなければなりません。1日に10ヵ国が10分刻みでスタートし、腕前を競い合いました。
さすが世界レベルの料理人の集団です。ほぼ時間の狂いはなし。審査員も、10分おきに次から次へとやってくる料理にコメントを記入していきます。
審査員の試食と同時に、プレス席にも料理が披露されます。見事にデコレーションされた大皿は、各国のこだわりがあり、それは見ごたえのあるものでした。そして、それらの大皿を運ぶのは、なんとピエモンテ州のスターシェフ達。食の世界に生きる筆者にとっては、なんともぜいたくな光景でした。
ボキューズ・ドール ヨーロッパ大会を制した国は?
すべての審査が終わるころ、そこには5時間35分を戦い抜いたアスリートの姿がありました。まるでフィールドを駆けまわるサッカー選手のように、ここイタリア・トリノでは食のW杯が繰り広げられたのでした。
試合が終われば、みんなで後片付け。そこには達成感にあふれた安堵の表情が伺えます。そして、各国の料理人たちは、いったん退場。審査結果を待ちます。
2日間に渡り開催されたボキューズ・ドール ヨーロッパ大会。さて、気になる結果発表は?
1位 ノルウェー
2位 スウェーデン
3位 デンマーク
という北欧一色となりました。
ここ10年は、特に北欧諸国がボキューズ・ドールの上位にランクインしていますので、結果自体は真新しくはないものの、上位3位までを独占となるとさすがに驚きは隠せません。
あまり食材に恵まれない国々だけに、素材の力だけに頼らず、技術力向上に努力する日々の姿勢がはっきりと示されました。この努力こそが、料理人の腕をあげる成功の鍵なのかもしれません。
優勝をかけての戦いは、2019年1月29日(火)、1月30日(水)、 フランス・リヨンにて開催されます。熱気が渦巻く食のW杯をお見逃しなく。日本チームも参戦しますので、応援に訪れてみてはいかがでしょうか。
筆者
イタリア特派員
YUCA
イタリア ピエモンテ州 アスティ在住。 フードスタイリストとして活動15年目、アスティにて起業。
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