【テルエル】スペイン版ロミオとジュリエット テルエルの恋人たち

公開日 : 2013年10月29日
最終更新 :

バレンシアからバスで北西に2時間ほど行ったところに、アラゴン州のテルエルという町があります。

この町はユネスコの世界遺産に登録されたムデハル様式の建物以外に、悲しい恋の物語でも有名です。

小説やオペラ、映画にもなり脚色されたために諸説が広まっていますが、『テルエルの恋人たち財団』の

サイトによると次のようなお話になります。

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<駅を出て町に入る時に登る大階段の正面にあるレリーフは、テルエルの恋人たちがテーマ>

13世紀のはじめのこと。テルエルにはフアン(ディエゴとも言われています)とイサベルという若い

恋人同士がいました。2人はたいそう愛し合っており、結婚したいと考えていました。しかし、イサベルは

たいそうお金持ちの家の一人娘で、フアンは貧乏な家庭の生まれ。イサベルの親が許すはずがありません。

フアンはきっとお金持ちになって帰るので5年間待っていてほしいとイサベルに告げ、テルエルの町を

後にします。そして、キリスト教徒軍に入り国土再征服のためにイスラム教徒軍との戦いに明け暮れ、

5年間で大金を手にしました。一方のイサベルは、早く娘を嫁がせたい父親をかわしているうちに

5年間が過ぎ、とうとう縁談を受け入れることになってしまいました。

結婚後まもなく、それまでまったくお音沙汰のなかったフアンがテルエルに帰ってきました。イサベルを

諦められないフアンはこっそりと会いに行くことに成功し、口づけを求めるも、既に人妻となったイサベルは

それに応じることができません。フアンは悲しみのあまりにその場で亡くなってしまいます。イサベルは

夫にそれを打ち明け、困った夫は他人に知れると自分が殺したと思われかねないので、こっそりと亡骸を

フアンの家に運びました。自分が口づけを断ったばかりにフアンが亡くなったのでイサベルはひどく後悔し、

悲しみに暮れ、せめて埋葬される前に口づけをしに行こうと決心します。亡骸が安置されていたサン・

ペドロ教会に向かい、そこでフアンに口づけをした後に息を引き取ってしまいました。イサベルを亡くした

夫は人々に何が起きたかを話し、2人は二度と離れることがないようにと一緒に埋葬されました。

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アントニオ・ムニョスが1884年に

描いた『テルエルの恋人たち』の

複製で、霊廟に展示されている>

実際に16世紀の半ばに教会を修復した際、ミイラ状態になった2人の亡骸が見つかったそうです。

このミイラは19世紀頃まで公開されていたそうですが(Amantes Teruelで画像検索すると出てきます^^;)、

現在は20世紀の半ばにつくられた2人を模った棺に納められ、永遠の眠りについています(なんと横側の

細工の隙間からは、ミイラがチラリと見えます・・・^^;)。

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2人の棺はサン・ペドロ教会併設の霊廟に置かれていて、見学が可能です。なお、この教会の

ムデハル様式の塔は、世界遺産に登録された『アラゴンのムデハル様式の建築物』ひとつ。

テルエルに行ったらぜひ訪れたいスポットです。

<サン・ペドロ教会と恋人たちの霊廟>

オープン:10:00~14:00、16:00~20:00(8月は10:00~20:00)。

入場料:教会や霊廟、塔などフル見学可能な入場券は9ユーロ、霊廟のみ4ユーロ、教会のみ5ユーロ

※入場券販売は19:30まで。

※1月1日、12月25日、バキージャ・デ・アンヘル祭り開催中の7月の月曜、土曜、日曜は、霊廟入場不可

<バレンシアからのアクセス>

バス:月~土1日4便、日曜3便、所要時間1時間45分~2時間

列車:1日3~4便、所要時間2時間40分~3時間10分 

テルエルはこじんまりした町なので、バレンシアから日帰りでも十分に観光できます。

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筆者

スペイン特派員

田川 敬子

東京生まれの東京育ち。オリーブオイル専門家としてスペインと日本で活動するほか、複数のウェブサイトにスペイン情報を寄稿。

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