タルコフスキーすき?映画『ストーカー』ロケ地巡礼
タリンにある映画ストーカーのロケ地
ソ連を代表する映画監督といえばアンドレイ・タルコフスキーですが、なんと、ここタリンにタルコフスキーの映画『ストーカー』のロケ地がございます。少しマニアックな内容になってしまいますが、タルコフスキーファン必見の巡礼地をご紹介します。
タルコフスキーとは?
タルコフスキーは、ソ連が生んだ偉大な映画監督の一人です。彼の映画は、しばしばその難解さのため「異様に眠気を誘う魔力的な作品」として知られていますが、実はぼくが映画の世界に片足を突っ込むことになったのも、十代の頃にみた『ノスタルジア』とその睡魔(笑)がきっかけでした。当時ぼくに理解できたのは「これまでみた映画とは決定的に何か違う」ということと強烈に眠いという二つの事実でしたが、単純に背伸びがしたかった自分にとって映画へ没頭する理由はその二つだけで十分でした。
写真:ゾーンの入り口(その1)
当局とタルコフスキー
ソ連時代、ロシアを含む(ウクライナ・グルジアなどの)ソ連圏から映画芸術を夢見る若者たちがモスクワへやってきました。彼らは全ソ連国立映画大学に入学し映画づくりに励みましたが、彼らに約束されていた「映画界」とはモスフィルムやレンフィルム(あるいは地方の映画スタジオ)のことで、「映画界に入る」とは国のために映画をつくることを意味しました。芸術家としての理念をもちながら共産体制の検閲を潜り抜けるためには、作品づくりで妥協をするか、妥協をするふりをして作品内に寓意をちりばめるか、妥協することを諦めるか、若者たちが映画界で生き残るための選択肢は限られていました。タルコフスキーは、晩年「妥協することを諦め」国外での作品づくりに専念しますが、イタリアへの亡命前に制作した作品が本作『ストーカー』です。
ストーカーとは?
映画『ストーカー)』にはゾーンと呼ばれる立ち入り禁止区域が登場しますが、ストーカーは外部の人間をゾーン内へ案内する水先案内人の呼称です。ストーカーとは何者か、ゾーンとはどういう場所か、具体的なことは実際に映画をみて頂き皆さまの想像力に委ねたいと思いますが、ぼくが今思うのは本作が現代社会を生きる私たちにとって示唆に富んだ作品だということです。さて、今回訪問したロケ地は、映画内でゾーンの入り口にあたります。
写真:ゾーンの入り口(その2)夏は雪が溶けUNの文字をみることができます
写真:塔の部分と斜めに迫り出している建物に注目して比較してみて下さい
勝手にまとめ
ソ連時代を通して世界の映画史に残る傑作が数多く残されましたが、ある意味、彼らに制限が設けられたからこそ、自身の作家性を意識し国などの枠組みを飛び越えて、芸術家としての使命に邁進することができたのではと考えています。現代というおおよそが許容されてしまう時代において、芸術を志す人々はこの「制限」について改めて考える価値があるのではないかと思います。(と、何のオチもないまとめでごめんなさい)
実はこれ、6月のお題"あなたの街の隠れた絶景スポット"でした。住所はこちら。
エストニアでSTALKING STALKERという本も出版されています。(出版の担当者からリンク許可に関する回答がなかったため)詳しい情報を知りたい方は、プロフィール欄のリンク先メールアドレスからご連絡下さい
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