パリのユネスコ本部を「ヨーロッパ文化遺産の日」に見学しよう

公開日 : 2019年09月18日
最終更新 :
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毎年9月に行われているヨーロッパ文化遺産の日。今年は21日(土)と22日(日)に開かれ、その週末には大統領府や首相府など、普段は立ち入りが制限されている施設が一般公開されたり、美術館の無料入館や特別イベントが行われます。

どの場所で何か行われてるのかは、「ヨーロッパ文化遺産の日」公式サイトのプログラムから検索できますが、今回はその中でも、パリ市内にあるユネスコ(国際連合教育科学文化機関)を紹介します。じつはここ、各国からの寄付などにより集められた美術品の宝庫です。

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ユネスコ正面玄関と芸術家たちによるオブジェ

ユネスコ本部はパリ市内7区、旧陸軍士官学校のすぐ隣のエッフェル塔を綺麗に見渡せる一等地にあります。現在の事務局長は女性のオードレ・アズレ氏。今回はヨーロッパ文化遺産の日に先駆けた、報道関係者向けの内覧会ということで、職員の方にガイド付きで敷地内を案内してもらいました。

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フォントノア広場の入口から入ると、まずロビーで出迎えてくれるのが、アルベルト・ジャコメッティの彫刻です。本部庁舎の建物自体は1958年に作られた鉄筋コンクリート建築で、マルセル・ブロイヤー、ベルナール・ゼルフェス、ピエール・ルイージ・ネルヴィの3人の建築家によってデザインされました。

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一般入口と国家元首などが来館する際の入口は異なっており、後者は比翼の形をした玄関になっています。玄関の周囲の中庭にはアレクサンダー・カルダー、ヘンリー・ムーアなどのオブジェが配置されています。

外交の主会場である第一会議場

もっともユネスコらしい建物と言えば第一会議場ではないでしょうか。2年に1回開かれるユネスコ総会の主会議場であり、他にもシンポジウムやコンサートなど、さまざまな催しが開かれています。

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総会での座席の配置は、1ヵ国につき代表者2席、そしてその秘書用の2席の計4席が、1階中央部分に当てがわれます。奥の2階席は傍聴席で、側面には報道関係者の席と、国連公用6言語(英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語、アラビア語)の同時通訳が入るブースがあります。

第一会議場の椅子や机はリニューアルされていますが、第一会議場と向かい側にある第二会議場は、昔ながらの椅子と机が残っています。2つを比べてみるのも面白いかもしれませんね。

会議場の手前にはピカソによる巨大な壁画「イカロスの墜落」も飾られています。この作品にはピカソのサインが入っていません。それは壁画の位置が視覚的に渡り廊下と被っており、壁画全体をきれいに鑑賞できないため、ピカソが気に入らずサインをしなかったためです。

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日本庭園が広がる中庭と原爆の爪痕

もう一方の中庭に出てみると、そこにはイサム・ノグチによる日本庭園が広がっています。日本庭園の手前には、長崎への原子爆弾の被害を奇跡的に免れた、長崎の浦上天主堂の正面にあった天使の頭像が飾られていたり、安藤忠雄氏が設計した建物「瞑想の空間」があります。

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日本庭園を抜けると、イスラエルのダニ・カラヴァンによる「寛容の広場」があります。オリーブの木と石碑が設けられ、石碑にはユネスコ憲章前文の「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という文言が、10言語で刻まれています。

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これら一通り見学して今回のガイドツアーは終わり。ユネスコ本部にはショップもあって、ユネスコのロゴが入ったグッズなども売られています。見学と併せてチェックしてみてください。

【データ】

住所:7 Place de Fontenoy 75007 Paris

開館時間:10〜18時(2019年9月21日と22日の場合)

最寄り駅:地下鉄8号線École Militaire/10号線Ségur

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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