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アルメニアン・ブランデー&アララト・ブランデー工場

マリアム

マリアム

アルメニア特派員

更新日
2022年11月21日
公開日
2022年8月11日
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アルメニアの誇る特産の一つ、ブランデー。アルメニアでは、1887年からフランス式の製法を用いてブランデーの製造がはじまりました。現在、アルメニアでは年間約200万リットルのブランデーが生産され、世界各国に輸出されています。その輸出国のひとつが日本であることを、皆さんはご存じでしたか? アルメニアのブランデーは、その品質の高さから(なんとコニャックの本場フランスで開催されたブラインドでの品評会で優勝)、かつては「コニャック」の名称で販売されていたことも。世界のブランデー愛好家の中でもファンの多い「アルメニア・ブランデー(現地では今でもアルメニアコニャックと呼ばれています)」。英国のチャーチル首相も、アルメニア産のブランデーを生涯愛して飲み続けていたことは有名な話です。今回は、現在も世界の愛好家を魅了してやまないアルメニア・ブランデーを工場併設の博物館からご案内いたします。

■アルメニア・ブランデー発祥の地

今では世界中のブランデー愛好家の間で名高いアルメニアブランデーの製造が始まったのは、今を遡る1887年のこと。アルメニアブランデーの生みの親は、ネルセス・タイリャンというアルメニア人です。彼は、帝政ロシアのモスクワ農業アカデミーに進学後にフランスに渡り、1870年にアルメニアに戻ると、従兄でブドウ栽培とワイン製造が専門であった農学博士のヴァシーリー・タイロフの助言を受けて葡萄酒づくりを始めます。彼が選んだ土地は、エレバンの古い要塞の跡地でした。そして、その地こそが現在アララト・ブランデー工場が今まさに建っている場所なのです。改めて工場のある場所を見上げると、どうしてあのような高台に工場を建てたのだろうかという謎が解けますよね。工場に向かう階段を見ると、思わず「ここを登るのか」と、ため息が出そうになりますが、工場開設のエピソードを聞くと階段の一段一段に歴史を踏みしめているように感じます。

■美味しさの立役者たち

アララト・ブランデー工場では、工場併設の博物館の見学ができます。見学には工場で製造されているブランデー「アララト」の試飲がついており、「アララト」のラインナップの中から試飲したいブランデーを選ぶことができます(見学は有料・詳細は公式HPでご確認ください:2022年8月現在)。博物館の見学は非常に人気が高いため、アルメニア滞在中にどうしても工場見学をはずしたくないという場合には、公式HPから予約をしておくと安心です。博物館の見学には、専属のガイドがつく(英語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、フランス語でのガイドサービスがあります)ので個人的に関心があることを直接質問することもできます。
アララトのフルラインナップが並ぶ展示室に直結した待合室にガイドが登場し、博物館への扉が開くと、ツアーの始まりです。ブランデーの芳香漂う館内に一歩足を踏み入れると、そこはもう非日常の別世界。ガイドの説明は、ブランデーの原材料として使われるブドウやブランデーづくりに欠かせない樽、ブランデーの製法やその歴史から始まります。博物館での名物の一つがこの「バレル(樽)」。アララト工場では、大統領、首相等の著名時の訪問を受けると名前入りのバレルが作成され、工場に貯蔵されるのです。壁にぎっしりと並んだバレルに著名人の名前を探すのも楽しみの一つです。

■パラダイスルームへようこそ!

アルメニアブランデーの歴史と製法を学び、更に通路を進むととっておきのサプライズが。荘厳な銀行の金庫室の扉を彷彿とさせるような扉を開くと、ブランデーの愛好家やお酒のコレクターにとっては、正に「天国」ともいえるこの空間が広がります。その部屋の名前も「パラダイス」。目前に広がるのは、1902年に工場で製造されたブランデーに始まる世界各国のありとあらゆる名酒が所狭しと並ぶ棚。お酒のコレクションが並んだ棚は、高い天井にも届くほど。数えきれないほどのお酒の種類に目を奪われ圧巻されます。ガイドさんに聞いてみたところ、まだ日本酒のコレクションはないとのこと。この棚に日本酒が並ぶ日が楽しみです。

■お楽しみの試飲タイム

パラダイスルームを出た後も、ブランデーにまつわる多くの展示が見学者の目を楽しませます。壁一面に工場を訪れた著名人のパネルに見つめられながら順路を進むと、ブランデー工場の初期の事務所を再現したコーナーに突き当たります。執務質の調度品もさることながら、アララト工場で生産されたブランデーに与えられた賞状やメダルの数に驚くばかり。改めて、この工場で生産されているブランデーのクオリティと人気の高さを実感します。約1時間にわたるツアーも終盤に差し掛かると、ちょっとしたブランデーの専門家になった気分です。ここで、博物館を後にしてお楽しみの試飲会場へ。ここでも、ガイドによる説明で、目の前に並ぶ琥珀色のブランデーの秘密が解き明かされていきます。かぐわしい香り、光の粒子を受けて輝くブランデー、まろやかな舌触り、五感のすべてを酔わせるブランデーがここにあります。

AraratBrandyCompany
住所
AdmiralIsakovAve.,2
電話
+374-10-540000
URL
https://en.araratbrandy.com/
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