タイの映えスポット「ワット・パクナム」に巨大仏像が完成!旅人が消えた「カオサン通り」の現状など在住者がレポート

公開日 : 2021年11月11日
最終更新 :

タイでは2021年11月1日より、日本をふくむ63ヵ国・地域からのワクチン接種済みのタイ入国者に対して隔離を免除するなど、本格的な観光客受け入れを再開しました。長きに渡り鎖国状態にあった観光立国、タイ。今後のタイ旅行に備え、映えスポット「ワット・パクナム」に今年6月に完成したばかりの「巨大仏像」をご紹介します。また、かつて「バックパッカーの聖地」と呼ばれた「カオサンロード通り」の現状や地元民の声もお届けします。(当記事は、2021年11月8日時点の様子をもとに執筆したものです。)

2021年6月 話題の映えスポット「ワット・パクナム」に金色の巨大仏像が完成!

2021年6月に完成した「ワット・パクナム」の巨大仏像
2021年6月に完成した「ワット・パクナム」の巨大仏像

2021年6月、「映えスポット」として近年SNSで話題になった寺院「ワット・パクナム(正式名称:Wat Paknam Phasicharoen)」の敷地内に、金色に輝く巨大仏像が完成しました。

「河口の寺院」という意味をもつ「ワット・パクナム」が位置するのは、バンコク中心部から少し離れたトンブリー地区の運河そば。

パーシーチャルーン運河から眺める「ワット・パクナム」
パーシーチャルーン運河から眺める「ワット・パクナム」

古い歴史をもつ由緒あるお寺で、創設はアユタヤ時代中期です。敷地内にある真っ白な「マハーラチャモンコン大仏塔」は、故プミポン国王と王妃の72歳の誕生日を記念して2012年に建設された、比較的まだ新しいもの。

「ワット・パクナム」の象徴である白い大仏塔
「ワット・パクナム」の象徴である白い大仏塔

この「大仏塔」は5階建てになっており、各フロアにはタイの美術品など数多くの貴重品が展示され、瞑想できるスペースなどもあります。

大仏塔2階。儀式行事や瞑想などを行う「タンクナーロム室」
大仏塔2階。儀式行事や瞑想などを行う「タンクナーロム室」
大仏塔3階は「博物館」になっている
大仏塔3階は「博物館」になっている

「フォトジェニックな写真が撮れる」とインスタグラムで話題になったのは、最上階である5階。中央には800枚のガラスを積み上げて作られたエメラルドグリーンのガラス塔があり、そのまわりを80頭のガラス製の竜王たちが囲んでいます。

「宇宙」を表現した美しい天井画
「宇宙」を表現した美しい天井画

見上げると、宇宙を表現した神秘的な「天井画」。独特な世界観で、吸い込まれそうな美しさです。2021年10月に筆者が訪問したときは、完全に貸し切り状態でした。

ガラス塔を囲む80頭の「竜王」たち
ガラス塔を囲む80頭の「竜王」たち

そしてこの「大仏塔」のすぐ隣に建設されたのが、高さ69m、幅40mの「巨大仏像」。タイ国内で3番目に大きな仏像となります。2017年から建造がはじまり、今年6月に完成しました。黄金に輝く仏像が青空によく映えて、その存在感と迫力に圧倒されます。

大仏塔の隣に建設された「巨大仏像」
大仏塔の隣に建設された「巨大仏像」

現地のタイ人ガイドによると「仏像が半眼」である理由は主に2つあるとのこと。ひとつは「瞑想に集中するため」、もうひとつは「信者たちを見つめるため」だと教えてもらいました。

「半眼」になった仏像の目
「半眼」になった仏像の目

この巨大仏像が今後、バンコクの新たな観光名所として注目を集めることは間違いなし。「ワット・パクナム」周辺は、中華系タイ人が多く住むローカル色が強いエリアで、古き良き地元民の暮らしを垣間見ることができます。訪問された際にはぜひ、この情緒あふれる風景を楽しみながらお散歩してみてくださいね。

「タイに行く時間がない……」という方は、千葉県成田市に「ワット・パクナム日本別院」もあるので、そちらもおすすめですよ。

ワット・パクナム(正式名称:Wat Paknam Phasicharoen)
住所
Soi Pak Nam, Thoet Thai Road
最寄り駅(またはアクセス)
BTS「ウタカート駅」から徒歩約20分、またはMRT「バンパイ駅」から徒歩約12分
拝観時間
8時~18時
入場料
無料
定休日
なし

「バックパッカーの聖地」が消えた。厳しい状況続く「カオサン通り」の今

2021年10月中旬の「カオサン通り」
2021年10月中旬の「カオサン通り」

「バックパッカーの聖地」として知られる「カオサン通り」。外国からの観光客がメインで賑わっていたこの場所も、コロナ禍で経済的な大打撃を受け、依然として厳しい状況が続いています。これまでの「カオサン通り」の歴史を振り返りながら、現状をお伝えします。

カオサン名物の看板とマクドナルドの人形
カオサン名物の看板とマクドナルドの人形

バンコク旧市街に位置する「カオサン通り」は、全長およそ400メートル、道幅およそ20メートルほどの道。カオサンとはタイ語で「精米」を意味し、1970年代までエリア一体に「米問屋」が多かったことに由来しています。1980年代にはこの通りの住民が旅行者向けに空室を貸しはじめ、そこからカオサンの「安宿ビジネス」がはじまりました。

そこから安宿や旅行代理店が次々と増えていき、やがてカオサンは世界有数の「バックパッカー街」として、多くの旅人の憧れの地となっていったのです。

多国籍のバックパッカーが行き交う「カオサン通り」
多国籍のバックパッカーが行き交う「カオサン通り」

筆者が初めて「カオサン通り」を訪れたのは2011年のことです。熱気と喧騒に満ちたその場所には、露店や安宿、ツアー代理店がひしめきあい、「マダァーム、コレヤスイヨ~」と怪しげな客引きの声がそこらじゅうから聞こえ、多国籍の旅行者が行き交っていて……その風景をひとことで言うと、「カオス」。

2011年の「カオサン通り」の風景
2011年の「カオサン通り」の風景

まだネットが普及していない時代、安宿で出会った旅人同士で情報共有をしたり、航空券を代理店で購入したりしていました。

夜になると、露店や屋台に集まる人々で、通りは埋め尽くされました。カオサンは旅の拠点、旅人同士の出会いと集いの場として機能しており、まさに「バックパッカーの聖地」だったのです。

幅広い年齢層の旅人が「カオサン」に集い交流を楽しんだ
幅広い年齢層の旅人が「カオサン」に集い交流を楽しんだ

ところが時代が変わり、ネットの普及が進むにつれて、カオサンで航空券を買ったり旅人同士で情報交換をしたりする必要がなくなりました。筆者が2019年9月に訪れたときは、カオサン独特の混沌を残しつつ、多くの安宿や旅行代理店が姿を消し、かわりに洗練されたお洒落なレストランやバーが増えていました。

2019年9月の「カオサン通り」
2019年9月の「カオサン通り」

そんな「カオサン通り」がさらに大きく様変わりしたのは、2020年のこと。2020年1月より大規模なリニューアル工事がおこなわれたのです。工事が完了した同年6月に訪れると、ステンレス製のポールにより車道と歩道がしっかりと区分けされ、道の段差はなくなり、見違えるようにきれいに整備されていて驚きました。

リニューアル工事が完了した2020年6月の「カオサン通り」
リニューアル工事が完了した2020年6月の「カオサン通り」

カオサンの客引きや住民にリニューアル工事について感想を尋ねると「きれいになって嬉しい」「商売がしにくくなった」など、まさに賛否両論。しかし全体としては、肯定的な意見が多い印象でした。

改修完了直後の2020年6月に訪れたカオサン通りにあるレストラン「CHART BAR & RESTAURANT」。およそ30年前にオープンしたというこの店は、タイ人のオーナー夫婦が経営しています。

カオサン通りのレストラン「CHART BAR & RESTAURANT」
カオサン通りのレストラン「CHART BAR & RESTAURANT」

工事についてたずねると「私たちはこの建物で暮らしているし、カオサンが生活圏なの。だから綺麗になって嬉しい」と喜んでいました。「コロナに負けない。お客さんが戻ってきたときに備えて、今のうちに店をリノベーションするの」と意気込みも十分。

いっぽうリニューアル工事後のカオサンの姿を目の当たりにし、SNS上では「かつてのカオサンの面影がなくなってしまった」と驚き、落胆する声が多く聞かれました。筆者も正直寂しい気持ちになりましたが……諸行無常。「いつまでも変わらずにいてほしい」と願うのは、私たち外国人旅行者のエゴなのかもしれません。

「CHART BAR & RESTAURANT」のオーナー夫婦に現状をうかがった
「CHART BAR & RESTAURANT」のオーナー夫婦に現状をうかがった

コロナ禍の厳しい状況が変わらないまま、年が明けた2021年。10月中旬の昼過ぎに「カオサン通り」を再訪すると、相変わらず閑散としていました。観光客はひとりも見かけず、営業している店は全体の1割にも満たないほど。

2021年10月の「カオサン通り」
2021年10月の「カオサン通り」

雨が降ってきたので、昨年訪問したレストランに立ち寄りました。店員に現状をたずねると、「1日平均で2、3人しか客がこない」とのこと。去年あれだけ意気込んでいたリノベーションをした様子も見られません。オーナー夫婦は不在でしたが、元気にしているのでしょうか……。

カオサン通りと隣接する「ランブトリ通り」へ。通りに面したマッサージ店に入りました。15時頃の入店にも関わらず「あなたが本日1人目のお客さんよ」とのこと。

ランブトリ通りにあるマッサージ店「DARIN Massage & Spa」
ランブトリ通りにあるマッサージ店「DARIN Massage & Spa」

コロナ禍の規制で長期間マッサージの仕事ができなかったという女性は一言、「コロナなんて大嫌い」。極上のマッサージが終わったあと「もう営業できるようになったから、ぜひ次回はお友達と一緒にきてくださいね!」と笑顔で見送りをしてくれました。

笑顔で見送りしてくれた「DARIN Massage & Spa」のスタッフさん
笑顔で見送りしてくれた「DARIN Massage & Spa」のスタッフさん

時代が変わって「安宿街」としての全盛期が過ぎ去り、ここ数年で「若者がナイトライフを楽しむお洒落ストリート」へと変貌を遂げた「カオサン通り」。コロナ禍で外国人観光客を奪われ苦しい時期がずっと続いていましたが……11月から夜間外出禁止令が解除され、一部の店で午後9時までの店内飲酒が許可されたことにより、少しずつ「眠らない街」が復活しつつあるようです。カオサンがかつての活気と賑わいを取り戻すことを願っています。

カオサン通り
住所
165, 167 Khaosan Rd, Talat Yot, Phra Nakhon, Bangkok, Thailand
最寄り駅(またはアクセス)
MRT「サムヨット駅」から徒歩約20分、タクシーやトゥクトゥクで10分弱

旅のバイブル「地球の歩き方」ガイドブック

やっぱりタイはおもしろい! バンコクで絶対やりたい15のことをピックアップ。必食グルメに買い物、インスタ画像もゲットできる最旬プランから、大ブームのナイトマーケットにパワースポット、人気エリアのディープな町歩きまで、いまのタイを体感できる最強ガイドです。スパ&マッサージ、おみやげの最新情報も満載!


TEXT・PHOTO:バンコク特派員 日向みく

※当記事は、2021年11月8日現在のものです。

筆者

地球の歩き方書籍編集部

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。

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