ひとり女子旅でも大丈夫?現地在住日本人ライターがガイドするフランスの治安とNGリスト

公開日 : 2022年12月09日
最終更新 :

旅にトラブルは付きものですが、可能ならトラブルは回避できるに越したことはないですよね。地球の歩き方特派員が、パリに住んで気づいた現地の治安とトラブルの元になるNG行動のリストをまとめました。

貴重品はとにかく見せない、所持しない

地下鉄内は十分に気をつけて ©iStock
地下鉄内は十分に気をつけて ©iStock

フランスではどのような状況においても、日本での二重、三重に慎重に、そして何事にも疑ってかかることが大切です。それが危険の予測・予防につながります。加えて、最悪のケースを常に考えつつ、万が一の際への準備もしておきましょう。

まず貴重品の取り扱いは、「とにかく人がいるところで見せない」です。すぐそこまでだからと現金や財布などをかばんに入れないでそのまま持つ、不特定多数の人がいる中で財布の中身を確認するといったことは避けます。女性だと大きめの財布を持っていることも多いですが、旅行中は小さめの見た目を地味なものに変えてもいいかもしれません。

現金そのものを多く持たないようにすることも防犯対策になります。フランスはクレジットカード社会で、地方含めて多くの場所でクレジットカードが利用できます。実際私も、普段は20〜30ユーロくらいしか財布に入れていません(時々カフェなどで数ユーロの少額だとクレジットカード払いを断られる場合があるため)。支払い時のクレジットカードやATMでのキャッシング時は、暗証番号を入力する時に片手で暗証番号を押す手を隠しながら行うと防犯になります。

財布を取られた際にクレジットカードはすぐに止められますが、現金は戻って来ません。万が一の際に備えて被害は最小限に食い止めたいですね。

スマホの確認頻度は控えめに

スマホに気を取られて周囲への注意が疎かになりがちに ©iStock
スマホに気を取られて周囲への注意が疎かになりがちに ©iStock

iPhoneなど高価で最新のスマートフォンは、スリにとって格好の獲物になります。特に多いのが地下鉄など列車内での盗難・強奪。気づかれないように狙いを定めて持ち主へ近づき、列車の扉が閉まる間際にスマホを奪い、列車の外へ逃げるという手口がよく見られます。

私の予防法としては、列車内でスマホ確認頻度を減らしています。もし見る必要があったとしても、列車が駅に着いた際の扉の開閉時にはスマホは毎回、カバンやポケットにしまうようにして、列車が動き出したら続きの作業を行うようにしています。この扉の閉まり際を狙った盗難は、スマホに限らずほかの貴重品盗難でも行われています。

レストランやカフェなどのテーブルに、スマホを出しておく行為も危険です。特にテラス席は危険で、気がついた頃には置いてあったはずの場所から無くなっている場合があります。

盗難に抵抗して、もし暴力を振るわれそうになったら潔くあきらめる気持ちも大切です。かすり傷程度なら良いですが、何かの拍子に後遺症が残るようなことになると盗られる金額以上の被害になります。

できればファッションなども現地風に

観光客かどうかは案外区別が付きやすい
観光客かどうかは案外区別が付きやすい

同じアジア人の見た目でも、着ている洋服などで現地に住んでいるアジア人か観光客かどうかは一目で分かることが多いです。できればヨーロッパ風(シンプルな装いであることが多い)の格好をした方がスリなどのターゲットにされにくいです。旅行者はしばしばリュックサックに南京錠をつけていますが、南京錠ももし付けるならできれば見えないように付けたほうが良いと個人的には思っています。旅行者だと一発で分かるからです。

私の経験だと歩く速度もスリからターゲットにされる確率に関わるように思います。ゆっくり歩いていたり(かつスマホに気を取られていたり)するとスリが寄ってきやすく、足早にスタスタ歩いていると現地人っぽく、またスリも狙うタイミングを図りづらいため犯罪に合う確率も減る気がします。特に女性で、綺麗な格好をしている人がゆっくり歩きながらスマホを見つつ迷っていると、スリも標的にしようと思いやすくなります。

パリなど大都市の観光地では「スピーキングイングリッシュ?」と言いながら署名を依頼する詐欺兼スリがよく出没します(署名をすると「署名したから寄付をくれ」と言い、また署名しているときにスリを働く場合もあり)その際はもちろん無視、または「ノン!(ノー!)」とだけ言ってその後は無視するに限るのですが、足早に歩いていると話しかけられる頻度も減ります。

パスポート再発行の準備をしておく

パスポートを失うと旅の予定も一気に狂う ©iStock
パスポートを失うと旅の予定も一気に狂う ©iStock

財布などと一緒に貴重品をまとめておいたがために、パスポートも一緒に盗られてしまったという時のために、あらかじめパスポートの再発行の準備をしておくと安心です。

パスポートの再発行には戸籍謄本または戸籍抄本が必要ですが、それらの書類は海外の日本大使館では発行できず、日本にいる代理人などに日本の役所で手配してもらう必要があります。日本にすぐ動いてくれる人がいない場合は、かなり大変な作業です。そのため、海外旅行時にはあらかじめ持ち物リストに加えておきましょう。

戸籍謄本または戸籍抄本は450円で取れますので、海外旅行保険だと思って事前に取っておくと万が一の時に役立ちます。

フランスでは常に最悪を予想して行動する

危険は町中で不意に訪れる ©iStock
危険は町中で不意に訪れる ©iStock

パリの町を歩くときは、常に最悪のケースを想像しながら行動すると、多くの危険を避けられます。たとえば「もしかしたらあの人はスリではないのか」「スリの集団に囲まれどうしようもなくなったとき、最悪どの所持品を守るのか、手放すのか」「急に襲われたらどの方向に逃げればいいのか、また逃げ道とその方向にスペースは確保されているのか」「後ろからバイクに乗ってひったくりが来るのではないか」「誰かに車道に、または階段上から突き飛ばされるのではないか」「車が歩道に突っ込んでくるのではないか」など。

パリでは、頭上含めて自分を中心とした全方位から五感で得られる情報を常に頭で分析しながら、上記の「最悪のケース」を想定して、そこから逃れられる方法をどうすればいいかを予想して行動すると良いです。晴れているのに、なぜか一部分だけ道路が濡れていたら、「この水はどこから来たのか?」と思って見上げると、バルコニーから植木鉢の水が下垂れ落ちてきているはずです(犬の小用の跡であることもありますが!)。水であれば良いですが、もしかしたら植木鉢そのものが落ちる可能性もあります。

変な行動を取っている人がいたら、車道を挟んで反対側の歩道に早めに渡ることも大切です。歩道に大きめのバンが停まっていて、車の影で周囲からの死角となりそうなら、そちら側は通らず、逆側を通ることも大事。連れ去りを防げます。

少しでも「嫌な感じ」が自分のレーダーに反応したら、それを避けて行動します。これらを積み重ねていくことで、旅行中に犯罪にあう可能性を減らせます。

このようなさまざまケースを聞いてしまうと「パリ旅行はやめておこうかな」と思ってしまう人もいるかもしれませんが大丈夫。事前に可能性を頭に入れておくことで防げますので(可能性を想像できないと防げません)、後は楽しい計画作りに集中しましょう。これを読んだあなたの防犯レベルはすでに一段アップしています!

監修:地球の歩き方

フランスの最新安全情報(外務省)

フランスの治安については、外務省が提供する以下の最新安全情報も合わせてご覧ください。

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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