フランス旅行者のための海外旅行保険の知識

公開日 : 2022年12月09日
最終更新 :

海外旅行保険ってよく分からない!入らないといけないの? という人も多いはずです。しかし保険は旅行の準備で最も大切なことのひとつ。怪我や病気はある日突然襲ってきて、予定していた移動が制限されたり予想外の滞在費用がかかることもあるかもしれません。そこでフランス旅行をする人向けに海外旅行保険についてまとめました。

なぜ海外旅行保険が必要か

外国語の環境下での通院ほど大変なことはない ©iStock
外国語の環境下での通院ほど大変なことはない ©iStock

日本で病院にかかると、ほとんどの日本人は治療費の支払いが全体の3割以下の負担で済みます。これは日本が国民皆保険を実現しており、ほぼ全ての人が何らかの公的医療保険に加入しているからです。例えば、風邪をひいて病院に行っても数千円の支払いで済むのは、残りの7割を公的医療保険が負担しているためです。

では海外に行った場合はどうでしょうか。旅行者はその国の公的医療保険に加入していません。ゆえに治療費の負担は10割(全額)となります。風邪程度なら良いですが、もっと深刻な病気や大きな怪我だと、さまざまな処置が必要になり、すぐに数十万円単位(場合によっては数百万円単位)で治療費を請求されます。

そのほかにも、帰国の費用や救援の費用、またはこちらが加害者になってしまった際の賠償責任におよぶ場合もあるかもしれませんし、携行品の盗難や破損があるかもしれません。それらの負担をカバーしてくれるのが海外旅行保険です。加入は任意ですが、旅行する際は加入を強くおすすめします。また日本の保険会社であれば、何かあったときに日本語で相談できるため心強いです。

どの海外旅行保険に入るべきか

上位のクレジットカードだと補償内容も厚いことが多い ©iStock
上位のクレジットカードだと補償内容も厚いことが多い ©iStock

海外旅行保険を考えるときに、大きく3つの選択肢があります。「新規に海外旅行保険に加入する」「クレジットカードに付帯の海外旅行保険を使う」「クレジットカードの付帯保険を利用しつつも足りないと感じる範囲を上乗せ補償する」です。

新規で加入する場合、大手であれば補償内容と補償限度額は似通っていますが、例えば「A社の補償プランはB社やC社と比べて総額では安いが携行品について補償が少ない」など細かなところで変わるはずです。「高めのカメラを持っていくから携行品の補償額は高くしておこう」など自分の旅行スタイルに合わせて選んでみましょう。

クレジットカードに付帯の海外旅行保険の場合、見落としがちなのが保険でカバーされる範囲と旅行代金をそのカードで決済しないと保険の対象にならないことがあるという点。「カード付帯の保険があるから」と何となくそのまま確認せず海外へ出発してしまうと、いざ現地で何かあっても保険の対象とならない場合があります。旅行前の再確認は必須です!

カード付帯の保険内容を確認した結果、もう少し補償内容を厚くしたいと感じた時は、足りない項目のみを保険会社に新規で申し込む上乗せ補償をしてもいいですね。

海外旅行保険は出発前に空港でも加入できますが、できれば内容を詳しく見比べて、事前に申し込んでおくことをおすすめします。当日、家を出発するまでに加入した場合は、家から空港までの旅程もカバーされるため、空港へ行くまでに事故に遭ってしまっても保険が適用となり、空港で加入するよりもカバーされる範囲が少しだけ広がります。申し込みは各社インターネットから。

もしフランスで病気になったらどうすべきか

パリ・アメリカンホスピタルの入口
パリ・アメリカンホスピタルの入口

実際に現地で病気などになってしまったらどうすればいいでしょうか。急を要する場合でなければ、まずは加入した保険のサポートデスクに電話しましょう。どのようにすべきか手順を教えてくれるはずです。

保険適用の範囲だと判断された場合、通院の際は旅行者が治療費を立て替えず、保険会社と病院が直接やり取りをしてキャッシュレスで診察してもらえることが多いです。フランスは医薬分業ですので、薬の院内処方はせず処方箋を自分で薬局まで持っていく必要があります。それら薬代の請求方法や、病院までの往復の交通費(タクシー代)の請求方法も、利用する前に聞いておきましょう。必要書類が足りず交通費の保険請求ができなかったということを防げます。

保険会社から希望の病院を聞かれることもあるかもしれませんが、パリ周辺の場合はパリ西部に隣接するヌイイ・シュル・セーヌ市にあるパリ・アメリカンホスピタルが定番です。最先端医療を提供する総合病院で、日本人の医師が常駐していてとても頼りになります。

Hôpital américain de Paris(パリ・アメリカンホスピタル)
住所
63 Boulevard Victor Hugo 92200

もしフランスで盗難にあったらどうすべきか

盗難届を出したとしても盗られたものはまず戻ってこないと考えた方がいい ©iStock
盗難届を出したとしても盗られたものはまず戻ってこないと考えた方がいい ©iStock

もし持ち物が盗まれた場合も、急を要しない場合でなければ、まず加入した保険のサポートデスクに電話して判断を仰ぎます。そうすると、おそらく最寄りの警察署に被害届を出すよう案内されるので、それに従いましょう。

警察署は届出を出した人に盗難証明書を発行してくれます。これが帰国後に保険金を請求する際の根拠になります。届出の書面について、もしフランス語が分からない場合は、在フランス日本国大使館が日本語併記の被害届作成書をウェブで配布 していますので、それを利用するのも手です。

病気や怪我、盗難などはいつどこで発生するか分かりません。万が一のことがあっても、それに対処できる環境を整えておくことが精神的にも海外旅行の不安を軽減させ、より楽しい思い出づくりに貢献してくれるはずです。

監修:地球の歩き方

文書番号:NH2312-0002

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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