イタリア人に聞いた!人気のおいしいジェラート屋の見分け方

公開日 : 2023年02月07日
最終更新 :

イタリア生まれのアイスクリーム「ジェラート」は、ピザ、パスタとともにイタリアを代表する人気の食べ物です。映画「ローマの休日」では、ローマのスペイン階段でオードリー・ヘプバーンが演じるアン王女もジェラートを食ベていました。イタリアには、おおよそ4万のジェラート屋さんがあるといわれています。この数は欧州一で、街を歩けばたくさんのジェラート屋さんがあり、どこのお店がよいのか迷ってしまいます。今回はイタリア人に、ジェラート屋に入るときには何を基準に選んでいるのかを聞いてみました!

ジェラートって何?アイスクリームとの違いは?

イタリア・ローマのジェラート屋さん
イタリア・ローマのジェラート屋さん

イタリアでは「ジェラート」についてどのような定義となっているのか、イタリアの百科事典トレカーニを開いてみましょう。辞書には、ジェラートは「砂糖、牛乳または植物性油脂、果汁、卵、チョコレートなどのさまざまな物質を混合して、凍結により固形またはペースト状にした食品のこと」とあります。またジェラートには、イタリアで「グラニータ」や「ソルベット」と呼ばれるシャーベット状のものなど、5つの種類があると書かれています。

ジェラートを専門に作って販売しているお店を、イタリアでは「ジェラテリア Gelateria」といいます。
ジェラートは、牛乳、卵、砂糖、果汁などのベースとなる材料で作られたイタリアの氷菓です。ジェラートにはたくさんの味があり、チョコレートやピスタチオなどのナッツ、フルーツなどを混ぜ合わせることもあります。

ジェラートが、アイスクリームと異なる点が3つあります。
一つめは、ジェラートは空気の含有量が35%未満と少なく、アイスクリームよりもしっかりしたテクスチャーでかための食感であることです。一方、アイスクリームの空気含有量は、少なくとも50%はあります。そして、ジェラートの乳脂肪分は4~8%で、アイスクリームの乳脂肪分の8%以上に比べると軽めで低カロリーになっています。日本の厚生労働省の決めているアイスクリームの種類では、乳脂肪分が3~8%未満のものは「アイスミルク」と呼ばれています。
三つめは、アイスクリームは、ショーケースの中では通常マイナス15℃以下に保たれていますが、ジェラートはマイナス10℃前後で保存されています。アイスクリームよりもやや高い温度で食べるジェラートは、口に入れると絹のような滑らかでコクのある食感が広がります。

ジェラートの本場イタリア-ジェラートの歴史について

ジェラートはコーンかカップかを選ぶことができる。こちらはコーンの小サイズ。小サイズは2種類の味が選択可能。右側のジェラートの一番上の白いものは、イタリアではジェラートにのせられる生クリーム(無料サービス)。
ジェラートはコーンかカップかを選ぶことができる。こちらはコーンの小サイズ。小サイズは2種類の味が選択可能。右側のジェラートの一番上の白いものは、イタリアではジェラートにのせられる生クリーム(無料サービス)。

イタリアの百科事典トレカーニによると、ジェラートの起源は16世紀のイタリアにさかのぼることができます。
ジェラートは、カテリーナ・ディ・メディチの宮廷で建築家をしていた、ベルナルド・ブォンタレンティが生み出したといわれています。トスカーナ大公国を代表する建築家であった彼は、ルネサンス時代のレオナルド・ダ・ヴィンチと同様に、建築物の設計から料理の発明まで行う“万能の人“でした。ブォンタレンティは、手混ぜのジェラートの製造機も発明しました。

同じ16世紀にイタリア人がジェラートをフランスに持って行き、そこからヨーロッパに広く普及したことが分かっています。1660年頃、シチリア人のフランチェスコ・プロコピオ・デイ・コルテッリがパリに開いたカフェ「カフェ・プロコペ」は現在も知られており、そのジェラートは「カフェ・ナポリタン」と同様に有名になりました。1851年になり、イタリア移民がアメリカにジェラートを持ち込むと、ジェラートはアメリカでも最も人気のあるフローズンスイーツのひとつとなりました。現在イタリアには、おおよそ4万店のジェラート屋があるといわれています。

イタリア人のチェック方法!おいしいジェラテリアの見分け方

個人の嗜好や、脂肪分や甘さに対する感度は除外し、一般的においしいジェラートを見極めるときに知っておきたいポイントがあります。筆者も、一度、とてもまずいと感じるジェラートに出会ってしまったことがあります。ピスタチオとチョコレートフレーバーのジェラートは、口に入れると、なぜかどちらもぱさぱさと乾いた食感で、味もまるで香水を食べているかのような化学調味料系のおかしなものでした。一口以上は食べられなかったことを覚えています。それでは、イタリア人がジェラート屋に入るときに見ているいくつかの指標をリストアップします。

店舗の雰囲気は?イタリアの地元客が多いかどうかをチェック!

質問:ジェラート屋に入ろうかどうかを考え中のときに、何を最初に見て判断しますか?

「ジェラート屋の外観の美しさや、お金をかけていて豪華な調度品やインテリアで飾られているかどうかは関係がないよ。まずは、いるお客さんを見てください。地元の人(イタリア人)が多く食べていて、イタリア語が飛び交っているようなら、よいジェラテリアの一つかと思います。逆にびっくりすることに、イタリア人がゼロで、お客さんは観光客のみのお店もあるよ。イタリア人は味にうるさくおしゃべりなので、お店のよい悪いの評判も口コミですぐに伝わります。イタリア人のお客さんが誰も入っていないお店は観光客向きで、手作りではない工場生産の量産のジェラートを仕入れているだけの可能性があるね。また、店内が清潔で整理整頓されていれば、管理の行き届いたよいお店といえるかな」

ジェラートがどのように盛られているかをチェック!お客さんの入り具合は?

質問:ジェラートの見た目で判断する方法はありますか?

「見た目で判断する方法はたくさんあります。ジェラートが、やたらもりもりと高く積み重なっている場合は、もちろん、今から少し前に新しくできたものを盛りつけた可能性もあるけれど、通常はジェラートを高く盛ることで、派手で目をひくように考えられた観光客向けのお店であることが多いと思うね。イタリアでは、おいしいジェラート屋は常にお客さんがいっぱいのため、盛り付けられたままの形で何時間もあることの方がまれだよ。たいがい容器の底が見えているような状況に出くわすのが普通かな。ジェラートの回転が早いということは、お客さんがたくさん来ている証拠だよ。お客さんが多ければ多いほど、ジェラートは新鮮といえると思うよ」

ジェラートの色をチェック!厳選された天然素材かどうかを見る

天然素材のみでジェラートを作るジェラテリアのいちご味(いちごはイタリア語でフラゴラ Fragola)
天然素材のみでジェラートを作るジェラテリアのいちご味(いちごはイタリア語でフラゴラ Fragola)

質問:ジェラートの色も見ていますか?

「もちろん。色は最重要のチェック事項だよ。ジェラートの色が、不自然に鮮やかだったりしていたら着色されたものかもしれないね。天然素材で作られたジェラートは、自然なナチュラルな色をしているよ。また、妙に光沢のありすぎるジェラートも注意。例えばピスタチオといちご味を見て、着色がされているかどうかがイメージできるよ。ピスタチオは緑色のイメージだけれど、ジェラートにすると、淡い黄緑色のようなトーンの色になるよ。いちごもピンク色は鮮やかすぎるのはおかしいね」

「オレオ」や「M&M’s」チョコレートなどの味はツーリスト向き?

質問:「オレオ」「Twix」「Mars」などの外国のメーカーのお菓子で作られた味のジェラートがたくさんならんでいるお店もありますが、どうですか?

「アメリカやイギリスからの観光客が食べたくなるような味を提供しているのかな?すべてのジェラテリアがそうとはいえないけど、ショーケースの中がそのようなフレーバーばかりだったら、観光客向けのお店だと思うよ。ジェラートに凝ったトッピングや大量のソースがかかっていたりする場合は避けて、シンプルに素材のおいしさを味わえるジェラート屋に行ってみて」

ローマの観光スポットの前にある観光客向けのジェラテリア。色鮮やかなジェラートが高く盛られている。左下の赤字の部分が、ショーケース内の温度をマイナス10.7度と表示している。
ローマの観光スポットの前にある観光客向けのジェラテリア。色鮮やかなジェラートが高く盛られている。左下の赤字の部分が、ショーケース内の温度をマイナス10.7度と表示している。

何種類のフレーバーがある?「手作り(アルティジャナーレ)」の表示は?

「アルティジャナーレ(Artigianale)」とはイタリア語で手作りを意味する
「アルティジャナーレ(Artigianale)」とはイタリア語で手作りを意味する

質問:ジェラートの味は多くのバリエーションがあった方が、どんなジャンルの味も作れる専門的なお店といえるのでしょうか?

「これは一概にはいえないね。たくさんの味を売るかどうかは、お店の大きさや方針にもよるよ。ただ、大きなジェラテリアで、ショーケースの中の50種類もの容器を管理するには、より多くの労力を必要とすることは確かだね。一方、売られているものが10種類とフレーバーが少なくても、その名を誇れるおいしいジェラートを作るお店はたくさんあるよ。イタリア人に最も人気があるフレーバーは、チョコレート味との統計があるよ。また、お店に手作りを意味する「アルティジャナーレ(Artigianale)」と書いてあるところは、手作りのため、フレーバーの数が少ないお店も多いのだけれど、一つ一つに全力投入されていておいしいジェラートだよ!」

ジェラートショップのスタッフのプロ意識はあるか?

質問:お店の人が親切で接客態度もよいとまた来たくなりますね。どう思いますか?

「もちろんさ。ジェラートを作った職人が、べつにジェラートをサービングしてくれなくてもよいけれど、店員が ”このピスタチオの産地はどこですか?” といった疑問にすぐに答えられるようでないとプロフェッショナルでないよ。最近は、アレルギーのある子供や乳糖不耐性の人も多いから、ジェラートの原材料に関してしっかり把握していないといけないね」

ジェラートはコーンかカップかを選ぶことができる。こちらはカップの小サイズ。小サイズは2種類の味が選択可能。白いものは、イタリアではジェラートにのせられる生クリーム。
ジェラートはコーンかカップかを選ぶことができる。こちらはカップの小サイズ。小サイズは2種類の味が選択可能。白いものは、イタリアではジェラートにのせられる生クリーム。

「Google Mapの口コミ」「Tripadvisor」「Yelp!」「Trustpilot」などのレビューでも確認!

質問:ジェラテリアに行く前に、ネット上のレビューを見て参考にすることはありますか?

「評価の星の数を見て、評判のよいお店には行くこともあるよ。今は便利な時代で、スマホがあれば外でも簡単に飲食店のレビューがチェックできるね。だいたいの客観的な指標とはなっているかな。イタリア人は、味やサービスに納得のいかなかったお店には、かなり厳しい口調で書くよ。そして店長や責任者がしばしば返信して、やり取りしているよ」

味見をさせてもらおう!牛乳が牧場発のようなフレッシュさならOK

中央の白いジェラートが、イタリア人にも人気のフィオール・ディ・ラッテ
中央の白いジェラートが、イタリア人にも人気のフィオール・ディ・ラッテ

質問:初めて行ったお店で気になるフレーバーがあった場合、味見をさせてもらうのはどうでしょうか?

「僕たちもそうしているよ!美食の国イタリアでは、購入前に味見をして決めるのはジェラテリアに限らずあることなので、嫌な顔をするお店はないと思うから、”味見はできますか?(ポッソ・アッサッジャーレ?Posso assaggiare?)”と聞いてみて!
お店のジェラートがおいしいかどうかをテストするには、フィオール・ディ・ラッテ(Fior di latte)やピスタチオを食べてみるのがおすすめ。フィオール・ディ・ラッテは直訳すると「ミルクの花」という意味だけど、このシンプルな白いジェラートが新鮮なミルクの味がしておいしいようなら、このお店はきっと原料が良質だと思うよ」

まとめ-世界ランキングでも活躍のイタリアのジェラート

昨年の「ジェラート フェスティバル ワールドランキング」でも、世界ランキングのトップ10のうち、7つをイタリアのジェラート職人が占めていました。イタリアでは、世界で最もおいしいジェラートを味わうことができます。おいしいジェラートは、新鮮で甘さとクリーミーさのバランスがとれていることです。濃厚なのにしつこくない感じでしょうか!昨今では、定番の味の他に、季節の野菜や抹茶、チーズケーキなどのフレーバーを作るお店もあります。

また、イタリアのジェラート屋では、500g、1kg、2kgなどの単位でのテイクアウトも可能です。ご参考までに、2023年2月時点でのローマのジェラテリアでの平均的な価格は、2つの味が選べる小サイズのコーンもしくはカップで2.5ユーロです。
筆者からは、濃厚な味わいが楽しめるピスタチオやチョコレート、夏ならさっぱりとしたヨーグルトやレモン味がおすすめのジェラートです。ジェラートはアイスクリームより脂肪分が少なく、一般的にカロリーは低いとはいっても、毎日食べていると太ります。筆者も半年で6kgくらい太った事件がありました。犯人は間違いなくジェラートかと思います。とても暑い夏で、のどごしのよい滑らかなジェラートがするするとおなかに入っていきました。皆さんもお気に入りのジェラート屋さんを探してみてください!

イタリア・ローマのジェラート屋さん
イタリア・ローマのジェラート屋さん

筆者

イタリア特派員

阿部 美寿穂

ローマからイタリアの日常やイタリア旅行に役立つ情報などをお送りしています。

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