119. 職人たちの手仕事が見学できる工房が集まるハッピーバード・アートギャラリー サマルカンドで雑貨土産を買うならここ!
サローム(こんにちは)!
皆が気になるサマルカンドのお土産スポット。伝統工芸品や、その品々をアレンジしたかわいい雑貨が揃い、お気に入りの商品がいくらでも見つかるはず。ただできるなら良心的で信頼のできるお店で買いたいですよね。
以前ご紹介した日本人経営カフェ、Ikat Boutiques Cafe(89. 日本人・ウズベク人夫婦経営のカフェ Ikat Boutiques Cafeはサマルカンド旅の心強い味方)も自信をもっておすすめできるお土産屋さんの一つですが、もう1つ紹介したいところがあります。それが伝統工芸の職人さんたちが仕事をしている工房が集まった施設、ハッピーバード・アートギャラリー(ガイドブック『地球の歩き方』にはハンドクラフト・センターまたはフナルマンド・マルカズの表記で記載)。工芸品のスペシャリストの手仕事をこの場で見ることができ、その場でお土産が買えてしまうのです。と聞けば、行ってみたくなってきたでしょう?
建っているのは歩行者天国カリモフ通り(旧タシケント通り)を少しそれたところ。カリモフ元大統領像近く、レギスタン広場からも徒歩3分ほどの好立地です。
中庭を囲むように立つ2階建ての建物は1900年ごろキャラバンサライとして建てられたもので、2009年に工房センターになりました。レギスタン広場マドラサ内のお土産屋にしても、リシタンの陶器センター(16. 陶芸の町リシタンの新名所!国際陶器センターでリシタン焼の魅力にふれる)にしてもそうですが、この国は旅行者向けのお店を一か所にドーンと集めてしまうのがお好きなようです。
そしてこのセンターのそれぞれの部屋が、それぞれの職人さんの作業部屋兼お土産屋さんになっているのです。ぜひ一つ一つじっくり見てまわってみましょう。各部屋には優れた職人さんに贈られる賞状も飾られています。
一番人気なのは、やはりウズベキスタン伝統工芸の代表格の刺繍スザニ。このセンターの南東の角がスザニの工房で、1階にも2階にも部屋があります。オーナー夫妻はスザニの本場ウルグット出身で、旦那さんのグロムさんはスザニコレクター、奥さんのファルーザさんは8歳のころからスザニを縫っているという大ベテランのスザニ職人。グロムさんは外国語大学の英語学科卒ということもあり英語が堪能で、日本を含む国外のテレビ番組の取材も受けています。スザニのことを聞けば何時間でも話してくれる、スザニを愛してやまないおじさんです。
1階のスザニ売り場だけでも雑貨好きにとっては十分楽しめる空間ですが、グロムさんにお願いしてぜひ2階の工房へ行ってみましょう。広い部屋を埋め尽くすスザニは、まさに色彩の洪水。この部屋へ何度も旅行者の方をご案内してきましたが、美しさのあまり呆然と立ち尽くす方もいました。
飾られているスザニは、時代も地域もさまざま。よそではお目にかかれない貴重なアンティークスザニもあります。バッグやクッションカバーなど、スザニを加工した日本でも使えそうな雑貨も。他の土産屋と比べると値段はお高めですが、プロがセレクトしたスザニなのでもちろん品質は間違いなし。
またここでファルーザさんにスザニを習うワークショップも開催されています。刺繍に悪戦苦闘すること必至ですが、スザニ職人から直々に教えてもらうスザニ制作体験は貴重な旅の思い出になるはずです。私の活動している観光案内所でワークショップの手配が可能です。
1階のスザニ工房の隣にあるのが、木工細工の工房。ブハラやヒヴァなどが有名な木彫り細工ですが、ここサマルカンドにも腕の確かな職人がいるのです。ここのオーナーのウルグベクさんはまだ若いですが、イギリスのエリザベス女王への献上品や2022年の上海協力機構サミットの記念品の作成を任されたほどの腕前。モスクなど歴史建築の扉の修復を担当することもあるそうです。
工房内に作品の写真があるので、ぜひ見せてもらいましょう。その緻密な模様に驚くはずです。
どの商品もお手頃な値段で、気軽に買うことができます(もう少し値上げしても売れるんじゃない?とウルグベクさんに進言しましたがいやこれでいいんだと言われてしまいました...)。おすすめのお土産は木製の筆箱。模様も美しいですが、この筆箱は開け方を知らないと開けることができない複雑な構造になっており、秘密の筆箱と呼ばれているのです。開け方をウルグベクさんに教えてもらい、誰にも見られたくないものをここにしまっておきましょう。
またここも観光案内所でワークショップツアーをやっています。他の工房でもツアーを企画予定なので、乞うご期待ください。
その他1階にある工房は、、、
●彫金工房。おもに銅製品を製作しています。ときどき中庭でも製作しており、カンカン叩く音が響いています。少しかさばりますが、レギスタン広場などが描かれたお皿がお土産によさそうです。
●楽器工房。実際はサマルカンド市内にある別の工房で楽器を制作し、ここで販売しています。職人さんがいれば楽器を演奏して見せてくれるかもしれません。
●細密画(ミニアチュール)工房。きめ細やかな筆遣いが美しい細密画もウズベキスタンの伝統工芸の一つで、アリシェール・ナヴォイの詩やバーブルナマといった有名文学作品の一場面がよく描かれています。余談ですが私のJICA隊員の先輩はタシケントの細密画工房に通って描き方を習っており、なかなかやり応えがありそうでした。
2階にある工房は、、、
●画家のアトリエ。数人の画家がここで作業しており、風景画などを描いています。
●服飾工房。ウズベキスタンの伝統衣装をアレンジした綺麗な服や帽子を作っています。衣装やアンティーク雑貨などで飾られた内装も美しく、居心地がいい工房です。
●革製品工房。入ったとたんレザーのにおいが鼻を突きます。ミシンや染料などが並ぶ部屋で、ロシア系の職人さんたちが作業しています。サマルカンドのイスラム建築が描かれたパスポートカバーなど、お土産にピッタリの小物も。
さまざまな分野の職人さんが集まっており、他の職人さんと競合しなくてもいいからか、皆仲が良さそうで、ときどき職人さんたちが集結して談笑しているほほえましい光景を目にすることも。ウズベク人は特に用事がなくても友達同士で集まっておしゃべりするのが本当に好きなのです。
職人さんたちの作業の様子を直接見学できるのが魅力のハッピーバード・アートギャラリー。食べ物の実演販売などと同じく、単にお土産を並べているお店で買うよりも、商品の製作工程を見て職人さんから直接買う方が、いい買い物をした気になりますよね。会いに行けるアイドルならぬ、会いに行ける職人さんがここにいるのです。
それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!
■ハッピーバード・アートギャラリー Happy Bird Art Gallery
- 住所
- 43 Islom Karimov ko'chasi, Toshkent
- 営業時間
- 10:00~18:00(工房によって異なる)
- 入場料
- 無料
- アクセス
- サマルカンド駅から3、73番バスでRegistonバス停下車、徒歩5分。レギスタン広場から徒歩3分。
筆者
ウズベキスタン特派員
伊藤 卓巳
根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!
【記載内容について】
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