深層のレストラン・アフォティック(サンフランシスコ)
海の深いところで太陽の光が届かない場所を英語で、「Aphotic(アフォティック)」と言います。普段そんな単語使わないから最初はどんな意味なのか分かりませんでしたが、店内を見てなるほどと思いました。先日、そんな真っ暗(失礼)深層漆黒なシーフードレストランで食事をした話ですが、なぜここなのか?これもあまり聞きなれない「ミシュラン・グリーンスター・レストラン」だったからです。
毎年、有名レストランシェフたちが、星が増えた減った落ちた入ったと話題にのぼるのが、世界一有名なレストランガイド「ミシュランガイド」です。久しぶりにその星付きレストランに行って参りました。しかもただの星ではなく「グリーンスター」を獲得してるレストランです。ちょっと耳慣れないグリーンスターってどんなレストランなのでしょうか?
ここ数年、地球環境を考える機会や持続可能な未来に向けた⾏動に世界が注目していますが、ミシュランガイドもこれらの活動に仲間入りしたのです。食材の生産から消費、調理法、果ては経営方針に至るまでの配慮をしているレストランを評価しようと、2021年から紹介が始まりました。これは純粋にサスティナブルな取り組みを評価するもので星付きやビブグルマンとは違う視点からの評価です。
グリーンスターのレストランになるこれと言った細かな条件はありわけではありません。各レストランが、自ら目標を掲げ工夫し、独自の取り組みをすることくらい。ただし、その取り組みや活動は、食事をとおしてお客様や、周りに良い影響を与えなければならないのです。ミシュランレストランガイドの基準の一つ「料理の卓越性」と共にレストラン業界をリードする環境を両立さていることが重要らしい。 グリーンスター受賞レストランを見てみると、地元の旬の食材に焦点を当て、環境に配慮した農家や漁師さんと直接取引し、自家菜園で有機作物を栽培している場合が多いです。
と少々くどくなってしまいましたが、要は「環境に配慮した地球にやさしいレストラン」なのです。
結局安く上がる”ワインペアリング” シェフ10コースの紹介
と言っても、結局のところは、一人$165という高いお金を出して食べるわけですから、美味しくなければなりませんし、その時間は楽しく、豊かなものでなければなりません。なので、ここは食事に合うようにワインペアリング(一人$110)にしました。
食前酒に、ビールと言いたかったのが、思い切ってシャンパン(別料金)にしてみました。
前菜の前に出てくるのが、アミューズ(Amuse)「ラッセン山脈のマス(Trout)」にマスの卵、ちょんと乗ってるのがあぶった肉厚の海苔でした。熱々のおしぼりで出てきてびっくりしました。フィンガーフードだとこういったのがありがたいです。
シーフードの前菜と言えば「キャビア」です。かなり辛口のシャンパーニュと合わせてありまして、脇のフワフワのシュリンプチップスとの食感の違いも楽しめます。
このキャビアは1984年創業のチョウザメの養殖場で採れたキャビアです。
Tsar Nicoulai Caviar
そして、「モントレーで採れたアワビとメカジキのカリカリベーコン」のお椀にお出汁をかけていただきました。目の前でお椀にお出汁を注ぐ、お決まりのパフォーマンス付き→サーバーさんの緊張するところです。
可愛いロブスターが出てきてから、炉端の熱で温めていた「ミルクパンとダンジネスクラブのカレー風味」。日本のパンみたいに柔らかくてカニの甘味とふんわりしたカレー風味のソースがよく合います。ダンジネスには、カリフォルニア州・サンタマリアバレーの少し軽めのシャルドネがよく合いました。
次が少々地味でしたが、サーバーさんの密かなるおすすめだった「バナメイ海老のリゾット」。車海老の仲間だそうで、プリッとした食感でした。チーズの風味が優しいと感じたのですが、リースニングを口に含んだら鼻腔の奥までチーズがきた!これぞっ食事とワインの”マリアージュ”でした。
リースニングは、わりと手頃な価格の白ワインで、ペアリングはお家でも可能。試してみてくださいね。
さて、シーフードと言えば合わせるのが白ワインが王道です。実はどこかにロゼワインが出てくるのではないかと思っていたのですが、メインコースまでは全く出てきませんでした。かえって潔くてこだわりを感じましたが、さすがにメインコースは何か色付きのワインでしょうと予想し、しかもソースはお味噌系かしらん…と
登場したのが、見事に外れて、ワインソース系と白っぽいお魚。「エイのグリル」だったのですが、このお魚は、バターソースと合わせることが多いですが、ワインソースが身の間に軽く染み込んでて、なるほど驚きました。エイの適度な噛み応えが自然をいただいてる感じがしました。
合わせたのぱピノ・ノアール(北カリフォルニア・アンダーソンバレー)グラスからは、冬のひなびた景色が湧いてきて、ゆっくり大きく回すとそれがなんとも華やいだ香りに変わったすごいピノ・ノアール。年代(ビンテージ2011年)をみてひっくり返りそうになりました。なんと素晴らしい歳のとり方→これがワインの感想→こんな大人に私もなりたい。
ピノ・ノアールはシーフードと合わせやすい赤ワインなので、日本食にもおすすめです。
これから季節を迎えるグリーンガーリックの添え物は、春の香りがしました。
ここまで、とにかく堪能しまくりお財布の事はすっかり忘れていましたが、忘れていなかったのが、オイスターです。この投稿にも何度なくオイスターが出てくるほど、自他共に認めるオイスターラバーです。食事中の2時間、頭の隅にオイスターはいつくるのか?と思っていたのですが、もうデザート。まじか!オイスターの出ないシーフードレストランなんてあり得ない。
そこへ何も言わずテーブルにポンと置いて一言「タマレス・ベイ産 宮城オイスターアイスクリーム」
A「オイスターのアイスクリームなんて聞いたことないわ。ほんまかいなぁ」
B「そんなんあらへんて、どー見てもただのオイスターやん、しかも今更。」
…食べてみた…
AB「ほんまやぁ〜オイスターやぁ〜マジかぁ〜こんなアイス信じられへん〜」
という会話になってしまったほど、たまげたデザートでした。
サーブしてくれた方がウィンクして「I told you(言ったでしょ〜) 」^ ^V
なんというか、してやったりの表情でした。
シーフードと言えば、必須のオイスターが一向に出てこないのが不思議でならなかったオイスターラバーでしたが、ここで登場、目から鱗が落ちたオイスターでした。
ダメもとで、もう一個と頼んでみたら 「また来てね☆」
【Aphotic】
住所 :816 Folsom St San Francisco, CA 94107
Tel:415-865-0529
オープン時間:火〜土17:30〜21:00
休日:日・月
WEBサイト:https://aphoticrestaurant.com
キャビアカフェ:https://www.caviarcafe.com
ハイエンドなレストランは、おまかせコースと思っていましたが、バーではアラカルトも頼めます。日本食とは違って、先入観にとらわれないシーフードレストランでしたが、そこはかとなく日本食を感じ、驚きと感動とたまらなくフレンドリーなスタッフのおかげで充実のディナータイムを過ごせました。
お値段ともかくおすすめのお店です。
筆者
アメリカ・カリフォルニア州特派員
美丸(Mimaru)
サンフランシスコ在住ビアジャーナリスト。全米のクラフトビール探求の日々、訪問したブルワリー、タップルーム情報は随時投稿。
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