【ポルトガル】焼きたてが最高!元祖エッグタルト

公開日 : 2023年09月12日
最終更新 :
筆者 : 東リカ

ポルトガルの愛されお菓子、エッグタルト

日本でも人気のお菓子、エッグタルト。日本から近いマカオの生まれだと思っている方もいるかもしれませんが、実はポルトガルの首都、リスボンが発祥の地です。マカオはかつてポルトガルの植民地だったため、エッグタルトがよく食べられるようになったそうです。

ポルトガルでエッグタルトは「パステイシュ・デ・ナタ(pastéis de nata:複数形。単数はパステウ・デ・ナタ(pastel de nata)」。直訳するとナタ(=クリーム)のパイ系の軽食・おやつ、という意味で全国の専門店はもちろんカフェやパン屋さんなどでも販売されるほど浸透しています。それだけに当然そのお味にはバラつきが。

「せっかくポルトガルに来たのだから、特別おいしいパステイシュ・デ・ナタ(エッグタルト)を食べたい!」ですよね?
そんな皆さまにぜひ立ち寄ってほしいのが、前回ご紹介したベレン地区の「ジェロニモス修道院」からすぐの老舗「パステイシュ・デ・ベレン(Pastéis de Belém)」です。

門外不出のエッグタルトレシピ、誕生秘話

元祖パステイシュ・デ・ナタが作られる「秘密の部屋」(写真提供:Pastéis de Belém)
元祖パステイシュ・デ・ナタが作られる「秘密の部屋」(写真提供:Pastéis de Belém)

パステイシュ・デ・ナタのレシピが生まれたのは、「ジェロニモス修道院」の厨房だったと言われています。中世の修道院では、ワインの澱を取り除いたり、僧服やシーツの糊付けに大量の卵白を使用していました。そこで余った卵黄を活用すべく、修道女たちはお菓子作りに勤しんだそうです。そしてそこで生まれたお菓子は、修道院を訪れた王族や貴族をもてなす献上菓子として洗練されていったんだとか。
パステイシュ・デ・ナタもそのようにして生まれた修道院菓子の1つです。特にジェロニモス修道院のすぐ側には、サトウキビの製糖所があり、卵黄に加えてお砂糖も身近なものだったようです。

現在もオリジナルレシピで手作りされている(写真提供:Pastéis de Belém)
現在もオリジナルレシピで手作りされている(写真提供:Pastéis de Belém)

修道院菓子が一般へと広がるきっかけとなったのは、1820年に起こった自由主義革命。1834年に施行された修道会・教団の廃止令により、ジェロニモス修道院の修道士・修道女たちも修道院から追放されてしまいました。住居と仕事を失った彼らは、生活の糧を得るために近所でパステイシュ・デ・ナタの販売を始めました。
当時のベレンはリスボンから蒸気船で訪れるような観光地。当地を訪れたリスボンっ子の間でこのお菓子が「パステイシュ・デ・ベレン(ベレンのパイ菓子)」として人気を集め、ポルトガル中に評判が広がっていきます。

次々と焼き上がるパステイシュ・デ・ナタ
次々と焼き上がるパステイシュ・デ・ナタ

老舗「パステイシュ・デ・ベレン」の開店は1837年。製糖所に付随したお店でジェロニモス修道院の秘伝レシピを使った元祖パステイシュ・デ・ナタの販売を始めました。このオリジナルレシピは代々ヘッドパティシエだけに受け継がれ、現在も「秘密の部屋(Oficina do Seguredo)」で吟味された材料を使い昔ながらの手法で手作りされているそうです。

待つ価値あり!焼きたてを味わおう

店頭には毎日行列ができる(写真提供:Pastéis de Belém)
店頭には毎日行列ができる(写真提供:Pastéis de Belém)

「パステイシュ・デ・ベレン」はジェロニモス修道院に近いこともあって、毎日のように大勢の観光客が詰め掛ける有名店です。1日平均2万個のパステイシュ・デ・ベレンを焼き上げるということからもその人気のほどが伺えます。
「有名すぎる、観光客向けでは?」と思われるかもしれませんが、地元っ子に尋ねてもイチオシされる名店。それにお客さんが多いからこそ、焼き上がる端から売れていき、常に焼きたてを食べられるという具合で、長蛇の列こそが美味しさに貢献しているのです!
しかも店内はかなりの広さ。長い列でも15分も待てば座ることができるかと思います。

シナモンをかけても美味しい
シナモンをかけても美味しい

パステイシュ・デ・ベレンは、高温で一気に焼き上げられるため、パイ生地はパリパリ、中のカスタードはとろりとクリーミー。甘いものがそれほど得意でない筆者でも1つペロリと食べられます。ぜひあっつ熱を味わって欲しいと思います。
味を変えてみたい、もっと甘い方が好み、という方は、一緒に提供されるお砂糖やシナモンをかけてみてください。

ちなみにこちらのお店では、他にもたくさんのおやつや軽食が用意されています。まずはCoxas de galinha(鶏肉を使ったコロッケ風の揚げ物)とビールで始めるのも悪くありません。

テイクアウト用の6個入りパッケージ。1個から買えます。(写真提供:Pastéis de Belém)
テイクアウト用の6個入りパッケージ。1個から買えます。(写真提供:Pastéis de Belém)

なお店頭の長蛇の列は中で食べる人のもの。時間が厳しい!という方は、テイクアウトであれば、ほとんど並ぶことなく購入できます。けれども購入したら、少しくらいお行儀が悪くてもパッケージを開けてすぐさま食べてくださいね!

(提供写真以外の撮影by東リカ)
※撮影写真の掲載許可をいただいています。
※写真の無断転載禁止

パステイシュ・デ・ベレン(Pastéis de Belém)

住所
Rua de Belém nº 84 a 92, 1300 – 085, Lisboa, Portugal
URL
https://pasteisdebelem.pt/
電話
+351 21 363 74 23
営業時間
08:00 〜 20:00(6月1日から10月15日までは22:00まで営業。12月24、25、31日と1月1日は19:00閉店)
休業日
なし
価格
Pastel de Belem € 1,30/個

筆者

ポルトガル特派員

東リカ

ポルトガル、リスボン在住のフリーライターです。

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