ピッティ宮

Palazzo Pitti/パラッツォ ピッティ

歴代トスカーナ大公の宮廷

  • 正面の幅が200m以上もある、ルネッサンス期の最大規模を誇る邸宅
  • ピッティ宮殿と不随するボーボリ庭園内に7つの美術館、博物館があり美術品の宝庫
  • 大コジモの時代にメディチと対抗するピッティ家が起工、その後トスカーナ大公コジモ1世の妻エレオノーラの療養の場となる
フィレンツェの町の一角を占めるピッティ宮
フィレンツェの町の一角を占めるピッティ宮

見どころ

ピッティ宮の建物は、高さはそれほどないものの横方向の大きさと重々しいシンプルな外観で、圧倒的な存在感だ。フィレンツェでも指折りの大商人、ルーカ・ピッティが15世紀の後半に造らせた私邸で、その後コジモ1世の妃エレオノーラ・ディ・トレドが買い取って改修している。その後も数度にわたり拡張され、1859年までは歴代のトスカーナ大公が住む宮廷となった。中央部分(現在2階に並ぶ7つのアーチからなっていた)が最初の核で、設計者は定かではないがブルネッレスキによるとする説が一般的だ。すでにルネッサンス初期のパラッツォと違い、規模も大きく、壁面の切り石積みも以前の物に比べてずっと穏やかになっている。1559年にはアンマンナーティによって中庭を囲むふたつの翼が付け足され、17世紀の前半にはファサードが延長されて、ほぼ今日見られる姿になった。ピッティ広場に張り出した左右の翼は18世紀の後半になってから造られた物だ。

珍しいマニエリズム建築の好例
珍しいマニエリズム建築の好例

宮殿とそれに付随するボーボリ庭園にはパラティーナ美術館、近代美術館、大公の宝物庫、陶磁器博物館、君主の居室、衣装博物館、馬車博物館と、計7つに及ぶ美術館、博物館が含まれている。
なお、中庭Cortileはアンマンナーティによるマニエリズム建築の好例で、それぞれの層が異なった柱で飾られ、壁面はフィレンツェ風の切り石積みになっている。この中庭の先、南側の斜面には広大な敷地のボーボリ庭園が広がって、市民の憩いの場となっている。

ラファエッロ・ファン必見「パラティーナ美術館」

ピッティ宮の2階に位置する。歴代大公の収集したルネッサンスやバロック期のコレクションを中心に絵画や彫刻を展示。とりわけ、ラファエッロのコレクションは質量ともに秀逸。

絢爛豪華に装飾された「君主の居室」

豪華な君主の居室、「玉座の間」
豪華な君主の居室、「玉座の間」

パラティーナ美術館の順路に従い、最後となるのが君主の居室だ。ピッティ宮の2階、中庭を挟んだ右側の部分で、歴代トスカーナ大公や国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世が住まいとした所。壁面には美しい絹が張られ、その色や紋様により名前がつけられている。バロックやロココ、ネオ・クラシック様式の華やかなしつらえとシャンデリア、貴石細工のテーブルをはじめとする家具、絵画など当時の絢爛豪華な様子が再現されている。
 君主の居室の裏側、ボーボリ庭園側には『タペストリーの居室』Appartamentodegli Arazziが続く。かつてメディチ家の女性のための住まいだった場所で、その後賓客をもてなす場としても使われていた。壁面にはゴブラン織りのタペストリー、天井にはフレスコ画が描かれ、ここも豪華に装飾されている。

イタリア絵画の潮流を知る「近代美術館」

シルヴェストロ・レガ作『民謡を歌う女達』
シルヴェストロ・レガ作『民謡を歌う女達』

ピッティ宮の3階、18世紀終わりから20世紀前半のトスカーナ地方の絵画を中心に展示。30の展示室に分かれ、見学順路はほぼ年代順、主題ごとに並べられているので、絵画の歴史を知ることもできる仕組みだ。また、各展示室は天井のフレスコ画をはじめ、歴代君主一族の好みで装飾されているのも興味を引く。
とりわけ第19~20室のマッキアイオーリ派(19世紀フィレンツェ印象派のひとつ)が充実している。

メディチの豪華王をしのぶ「大公の宝物庫(旧銀器博物館)」

ロレンツォ豪華王が装飾を加えた『碧玉の壺』
ロレンツォ豪華王が装飾を加えた『碧玉の壺』

中庭の左側1階にある。メディチ家の所蔵していた数々の銀器、貴金属品、貴石加工品、象牙細工、陶器などの小美術品を展示した美術館で、この手の部類では最も充実した内容を誇る物のひとつである。室内装飾も見事な25の展示室に飾られた品々はいずれも豪華さと高度な技術に驚かされる。とりわけ名高いのは、古代ローマの貴石の壺にロレンツォ豪華王が金の装飾を加えた『碧へき玉ぎょくの壺』、ブオンタレッティがデザインしたラピスラズリの『フィアスカ(細首壜びん)』、ヴァレリオ・ベッリによる水晶をくり貫いた『水晶の小箱』など。また、展示室最後には、メディチ家の所有していた文化財のすべてをフィレンツェに寄贈した最後のメディチ、アンナ・マリア・ルドヴィカの見事なアクセサリーが展示されている。特に目を引くのがダイヤモンドとアメジストのグラデーションがすばらしい『ティアラ』で20世紀初めのカルティエ製だ。

17世紀からの衣装の流れを知る「メリディアーナ小宮」

ピッティ宮の右翼、ボーボリ庭園に面してあり、内部はネオクラシック様式の豪華な宮殿である。フィレンツェが統一イタリアの首都であった時期には、国王ヴィットリオ・エマヌエーレ2世もここによく滞在した。現在、内部には衣装博物館Galleria del Costumeがおかれている。

世界の陶磁器を一堂に「陶磁器博物館」

ヨーロッパ中の銘磁器が並ぶ
ヨーロッパ中の銘磁器が並ぶ

ボーボリ庭園の坂を上った、騎士の丘に立つ小さな邸宅におかれている。糸杉とオリーブ畑を見下ろす庭園には季節にはバラやシャクヤクが咲き、鳥の声がのどかに響く。内部には、メディチ家をはじめその婚姻関係にあったロレーヌ家、パルマのブルボン家、サヴォイア家の優雅な磁器コレクションが並んでいる。1810年にトスカーナ大公となったエリザ・バチョッキにナポレオン皇帝から贈られたセーヴルのひと揃いをはじめ、マイセン、ナポリのカポディモンテ、フィレンツェ近郊のジノリなど。

チケットの料金と種類

ピッティ宮は共通券のみ。どれを選ぶ?

 広い庭園といくつもの美術・博物館が続くピッティ宮。各見どころの個別の入場券はなく、共通入場券Biglietto
Cumulativo/CombinedTicketのみ。
 また切符はウッフィツィ美術館などとの共通切符を除いて当日限りなので、午前中に購入して見学するなど上手にプランニングしよう。

早朝がお得

・ローシーズン(11月1日から2月28日まで)
 8:59までにピッティ宮の切符売り場で切符を購入し、9:25までに入場すると入場料が€17→半額に。

・ハイシーズン(3月1日から10月31日まで)
 8:45までにピッティ宮の切符売り場で切符を購入し、8:55までに入場すると入場料が€17→13€に。

パラティーナ美術館(君主の居室を含む)、大公の宝物庫Tesoro del Granduchi(旧銀器博物館)、近代美術館、衣装博物館の共通券(当日限り有効)

3~10月 €17
11~2月 €10
※オーディオガイド1人用€8、2人用€13(日本語あり)
※毎月第1㊐は無料

ウッフィツィ美術館+ピッティ宮+ボーボリ庭園との共通券(3日間有効)

3~10月 €38
11~2月 €18

購入方法

・当日窓口で購入
 →朝一番で訪問すればほぼ並ぶ事はない。

・オンラインで事前日時指定予約※予約金別途+€3
 →オンライン購入サイト

・フィレンツェカードを利用
 →切符売り場(建物正面右側)に行かずに、そのまま入場口から入り、中庭左奥のブックショップで入場切符と交換。中庭のセキュリティチェックを通過して、階段を上がるとパラティーナ美術館。

写真

  • 大公時代の調理器具が残る台所

    大公時代の調理器具が残る台所

基本情報

電話番号
055-2388709
開いている時間
8:15~18:50※切符売り場は18:05まで、18:30より退出開始
料金
パラティーナ美術館(君主の居室を含む)、大公の宝物庫Tesoro del Granduchi(旧銀器博物館)、近代美術館、衣装博物館の共通券(当日限り有効)
3~10月 €16、11~2月 €10
ウッフィツィ美術館+ピッティ宮+ボーボリ庭園との共通券(3日間有効)
3~10月 €38、11~2月 €18
最終更新 :

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