ボーボリ庭園

Giardino di Boboli/ジャルディーノ ディ ボーボリ

緑のなかに広がる野外美術館

  • ピッティ宮の裏手に広がる4万5000㎡(東京ドームの面積が4万6755㎡)の広大な丘陵地に広がる、イタリアで最も重要かつ美しい典型的なイタリア庭園
  • 刈り込まれた木々の間にさまざまな時代様式の彫像や噴水が配され、緑のなかの野外美術館といえる
  • 階段や坂道が続く広大な庭園は半日がかりでも足りない

見どころ

トスカーナ大公コジモ・ディ・メディチ1世の妃、エレオノーラ・ディ・トレドが1550年、ピッティ家から購入した宮殿の裏手の土地と14世紀の市壁やローマ門などに囲まれた地域一帯に造営された庭園。庭園の設計はトリボロ(本名ニッコロ・ペリーコリ)が手がけた。彼の死後もその意匠は引き継がれ、18~19世紀に改築が行われた。

ピッティ家から宮殿と庭園を購入した、トスカーナ大公コジモ1世の妃エレオノーラ
ピッティ家から宮殿と庭園を購入した、トスカーナ大公コジモ1世の妃エレオノーラ

イタリア庭園のモデルケースとなり、さらにヨーロッパの宮廷での造園・宮殿造営のモデルといわれ、彫像、意匠を凝らした洞窟、噴水などが点在し、まさに緑のなかの野外美術館であり、自然と共生する宮殿建築の先駆けでもあった。この庭園の一部には、当時まだ珍しかったトマトやジャガイモなども植えられて、一種の農業試験場の役割も果たしていた。
広大な敷地は、手入れの行き届いた庭園と鬱蒼とした自然の森そのままの区域が広がり、季節ごとの植物が咲き誇る。高台からはフィレンツェの美しい町並みが望め、まさに都市のなかのオアシスというべき場所だ。階段や坂道が続く広大な庭園は半日がかりでも足りないほど。予定や興味に合わせて回ろう。

年2回ほどボーボリ庭園では、トスカーナ大公時代の衣装に身を包んだ大公と大公妃を中心とした円舞などが披露される
年2回ほどボーボリ庭園では、トスカーナ大公時代の衣装に身を包んだ大公と大公妃を中心とした円舞などが披露される

庭園マップガイド

①バッカス像 Bacco

亀にまたがった「小人モルガンテ」はコジモ1世に仕えたひとりで、フィレンツェっ子はバッカスと呼ぶ。オリジナルはカフェハウスに展示。

②ブオンタレンティの洞窟 Grotta del Buontalenti

ヴァザーリによりヴェッキオ宮とピッティ宮とを結ぶ空中廊下の終点に造られた小回廊を1583~1593年にブオンタレンティが洞窟に改築。洞窟は3つに分かれ、手前の第1室は、壁と天井には虎や猿、鹿などが描かれまるでジャング
ルのよう。ギリシア神話から想を得たレリーフで飾られ、ミケランジェロの4体の囚人像が並ぶ(コピー。オリジナルはアカデミア美術館蔵)。
 第2室はギリシア神話の英雄と絶世の美女が抱き合うテセウスとヘレネーの彫像、最も奥の第3室にはジャンボローニャの優美なヴィーナスが見られる。
 洞窟は水が流れ落ちる構造になっており、とりわけこの洞窟の水に打たれた彫像は艶めいた美しさだったという。

③奥方の洞窟 Grotta di Madama/Grotticina della Madama

フランチェスコ1世の妃であるジョヴァンナ・ダウストリアの命により造られた、庭園脇につつましくある小洞窟。羊の彫像は敬愛した舅であるコジモ1世のシンボル。

④カフェハウス(小美術館)Kaffehaus

宮廷人が庭園散策の途中で休息に利用したという異国情緒を感じさせるロココ様式の建物。ここからの眺めもすばらしい。現在は庭園に置かれていた彫像のオリジナルのいくつかを展示する小美術館。

⑤円形劇場 Anfi teatro

緑に囲まれ、刈りこまれた芝生の先には高みへ延びる階段が続き、まさに劇場的な美しさにあふれる空間。ここはかつてピッティ宮建設のための採石場で、その跡地を利用して馬蹄型の劇場が1630~1634年に造られた。中央にはエジプトのオベリスクがそびえ、ぐるりと6段の階段席がとりまき、ニッチには古代彫刻が飾られていた。

⑥ネプチューンの噴水 Vasca(Fontana) del Nettuno

庭園の灌漑用に水が蓄えられた池の中央、しゃがんだ4体の海の神にモリを突き立てようとするネプチューンが載る。この後ろ、階段上に置かれた彫像は『豊穣』。フランチェスコ1世の妃の像として造られたもので、右手に果物、左手に麦の穂を持ち、トスカーナ大公国の繁栄を意味しているという。

⑦糸杉の大通り Viale dei Cipressi/Viottolone

ローマ門へ向かう糸杉が茂る坂道。17世紀初めに植樹された糸杉が鬱蒼と茂り、その間にギリシア彫刻(模刻)やフィレンツェの子供たちの遊戯の彫像などが点在するトスカーナらしい風情ある通りだ。

⑧モスタッチーニの噴水 Fontana di Mostaccini

城壁とトキワガシの森の間、丘の上部から続く16の水の吹き出し口のある水路。かつてここに網をかけて鳥を取ったため、水路はその鳥の水飲み場だった。モスタッチーニとはしかめっ面のことで、奇怪な面が並ぶ。水路の下部、左にあるのは、ジャンボローニャによる『ユピテル』。糸杉の大通りとモスタッチーニの噴水の間にはかつて樹木により迷路が造られていた。

⑨島の噴水 Vasca dell'Isola/Isoletto

糸杉の大通りを下る途中、豪勢な門構えやその後ろの花々や彫像が見え、すばらしい光景が広がる。スペクタクルな
光景も庭園演出のひとつ。門の上に乗るカモシカは大公のシンボルで、庭園内のいたるところで目にする。大きな池の中央には島が築かれ、その真ん中にジャンボローニャによる『大洋の噴水』、それを支えるのは『ナイル』、『ガンジス』、『ユ-フラテス』の川の神。水中から半身を表しているのは『馬に乗るペルセウス』。ダイナミックでドラマチックな演出だ。周囲には樫の木の間に農夫や狩人の像が並び、島では珍しいバラなどが育てられていた。

⑩アンナレーナの洞窟 Grotta di Annalena

 1515~1520年に造られた洞窟。青やオレンジに彩色された天井は貝細工とモザイクで模様が描かれ、まるで海の中のようで、ほかの洞窟とは異なる印象だ。中央にはミケランジェロ・ナッケリーニによる『アダムとイブ』の彫像
が立つ。

⑪リモナイア(レモンの温室)La Limonaia

リモナイアに続く小道、建物に沿って『ブドウ摘みの噴水』と『クワを持つ農夫』の彫像がある。季節の花々がよい香りを漂わす、美しい細工が施された鉄格子の門の奥の建物がリモナイア。メディチ家の人々はその香りや効能、見た目の美しさから珍重したと伝えられ、現在も貴重な柑橘類が栽培・保存されている。

上の植物園 Giardino superiore
 外国の植物や野菜などを育てた温室、水生植物用の池など配置された。

下の植物園 Giardino inferiore
 かつての温室跡は小さな展示場。大輪の木立ちベゴニアなど、季節の見事な鉢植えが並ぶ。

チケットの料金と種類

ボーボリ庭園、バルディーニ庭園、陶磁器博物館の共通券
3~10月 €11
11~2月 €6

ウッフィツィ美術館+ピッティ宮+ボーボリ庭園との共通券(3日間有効)
3~10月 €38
11~2月 €18

購入方法

・当日窓口で購入

・オンラインで事前日時指定予約※予約金別途+€3
 →オンライン購入サイト

・フィレンツェカードを利用
 →切符を購入済みの場合は、ボーボリ庭園へはCosta S.GiorgioやVia de'Bardiの入口からも入場可

基本情報

開いている時間
6~8月8:15~19:30 夏時間の3月~5月、9~10月8:15~18:30 冬時間の3月・10月8:15~17:30 11~2月8:15~16:30※入場は閉場1時間前まで
料金
3~10月 €11 11~2月 €6※毎月第1㊐は無料
閉まっている日
第1と最終㊊、1/1、12/25
最終更新 :

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