サン・ジミニャーノ

シエナの北西約40㎞、標高324mの高台に位置し、緑の田園のなかに塔が立ち並ぶ遠望は絵のように美しい。れんが色の町並みは中世の面影をよく残し、町のメインストリートには特産のワインを売る店や商店が並び、そぞろ歩きが楽しい。家並みの間に突如現れる孤高に立つ塔の姿は実に印象的だ。人混みに疲れたら、塔に上ったり、城壁沿いの道を歩いてみよう。緩やかな丘にオリーブ畑やブドウ畑が広がるトスカーナらしい田園風景を楽しむことができる。町の歴史はエトルリアの時代に遡り、ローマとアルプス以北の土地を結ぶ重要な街道フランチェジーナ街道がピサーナ街道と合流する地点にあるため、巡礼者や商人が行き交い、9～12世紀に町は大いに発展した。町のシンボルの塔は富と権力の象徴として、また、防御の見張りの塔として12～13世紀には競って建てられ、最盛期には72を数え、現在は14本が残っている。
中世の雰囲気そのままの美しい町は、聖フランチェスコを描いた映画『ブラザー・サンシスター・ムーン』（1972年）、『ムッソリーニとお茶を』（2000年）の撮影地でもある。