ピラトゥス

Pilatus

フィアヴァルトシュテッター湖とルツェルンの町を挟んで、リギの西に位置する展望台。この地に伝わる伝説によれば、キリストに処刑を宣告したローマ総督ポンティウス・ピラトの亡霊が各地をさまよった挙げ句にこの地にたどり着いた。そしてこの山に誰かが登ろうとすると嵐を起こしたという。実際に中世まではこの伝説のために、登山が禁止されていた。
山の名前はこの亡霊に由来するが、確かに岩肌がむき出しのごつごつした山容は、緑に覆われた周囲の山とは異質の不気味な雰囲気を感じるかもしれない。
さて、現在のピラトゥスはというと、亡霊の霊力は見る影もなく、毎日大勢の人々でにぎわっている。ここはリギ山と同様に周囲に高い山がない独立峰であるため、山頂から見るパノラマはまさに絶景。リギよりもベルナーアルプスに近いため、白銀の山々がよりくっきりと見えるし、すぐ足元に広がるルツェルンの夜景もすばらしい。
ピラトゥスはまた、山頂までのアクセスもおおいに楽しめる。眼下にフィアヴァルトシュテッター湖を眺めながらロープウエイを乗り継いでいくのもいいし、世界一急勾配の登山列車でスリルを味わうのもいい。

ピラトゥスへのアクセス

ルツェルンから山頂Pilatus Kulmまでは登山鉄道とロープウエイのふたつの方法があり、往復でルートを変えて1周するのがポピュラーだ。

❶SBBor湖船+登山鉄道
山の南側からアプローチすることになる。まずはルツェルンから列車に乗って南側の麓にある町アルプナッハシュタート Alpnachstadへ。ギスヴィル Giswill行きのS5で約17分。直通列車は1時間に2本。時間に余裕があれば、この区間を湖船で行くのも楽しい。ルツェルンから所要1時間〜1時間30分。1日7便(春〜秋期のみ、季節・曜日により減便。'23年は10/22まで)。
アルプナッハシュタートからは、いよいよ世界一急勾配の登山鉄道に乗る。駅に停車している電車がすでに驚くほど斜めで車体の形は平行四辺形の姿。ホームも階段になっている。森を抜け、湖を見下ろし、ネズミ色の岩肌に張りついて勾配率480パーミルという急斜面を上っていく、スリリングな30分間だ。最も勾配のきつい箇所には黄色い標識が掲げられている。さらに驚くのはこの列車が19世紀の開通だということ。リギ山の2本の鉄道に次いでスイスで3番目に古い1889年だ。登山鉄道の運行は5月中旬〜11月下旬('23年は5/18~11/19)のみ。35分ごと。所要上り27分、下り33分。

❷市バス+ロープウエイ
山の北側にあるクリエンス Kriensから上るルート。ルツェルン中央駅から1番Kriens方向、Obernau Dorf行きの市バスに乗り約15分、Kriens,Zentrum Pilatus下車。標識に従って7分ほど坂道を上るとロープウエイ駅に出る。途中フレクミュンテック Fräkmünteggで乗り換えて、山頂までは40分ほどの空中散歩。
上りの運行開始はクリエンス発が8:30から、途中駅のフレクミュンテックが9:00から。下りの最終はピラトゥス発16:30、フレクミュンテック発が16:45('23年4/1~10/22は1時間延長)。10/23~11/10はメンテナンスのため運休。

ピラトゥスの歩き方

登山列車もロープウエイも、ふたつあるピークのひとつ、エーゼル峰(2119m)側に到着する。まずは標高2073mの駅の上にあるテラスからの眺めを楽しもう。フィアヴァルトシュテッター湖とルツェルン市街は北東側に、アルプスの山並みは南側に見える。テラスの上にある円筒形の建物はホテル・ベルビュー。さらにその上に見える岩山がエーゼル峰。10分くらいで登れるので、ぜひ山頂に立ってみよう。センティスなどスイス北東部にそびえる山々も遠望できる。
もうひとつのピーク、トムリスホルン(2128m)へはテラスからホテル、ピラトゥス・クルムの横を通って行く。往復2.5km、1時間ほどだが、断崖の細い道のハイキングとなるので慎重に歩きたい。このほか、ピラトゥス・クルムの上にある岩山、オーバーハウプトの周囲を歩くコースもある。
またロープウエイでフレクミュンテックまで下り、ここからクリエンゼレックまで行くハイキングコースは無理なく歩けるのでおすすめ。フレクミュンテックにはスイス最長、1350mの長さを誇るトボガン toboggan(ソリで下るすべり台)のコースやアスレチックがある。雪解け〜10月下旬のみオープン('23年は4/7〜)。

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