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歴史的栄華の跡が残るイタリア南部の都市・ナポリでは、ポンペイの古代遺跡のほかにも、中世に建てられたさまざまな古城を観ることできます。なかでもサンテルモ城(Castel Sant'Elmo)は、ヴォメロの丘の上に建つ星形をした城として有名で、観光客に人気のスポットです。イタリア・ナポリを訪れたなら、ぜひとも立ち寄ってほしい中世の古城、サンテルモ城を紹介します。
14世紀、サンテルモ城(Castel Sant'Elmo)は、ロベルト賢王(アンジュ―家・カルロ1世の孫)によってヴォメロの丘の上に建てられました。この場所にはもともと、10世紀に建てられた教会がありました。この教会は、サンテラスモ(イタリア北東部の小さな島)に捧げられた教会であったため、城はその名を冠にしました。その後、サンテラスモ城から呼びやすいサンテルモ城へと名が変わっていったといわれています。
サンテルモ城には、紆余曲折の長い歴史があります。
14世紀、サンテルモ城はフランス王国のアンジュー地方を統治した貴族、アンジュー家の居城として建設されました。16世紀になると、ルネサンス期のイタリアの建築家、ドメニコ・フォンタナらにより改築が行われ、要塞化されました。さらに月日は流れ、スペインの圧政に反発した漁師、マサニエロが率いる軍勢を取り締まる牢獄としても使われました。
フランスとスペインがナポリ王国の領有を争っていた中世、サンテルモ城の獲得は、権力への欲望を抱いた者たちの争いの要因のひとつになっていたのです。
16世紀、スペインの支配下にあったサンテルモ城は、ハプスブルク家のカルロ5世の時代に、スペイン総督ドン・ペドロ・デ・トレドの命令によって、星型をした頑丈な要塞へと改築されました。 ピペルノ(ナポリ地域に分布する火山砕屑岩の一種)で作られた入口には、現在でもカルロ5世の皇室の紋章が輝いています。
1900年代初頭から1970年代まで、サンテルモ城は軍の刑務所として使われていました。 その後、その役目を終え、サンテルモ城の修復作業が始まります。長年の修復作業の後、1988年5月15日に一般公開の運びとなりました。
現在、サンテルモ城は博物館として使用されています 。また、城の上部にある大きな広場(かつては軍人のパレードグラウンドとしても使われていました)には、サンテルモ城専用の小さな教会があります。
サンテルモ城の展望台からは、天気がよければヴェスヴィオ火山やカプリ島、プロチダ島、スパッカナポリ、ポジリポなどナポリ全体の景観を観ることができます。また、サンテルモ城の中には、博物館(ムゼオ ノヴェチェント)があります。
なお、サンテルモ城のあるヴォメロ地区は閑静な高級住宅地として知られており、豪邸巡りを楽しむこともできます。
いかがでしたか。イタリア・ナポリを訪れたなら、ぜひとも立ち寄ってほしい中世の古城、サンテルモ城を紹介しました。今度のナポリ旅行の参考にしてみてください。
初回掲載: 2018年10月10日
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