台北から日帰り観光可能な港町「基隆(ジーロン)」の歩き方
台北から列車かバスに飛び乗って1時間足らずで訪れることができる基隆は、ローカル風情満点の港町。台北に飽きてきたリピーターの間でひそかに人気上昇中です。おいしいグルメも盛りだくさん。
基隆ってどんな所?
基隆は、台北から北東へ約30kmに位置する港町。17世紀にスペイン人が要塞を築いたことから台湾北部の重要な拠点となりました。台湾第2位の貿易港である基隆港を擁し、貿易・物流の重要拠点となっています。
町の中心部は港町特有の雑多な雰囲気。ローカル風情満点の仁愛市場(レンアイシーチャン)やグルメ夜市として名高い基隆廟口夜市(ジーロンミャオコウイエシー)では、地元の人に紛れて海の幸や絶品ローカルグルメを味わえます。ちなみに、エッセイストの一青妙さん、歌手の一青窈さん姉妹のご先祖で、台湾5大財閥に数えられた顔一族が拠点としていたのがこの基隆です。
一方、バスで少し足を延ばせばクレオパトラの横顔のような「女王頭岩」で有名な野柳地質公園をはじめとする奇岩観賞スポットが点在しています。
意外と山にも近く、人気スポットの九份へもバスで30分程度で行けるので、夕ぐれまで九份で過ごしたあと、夕食は基隆の夜市グルメを楽しむのもおすすめです。
日本のお盆にあたる旧暦7月15日の中元節には、盛大なランタンパレードが行われることでも有名です。その頃には町中にランタンが飾られます。
●台北からのアクセス
電車とバスがあります。いずれも本数が多く、思いたったらふらっと行けて便利です。
電車の場合、區間車(各駅停車)で約50分、自強號で約40分。
バスは、台北駅近くの國光客運台北車站バスターミナルから國光客運バス(終点は基隆駅近くの國光客運基隆站バスターミナル)、MRT市政府駅に隣接する市政府轉運站バスターミナルから首都客運バス(終点は基隆女中)が出ています。所要時間は40~50分。首都客運バスの場合、「仁二路(レンアルルー)」バス停で降りれば基隆廟口夜市の近くです。
世界のクルーズ船も寄港する基隆港
清代に開港した基隆港。外国と台湾を結ぶ交通機関がまだ船しかなかった頃は、台湾の玄関口でした。第2次世界大戦終戦後、日本への引き上げ船が出たのもこの港です。
現在は高雄に次ぐ台湾第2位の貿易港で、タンカーやコンテナを積んだ貿易船、外国へ向かう大型客船などが停泊しており、今なお国際的に開かれた港湾都市の自由な空気が漂っています。港の周りには陽明海洋文化藝術館(ヤンミンハイヤンウェンホアイーシューグアン)、海港大樓(ハイガンダーロウ)など、日本統治時代の建物も残っていて、時間があれば散策してみるのもおすすめ。高台に整備された中正公園からは港を一望できるので、お天気がいい日はぜひ上ってみましょう。
活気あふれる仁愛市場に潜入!
基隆市民に愛される仁愛市場は日本統治時代から営業する老舗の市場。日本人観光客はまだ少なく、ローカルな雰囲気にどっぷり浸れます。
1階はお惣菜や肉、魚など持ち帰り専用の食品の店が並び、眺めるだけでも地元の人になったような気分に。そしてエレベーターで2階に上がると、そこにはディープな食のワンダーランドが広がっています。
基隆は港町だけあって、海鮮、とくにお寿司の店が目立ちます。台湾の人は日本人と同様、お刺身やお寿司が大好き。仁愛市場で人気だという握寿司(130元)は、ほぼ日本のお寿司と同じですが、醤油膏というとろみのある醤油ソースがかかっていました。
(参考)為替レート 1元=3.59円(2020年1月6日現在)
ほかにも生魚蓋飯(海鮮丼)や巻き寿司などバラエティに富んだ台湾お寿司ワールドを堪能できます。
■仁愛市場(レンアイシーチャン)
・住所: 基隆市愛三路21號
・時間: 8:00~19:00頃(店により異なる)
・交通: 基隆駅より徒歩約9分
話題沸騰中のインスタスポット正濱漁港彩虹屋
ンクやイエロー、グリーンなどのパステルカラーでカラフルにペイントされた家屋が立ち並ぶ「正濱漁港彩虹屋」は、近年インスタスポットとして大人気。穏やかな入り江には船も停泊し、まるでヨーロッパの港町のようです。ペイントされているのは一部分なので、うまくカメラに収めましょう。
基隆駅前から101、205路バスで「和平橋頭(原住民文化會館)」バス停で降りれば撮影スポットのすぐそばです。
■正濱漁港彩虹屋(ヂォンピンユィガンツァイホンウー)
・住所: 基隆市和平橋
・時間: 24時間
女王頭岩を見られる野柳地質公園
基隆駅前からバスで40分ほどの海岸に設けられた、独特な地形を観賞できる自然公園です。波と風に削られ、クレオパトラの横顔のような形となった女王頭岩は台湾屈指の見どころとして名高く、国内外から多くの観光客が訪れます。
女王頭岩はこのまま風による浸食が進むと、いつかは首が折れてしまうといわれていて、今のうちに見ておこうという人が多く、大行列ができることも。混雑時には入場制限が実施されます。
女王頭岩の周辺には、キノコのように丸く削られた奇岩がポコポコ並ぶシュールな光景も広がっています。まさに海岸地域ならではの見どころです。
夜のお楽しみは何といっても基隆廟口夜市
夕方になると、基隆市中心部の仁三路、愛四路にわたる範囲で毎夜開催される基隆廟口夜市は、長年営業する老舗グルメ屋台がずらり。仁三路は黄色いランタンがびっしりと並び、この夜市を象徴する景観を作り出しています。
ほかの夜市では見られない、地元の魚介を使用したメニューが多いのも特徴で、そのレベルの高さは台湾随一。台湾でいちばんの美食夜市として知られています。昼間から営業している店も多いです。
そんな基隆廟口夜市のおすすめグルメはこちら。仁三路の屋台は番号がついているので探しやすいです。
●呉記螃蟹羹(ウージーパンシエガン)のカニスープ
カニ肉、タケノコ、シイタケなどが入ったとろみのあるスープは基隆ならではの屋台料理。クセがなく日本人好みの味です。
・屋台番号: 5
・時間: 11:30~翌1:00
・値段: 60元
●天一香肉羹順(ティエンイーシャンロウゲンシュン)の魯肉飯
隠れた名店で、ここの魯肉飯(ルーロウファン)が台湾でいちばんおいしいという人も。食事時はかなり混みあいますが、奥にもけっこう席があります。ほかのおかずも豊富。
・屋台番号: 31
・時間: 9:00~翌1:00
・値段: 20元
●營養三明治(インヤンサンミンスー)の揚げパンサンドイッチ
揚げたコッペパンにハム、煮卵、トマト・キュウリをたっぷりの台湾マヨネーズと一緒に挟んだもの。あたたかいうちに食べましょう。
・屋台番号: 58
・時間: 11:30~24:00
・値段: 55元
●沈記泡泡冰(シェンジーバオバオビン)のフローズンシャーベット
削った氷にシロップを混ぜ込むことによって超なめらかな口当たりとなるフローズンシャーベット。フレーバーはマンゴー、ピーナッツ、チョコレートなどさまざま。
・屋台番号: 37
・時間: 10:00~22:00
・値段: 50元
素敵なカフェも
ひと休みのカフェには、1950年代に建てられた瀟洒なルネッサンス風の建物をリノベーションしたスターバックス(星巴克)がおすすめ。内装も通常の店舗に比べてクラシカルな雰囲気です。3階のすてきなソファ席でコーヒー片手にくつろぎのひとときを。
・住所: 基隆市義一路14號
・電話: (02)2427-8583
・時間: 7:00~22:00(金・土~ 22:30)
・休日: 無休 CJMV
・交通: 台鐵基隆駅より101、 103、 104路バスで 「市政府」下車、すぐ
基隆のおすすめモデルコース
1日がっつり回る超具体的なルートはこれ。
まずは電車かバスで台北から基隆へ。台北から野柳地質公園に行くバスも出ています。
台北でランチをすませてからのんびり出発する場合は、仁愛市場→基隆港周辺→基隆廟口夜市を徒歩でぶらぶら回るのがおすすめ。
天気がよければ九份と組み合わせるのも一案です。
基隆
↓790金山行き、台湾好行バス皇冠北海岸線などで約40分
野柳地質公園
↓790基隆行き、台湾好行バス皇冠北海岸線などで約40分
基隆港周辺を散策
↓徒歩約7分
仁愛市場でランチ
↓徒歩約6分
スターバックス義14門市でコーヒーブレイク
↓目の前のバス停から205路バスで約15分
正濱漁港彩虹屋
↓台湾好行バス濱海奇基線で約10分
中正公園から基隆港のビューを楽しむ
↓台湾好行バス濱海奇基線で約6分または徒歩約17分
基隆廟口夜市
↓和平広場前の仁二路バス停から首都客運バスでMRT市政府駅へ
台北
基隆の天気
基隆は雨が多いことで知られていて、かつて駅前に立っていた蒋介石の銅像にはレインコートが着せられていたほど。特に、10~3月は北東季節風の影響でほぼ毎日小雨が降ります。夏は晴れて青空が広がる日も多いです。
■基隆の天気&服装ナビ
・URL: https://www.arukikata.co.jp/weather/TW/KEU/
基隆のおすすめホテル
■Kホテル基隆店
台北にも支店があるビジネスホテル「Kホテル」系列。廟口夜市から徒歩約5分とアクセスもよく、使い勝手がよい。
・URL: http://keelung.khotels.com.tw/ja-jp/
■エバーグリーンローレルホテル基隆
緑色の19階建ての建物で、どこから見てもわかる高級ホテル。眺望がすばらしい。
https://www.evergreen-hotels.com
まとめ
いぶし銀の魅力を放つ基隆は、味わい深い大人旅ができそうです。今回の旅はタピオカやおしゃれショップの気分じゃないなーと思うときは、大都会台北を抜け出して、港町の風情を味わいに行ってみてはいかがでしょうか。
文: 谷口佳恵
写真: iStock 谷口佳恵
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筆者
地球の歩き方書籍編集部
1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。
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