アフターコロナ時代におけるグループ旅行の安心・安全な取り組みとは?<前編>~新様式の旅のかたち~

新型コロナウイルスをはじめとした感染症のリスクとどう向き合い、これからどのように旅をしたらよいのか? 「新しい旅のスタイル」を模索するべく、編集部がその道のプロにインタビューしていきます。今回はシニア層のリピーターが多い旅行会社クラブツーリズムさんに、海外旅行の「ニュースタイル」と呼ぶ新しい旅のかたち、そして成長著しい「ひとり旅」などの新事情についてお聞きします。
海外ツアー再開をスタートするための3つの条件とは?

今回、取材にご協力いただいたのは、クラブツーリズム、海外旅行部の久松亜美さんです。まずは現在、クラブツーリズムが打ち出している「ニュースタイル」という新しい旅を紹介します。次にどのような形で海外旅行を再開する予定なのか、そしてグループツアーながら注目を浴びている「ひとり旅」という旅のスタイルについてお話をうかがいました。
編集部
まずは2021年の年末から22年にかけて、再開予定の海外ツアーについて教えてください。
クラブツーリズムさん
コロナの感染状況など見て、秋頃の販売再開を予定しています。出発日は2022年2月出発以降で設定いたします。
編集部
再開した際に、海外ツアーの内容がコロナ以前と変わる部分はあるでしょうか?
クラブツーリズムさん
販売再開時の商品については、「安心・安全」の根拠として、以下の3つの条件を満たしたツアーのみになります。
1つ目は、「すべて添乗員付きのグループツアーである」こと。出入国時に「本当に相手国に入国できるか」といった不安もあるので、もしもの時のことも考えて添乗員付きのツアーに限定します。
2つ目は、「すべて直行便で行ける国であること」。第3国の乗継地があるとその国の入国条件も加わり、ハードルがひとつ上がりますよね。
最後の3つ目は、「一カ国で旅行が楽しめる国でご案内すること」。たとえば今まで好評だった北欧四か国や中欧周遊ツアーも、現在の状況ではやはり移動のリスクが伴います。第1弾としては、この3つの条件を満たした国を選定し、ツアーの販売を行う予定です。

編集部
一方で、ツアー主催者側からお客さまに対して参加条件を付けたり、お願いすることはあるでしょうか?
クラブツーリズムさん
今のところはありません。ただし訪問国によっては、ワクチン接種証明書やPCR陰性証明書の提出や提示を入国条件にしているところもあります。その場合は、事前にお客様に条件をお伝えします。今は相手国次第としか言えませんね。ただし、日本が出入国に条件を付けるようになれば、ツアー自体の募集条件は変わるかもしれません。
また、「安心・安全」の枠組みは弊社で作りますが、お客様にも体調管理や他の方への配慮、海外旅行保険への加入などをお願いする場面が増えてくるかもしれませんね。
安心・安全に配慮した海外ツアーにおける付加価値とは?

編集部
例えば、移動、ホテル滞在、観光など、海外ツアー中で特に強化されるポイントはありますか?
クラブツーリズムさん
まずは人数制限ですね。たとえばバスの中は密になりやすいので、バス利用のスタイルを変えていきます。コースによっては2人申し込みなどを除いて1人2席にするとか、他のグループとは相席にしないように配慮します。当社の国内ツアーのニュースタイルでは、現在すでに19名様以下と30名様以下という設定になっています。海外ツアーに関しての設定はこれからなのですが、19名様以下はバス座席2席分を1名様で利用、30名様以下は同一グループ以外の方との相席はしないという2パターンで検討中です。
また、今までも利用していましたが、これからは特にガイドの解説にはレシーバー利用を徹底します。バス運行中の休憩も換気も兼ねてこまめにする予定です。ホテルやレストランでも密にならないように配慮するので、以前よりもツアーの時間がかかるようになるでしょう。
編集部
観光や移動ひとつひとつに時間がかかるということは、ツアー全体が長くなるなどの変化が出ますでしょうか?
クラブツーリズムさん
国内旅行なら1泊2泊は延ばせますが、海外旅行の場合は、ツアー日数を延ばしにくいですね。旅行代金も上がってしまいます。ですので、むしろ立ち寄る場所を厳選するなどして対応したいと思います。
編集部
ツアーが少人数になると言うことは、総じて旅行代金は上がるのでしょうか?
クラブツーリズムさん
ひとつのツアーあたりの参加人数が減れば、人数割しているバス代・添乗員代・ガイド代などを鑑みると、旅行代金は上げざるを得ないですね。そもそも航空運賃も飛行機の運行本数が減った分、高くなっている場合もあります。その中で行うツアーですので、安心・安全に配慮しているという付加価値に納得していただき、海外旅行にご参加していただけるとありがたいと思っています。まずはウエブや紙媒体などで、そうした付加価値をお客さまに周知していけたらと考えています。
アフターコロナで再注目、“ひとり参加”のグループツアー!

編集部
アフターコロナではまた、ひとり参加の旅も増えてくるのでしょうか?
クラブツーリズムさん
もともと年々ひとり参加の割合は増えていました。アフターコロナの旅行では、ご夫婦やカップルの参加は従来通りご参加いただけると考えていますが、友達同士は減り、ひとり旅が増えてくると予想しています。やはり今の状況では、しばらくは友人を誘いづらいでしょう。アフターコロナでは、気兼ねなく旅行に行けるひとり参加が増えてくるのではと思います。
編集部
逆にひとり参加に対しての、お客様側が感じるハードルはありますでしょうか?
クラブツーリズムさん
今まで「ツアーに参加した時に孤立しやすいのでは」と言う思いが、ひとり参加のお客様の心理的なハードルになっていました。しかし、「ひとり旅/ひとり参加限定ツアー」のように、全員がひとり参加なら、周りの人も自分と同じなので参加しやすくなります。
共通の趣味、同じテーマで、帰国後も参加者同士の繋がりを提供!

編集部
ひとり旅、ひとり参加をされるお客様はどういった方が多いのでしょうか?
クラブツーリズムさん
「ひとり旅/ひとり参加限定ツアー」は前に述べたような理由で、そのブランドが好きな方が多いですね。その場合、「フォトジェニックな場所」や「テーマある旅」など共通の趣味がある方が参加しやすいですね。
編集部
ひとり旅のお客様から、旅の不安を取り除く工夫などはありますか?
クラブツーリズムさん
ひとり参加が心配という方のために、コロナ前は対面で顔合わせ会を実施していました。帰ってからも帰国後交流会や、年二回の謝恩会を行い、旅で知り合ったお客様同士の交流会も行っています。これからはオンライン上になる可能性もありますが、逆に今まで参加できなかった関東近郊以外の方も交流会に参加できるという利点もあるでしょう。そこで共通項のあるお客様同士の繋がりを提供できたらと思いますね。

編集部
アフターコロナの時代に求められる旅は、何よりも安心・安全が求められるということですね。またひとり参加のみのグループツアーというのも、リピーターが多いクラブツーリズムさんらしい企画ですね。
こちらに続きます
≫≫≫(関連記事)大手旅行会社に聞いた、アフターコロナ時代におけるグループ旅行の安心・安全な取り組みとは?<後編>~オンラインでリアルな旅行~の記事はこちら
お話をうかがった方
クラブツーリズム株式会社
海外旅行部
ヨーロッパ旅行センター
アシスタントマネジャー
久松亜美

今回は、シニア層のリピーターが多いクラブツーリズムさんに、海外グループツアーの再開について、それに伴う新しい旅のかたち、ひとり参加のツアーなどについてうかがいました。後編では、現在行っているオンラインツアーについて、そしてオンラインによる説明会がどういうものなのかをお聞きします。
取材記事:前原利行/構成:地球の歩き方編集部
画像提供:株式会社クラブツーリズム/©istock
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筆者
地球の歩き方書籍編集部
1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』の書籍編集チームです。ガイドブック制作の過程で得た旅の最新情報・お役立ち情報をお届けします。
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