ロートレックとベル・エポックの巴里@北九州市立美術館

公開日 : 2022年01月25日
最終更新 :
筆者 : Duke

こんにちは、「地球の歩き方」福岡特派員のDukeです。今日は、北九州市立美術館で開催中の『ロートレックとベル・エポックの巴里 1900年』を紹介します。

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19世紀の終わりから20世紀初めにかけて、パリでは急速に都市化が進むと同時に、新聞・雑誌、映画、ダンスや音楽など、大衆文化が花開きました。この時代は、のちに「ベル・エポック(美しき時代、良き時代)」と呼ばれ、美術の世界でも、象徴主義やアール・ヌーヴォー、フォーヴィスムなどの革新的な運動が起こり、パリの人々は、第一次世界大戦までの束の間の繁栄を謳歌したのです。

(写真は会場入口。ここから入って、最初の部屋は写真撮影が認められています)

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「ベル・エポック」と聞いて、映画『ミッドナイト・イン・パリ』を思い出す方も多いかもしれません。小説家志望の主人公ギルが1920年代にタイムスリップし、ヘミングウェイやフィッツジェラルドと交流するというファンタジックな映画ですが、そこで出会った女性アドリアナは、「現代」よりも「ベル・エポック」こそパリが最も輝いていた時代だと語ります。そして、ギルとアドリアナはベル・エポックにタイムスリップし、とあるキャバレーで出会ったのがロートレックでした。

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それほどに、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)は、ベル・エポックの享楽的な雰囲気を象徴する芸術家のひとりなのです。南仏の名門貴族の家に生まれながら、そこに居場所を見つけられず退廃的な生活に明け暮れた彼は、社会の底辺に生きる人々に共感を寄せ、キャバレーやダンス・ホールに集う人々を描き続けました。

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『ディヴァン・ジャポネ(日本の長椅子)』

ベル・エポックの時代、パリで流行していたカフェ・コンセール(音楽喫茶)のひとつ、ディヴァン・ジャポネの開店案内のポスター。中央の女性は、ロートレックお気に入りの踊り子、ジャンヌ・アヴリル。当時のフランスは、ジャポニスム(日本趣味)がもてはやされた時代で、ロートレックもその影響を強く受けていたと言われています。

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『エグランティーヌ嬢一座』

フレンチカンカン一座のロンドン公演に際して依頼されたポスター。制作に関しては詳細な依頼が行われましたが、ロートレックはそれには全く無頓着で、描きたいように描きました。踊り子の表情は暗く、お互いに睨みあっているようにも見えます。実際、このロンドン公演の後、この一座は反目しあって解散してしまったのだそうです。

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『メイ・ミルトン』

ロートレックが入り浸っていたキャバレー ムーランルージュで活躍していた踊り子、メイ・ミルトン。自身のアメリカ興行のために依頼したポスターです。

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この絵は、ピカソの『青い部屋』の背景に描かれています。若き日のピカソは、自分の部屋にロートレックのポスターを飾って楽しんでいたのかもしれませんね。

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『ラ・ヴュル・ブランシュ』誌に描かれた作品。ラ・ルヴュ・ブランシュ誌は、1889年ベルギーで創刊された前衛芸術雑誌で、著名な作家や芸術家の作品を掲載して高い評価を得ていました。この作品は、発行人のタデ・ナタンソンに依頼されたの広告ポスターで、ロートレックはナタンソンの妻ミシア・ゴデブスカをモデルとして、洗練された、若々しく教養のある、魅力的な女性の典型として描いています。

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『アルティザン・モデルヌ』

撮影可能だったのはこの部屋まででしたが、このほかにもミュシャやエドガー・ドガ、ラウル・デュフィ、ルイジ・ロワールらの作品 約300点を展示し、パリの華やかなりし時代を映し出しています。

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渡り廊下では、ロートレックやミュシャの作品をタペストリーにして展示していました。

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ロートレックと同時代を生き、ポスターの黄金時代を築き上げたアルフォンス・ミュシャの作品(タペストリー)。

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福岡県でも、オミクロン株が拡がりを見せていますが、北九州市立美術館では、感染防止対策をきちんと行った上で展覧会を継続しています。『ロートレックとベル・エポックの巴里 1900年』で、芸術・文化が花開いた時代に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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