土偶に会いたい!〈その14〉星ヶ塔ミュージアム矢の根や~殿村遺跡人体文付壺「三十三番土偶札所巡り」

公開日 : 2023年09月03日
最終更新 :
筆者 : 水月

こんにちは~山梨特派員の水月です。
「土偶に会いたい!」シリーズ〈その14〉は、長野県諏訪郡下諏訪町の「星ヶ塔(ほしがとう)ミュージアム矢の根や」です。ここでは、1体の人体文付壺が待っていてくれました。

でもその前に、トップの写真、なんだと思いますか? 「黒曜石採掘抗ジオラマ」です。
1階から2階の吹き抜けになっている部分に、原寸大で展示してあるんですよ。迫力あります!
ここ下諏訪には「星ヶ塔黒曜石原産地遺跡」があり、縄文時代の人々はそこで黒曜石を掘り出していたそうです。

縄文時代の採掘イメージを、パノラマイラストにして展示したコーナーです。泊まりがけで黒曜石を採掘しに行った縄文人の姿が、わかりやすく描かれています。

別名「天然ガラス」ともいわれ、鋭利な刃物の役割をしていた黒曜石。矢じりやナイフなどのほか、いろいろな道具に加工して使われていたんですね。

さて。こちらが「殿村(とのむら)遺跡人体文付壺」です。
諏訪湖を望む標高790mの高台にある「殿村遺跡」で出土しました。
縄文時代中期(約5000年前)には珍しいという壺形土器。首が短い壺形も特徴的だといわれています。口縁部が三角形状に高まる突起の下には、人体または動物を表現したような痕跡が見られ、何か特別なシーンで使われていた可能性があるそうです。

横から見ると、曲線の弓のようなものを貼り付けてあります。手足を左右に開いた人体文を簡略化したものと考えられています。

三角形状の突起や胴体前後にある縞模様が細長く伸びた文様は、動物文(蛇)だと推測されています。蛇は、強い生命力を持つ神秘的な動物。命を蘇らせるかのように脱皮を繰り返す蛇に、再生や長寿、子孫繁栄などの祈りを込めていたのかもしれません。土器をじっと見つめて、縄文時代にタイムワープしたかのように想像をふくらませるのもまた楽しいですね。

「殿村遺跡人体文付壺」の御朱印は、33番です。

「星ヶ塔ミュージアム矢の根や」がある「しもすわ今昔館おいでや」には、「時計工房儀像堂」が併設されています。写真の「水運儀象台」は、900年前の水力で動く大型天文観測時計塔で、毎正時デモンストレーションが行われ、なかに入って見学することができます。時計作り体験などもできますよ。併せてお楽しみください。

またここは、甲州街道と中山道が合流する宿場町があった場所。当時の風情が残った町並みはとても味わいがあります。「諏訪大社下社秋宮」もすぐそばです。ぜひ街歩きを楽しみ、諏訪大社へお参りをして、縄文時代から脈々と続いてきた”時の流れ”を体感していただきたいと思います。

■星ヶ塔ミュージアム矢の根や(しもすわ今昔館おいでや内)
・開館時間: 3月〜11月 9:00〜17:00 12月〜2月 9:30〜16:30
・年中無休
・入館料: 個人: 大人600円 小中学生300円
・住所: 〒393-0015 長野県諏訪郡下諏訪町3289
・電話: 0266-27-0001 
・FAX: 0266-26-1177
・URL: しもすわ今昔館おいでや

☆「土偶に会いたい!」シリーズバックナンバーはこちら☆

〈その1〉【土偶に会いたい!八ヶ岳山麓で"縄文"の御朱印を集めよう~「三十三番土偶札所巡り」】

〈その2〉【土偶に会いたい!〈その2〉南アルプスふるさと文化伝承館~ラヴィ&ピース「三十三番土偶札所巡り」】

〈その3〉【土偶に会いたい!〈その3〉藤村記念館~2つの顔を持つ土器「三十三番土偶札所巡り」】

〈その4〉【土偶に会いたい!〈その4〉北杜市考古資料館~ちびーなす&石堂地母神「三十三番土偶札所巡り」】

〈その5〉【土偶に会いたい!〈その5〉春日居郷土館~みさかっぱ&やっほー「三十三番土偶札所巡り」】

〈その6〉【土偶に会いたい!〈その6〉釈迦堂遺跡博物館~しゃかちゃん&しゃっこちゃん&出産土偶「三十三番土偶札所巡り」】

〈その7〉【土偶に会いたい!〈その7〉井戸尻考古館~始祖女神像&巳を戴く神子「三十三番土偶札所巡り」】

〈その8〉【土偶に会いたい!〈その8〉八ヶ岳美術館~火の女神フゥーちゃん&恩膳さんころん「三十三番土偶札所巡り」】

〈その9〉【土偶に会いたい!〈その9〉川上村文化センター~仮面装飾香炉形土器&大深山遺跡出土顔面把手「三十三番土偶札所巡り」】

〈その10〉【土偶に会いたい!〈その10〉山梨県立考古博物館~いっちゃん&のんさん「三十三番土偶札所巡り」】

〈その11〉【土偶に会いたい!〈その11〉原始・古代ロマン体験館~明神原の土偶&中道の香炉形土器「三十三番土偶札所巡り」】

〈その12〉【土偶に会いたい!〈その12〉尖石縄文考古館~縄文のビーナス&仮面の女神&おやゆび姫「三十三番土偶札所巡り」】

〈その13〉【土偶に会いたい!〈その13〉岡谷美術考古館~壺を持つ妊婦土偶&超小型土偶「三十三番土偶札所巡り」】

筆者

山梨特派員

水月

2000年に山梨県北巨摩郡明野村(現 北杜市明野町)に移住。田舎暮らしを始めました。3人の子育て経験や女性ならではの視点、食いしん坊の資質を生かして、山梨の魅力を発信していきたいと思っています。

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