注目度が急上昇中のフランス南西部オクシタニー地方を制覇、各都市の見どころ

公開日 : 2022年12月02日
最終更新 :

フランス南部といえばプロヴァンスやコート・ダジュールといった地域が定番ですが、今注目度が増しているのが南部でも西寄りのオクシタニー地方。おさえておきたい都市とスポットをまとめました。

いくつもの顔を持つオクシタニー地方の中心都市トゥールーズ

トゥールーズの町並みと奥にガロンヌ川 ©iStock
トゥールーズの町並みと奥にガロンヌ川 ©iStock

トゥールーズにはいくつか呼び名があります。ひとつ目は「バラ色の町」。赤褐色のレンガ造りの町並みが由来です。ふたつ目は「学生の町」。トゥールーズ大学を中心に学生人口が多いためです。3つ目は「航空宇宙産業の町」。航空機製造大手のエアバスが本社を置いています。そして4つ目は「ラグビーの町」。フランス南西部はラグビーが盛んな地域で、トゥールーズを本拠地とするラグビークラブ「スタッド・トゥールーザン」はフランスのプロリーグ「TOP14」で常に上位に入るチームです。

トゥールーズの観光スポットは、トゥールーズ市庁舎であるキャピトルを中心に、サン・セルナン・バジリカ聖堂、ジャコバン修道院、オーギュスタン美術館(宗教美術中心の美術館)、アセザ館(豪商の館を用いた美術館)です。すべて徒歩圏内なので、町を散策しながらのんびりと巡れます。

キャピトルとキャピトル広場 ©iStock
キャピトルとキャピトル広場 ©iStock

市内の主要スポットをひと通り見たら、次は航空宇宙産業関連のスポットへ。市内東部にあるシテ・ド・レスパスでは欧州宇宙機構(ESA)が開発したロケット「アリアン」やソビエト連邦(現ロシア)の宇宙ステーション「ミール」の試作品などを展示しています。月面歩行の体験もできます。市内北部郊外にあるトゥールーズ空港近くには航空博物館であるアエロスコピアが。超音速旅客機だったコンコルドや戦闘機ミラージュなど、各年代を彩った飛行機を見ることができます。ちなみにトゥールーズがあるオクシタニー地域圏は、航空宇宙産業が盛んということで、同じく日本で同産業が盛んな愛知県(三菱重工業による航空宇宙産業の拠点がある)と2018年に友好提携をしています。

シテ・ド・レスパスの敷地内 ©iStock
シテ・ド・レスパスの敷地内 ©iStock

もし試合日と滞在日のタイミングが合うならラグビー観戦もおすすめです。市内北部にあるスタッド・トゥールーザンのホームスタジアム「スタッド・アーネスト・ワロン」でラグビー強豪国フランスの本場の雰囲気を体験してみてはいかがでしょうか。また2023年にはフランスでラグビーワールドカップが開かれる予定です。日本代表のキャンプ地はトゥールーズで、現地の人の日本ラグビーへの注目度も高まっています。

スタジアム
Stade Ernest-Wallon(スタッド・アーネスト・ワロン)
住所
114 Rue des Troènes 31200

現代建築巡りも楽しい県庁所在のモンペリエ

モンペリエ旧市街とサン・ピエール大聖堂 ©iStock
モンペリエ旧市街とサン・ピエール大聖堂 ©iStock

オクシタニー地域圏およびエロー県の県庁所在でありモンペリエ第1〜3大学を抱える学園都市でもあるのがモンペリエです。同地もトゥールーズ同様にラグビーが盛んで地元クラブ「モンペリエ・エロー・ラグビー」はフランスのTOP14に所属。2022年は優勝しました。

モンペリエの見どころは中心地であるコメディ広場。そこから徒歩圏内にファーブル美術館、旧市街、凱旋門があります。ファーブル美術館が所蔵する作品で特に有名なのが、ギュスターヴ・クールべによって描かれた写実主義の代表作『出会い(こんにちは、クールべさん)』と『パラバスの海岸』。美術館全体としては15世紀から20世紀まで幅広く扱っています。旧市街を形作る建物は17〜18世紀のもの。コメディ広場から旧市街を通り抜けた先が、ルイ14世をたたえるために造られた凱旋門です。

モンペリエの凱旋門 ©iStock
モンペリエの凱旋門 ©iStock

建築好きならコメディ広場から東にある新市街アンティゴンがおすすめです。1980年代に行われた新都市計画でスペインの建築家リカルド・ボフィルにより設計されました。ロロップ広場をぐるりと建物が囲み、レ川を挟んで東側には藤本壮介氏が近年手がけた集合住宅「ラルブル・ブラン」も建っています。同建物に付属するレストラン「ラルブル」で食事もできますし、17階には同レストランのルーフトップバーがあります。

集合住宅
L’arbre(ラルブル)
住所
Place Christophe Colomb 34000
観光案内
Office de Tourisme & des Congrès Montpellier Méditerranée Métropole
(モンペリエ観光局)
住所
Place de la Comédie, 30 allée Jean de Lattre de Tassigny 34000

世界遺産でもある城塞都市カルカソンヌとミディ運河

シテを取り囲む城壁と塔 ©iStock
シテを取り囲む城壁と塔 ©iStock

「カルカソンヌを見ずして死ぬな」という言葉であまりにも有名な町が城塞都市のカルカソンヌです。イベリア半島につながる地理的要所にあり、町を囲む堅固な城塞が築かれました。カルカソンヌは主にこの城塞部分の「シテ」と城塞からオード川を渡った先の下町「バスティード・サン・ルイ」のふたつの地区で構成されています。

カルカソンヌ駅を降りると、まず通るのがバスティード・サン・ルイ。クレマンソー通りが繁華街でカルノ広場には火・木・土曜に朝市が立ちます。下町と城塞を隔てるのがオード川。そこに架かる橋ポン・ヴィユーをわたるとシテです。

シテとバスティード・サン・ルイを結ぶポン・ヴィユー ©iStock
シテとバスティード・サン・ルイを結ぶポン・ヴィユー ©iStock

シテは全長3kmの城壁と52の塔で構成されています。バスティード・サン・ルイからシテを見上げると、その威容に圧倒されます。城塞内は石畳と石造りの建物に囲まれ中世の雰囲気そのもの。12〜13世紀に建てられたコンタル城や11世紀から歴史を紡いできたサン・ナゼール・バジリカ聖堂などがあります。

カルカソンヌは「歴史的城塞都市カルカソンヌ」として世界遺産に登録されていますが、もし日程に余裕があるなら同じく世界遺産に登録されているミディ運河に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

ミディ運河を巡るボート ©iStock
ミディ運河を巡るボート ©iStock

ミディ運河とは塩税徴収請負人だったピーエル・ポール・リケの発案により造られたトゥールーズと地中海の港町セートを結ぶ運河です。この運河ができたことによりフランスは、大西洋から地中海へものを運ぶ時にイベリア半島を迂回する必要がなくなりました。現在はクルーズや運河に沿った道をサイクリングなどして楽しめます。運河観光はカルカソンヌ発の現地ツアーの利用が便利です。

南に地中海、西にピレネー山脈があるオクシタニーは海、山、歴史文化と魅力が詰まっています。フランスの地方がもっと好きになるはずです!

監修:地球の歩き方

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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