![](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_001356_44301cc7_w1920.jpg)
ノルマンディーを代表する町ルーアンとル・アーヴル、ガラリと変わる町並みと「印象派」の共通項を楽しむ
ルーアンとル・アーヴルはパリからのアクセスも良い、ノルマンディーを代表する町です。少し内陸に入ったセーヌ川の河川港であるルーアンと、セーヌ川の河口に位置し、巨大な船も出入りするル・アーヴルは、これまでたどってきた歴史とそれに伴う町並みが大きく変わります。印象派をテーマに置きつつ、これら二つの町を訪れてみましょう。
押さえておきたいルーアンの定番スポット
![大時計](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_001610_4e7a0d34_w1920.jpg)
旧市街を木組みの家々が建ち並ぶルーアンは、15世紀にジャンヌダルクが火刑に処された場所として有名です。ジャンヌダルクとは、イギリスとフランスが争った百年戦争において、フランスのオルレアン解放を成功させた立役者です。処刑場となった旧市場広場には、サン・ソヴール教会跡が残り、またジャンヌ・ダルクに捧げられたジャンヌダルク教会も建っています。
ルーアンでもう一つ有名なのが、市内にある大時計。ゴシック様式の鐘楼とルネッサンス様式のアーチ、18世紀の噴水が組み合わされたもので、通りを跨ぐように建てられています。ヨーロッパでもっとも古い時計の一つです。
- 名称
- 大時計(Gros-Horloge)
- 住所
- rue du Gros Horloge 76000
この大時計から先へ進むと、ルーアンを印象派という観点から見た時に欠かすことができない、ルーアンのノートルダム大聖堂があります。
![取材時にご一緒したカナダ人記者とルーアン大聖堂](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_002401_6a1ecdbd_w1920.jpg)
緻密な装飾でファサードが飾られたとても巨大な建物。モネが同大聖堂をモチーフに連作を描いたことで有名です。実際にモネがルーアン大聖堂の連作を描いたのは、大聖堂向かい側にある建物の、現在はインフォメーションになっている2階から。かつては「パリ・モデルヌ」というショップの下着売り場で、衝立を立てて絵画の制作をしたそうです。
モネは、大聖堂の正面ファサードを1日の異なる時間帯で描き分けており、光の変化が同じファサードの美しさをいく通りにも発見させてくれます。
- 名称
- ルーアンのノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Rouen)
- 住所
- Place de la Cathédrale 76000
大聖堂を見学したら、市内にあるルーアン美術館も訪れてみましょう。印象派コレクションが充実した美術館で、モネが描いたルーアン大聖堂の連作30点のうちの一つ『曇天』が所蔵されています。同じくモネの『サン・ドニ通り、1878年6月30日の祝日』は、第3回パリ万博の成功を記念したパリ市内の祝祭の様子を描いた、フランス国旗が印象的な作品です。
![モネ『サン・ドニ通り、1878年6月30日の祝日』](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_003146_600ead8c_w1920.jpg)
その他には『ポール・マルリーの洪水』といったシスレーの著名な作品も見ることができます。
- 名称
- ルーアン美術館(Musée des Beaux-Arts de Rouen)
- 住所
- esplanade Marcel Duchamp 76000
押さえておきたいル・アーヴルの定番スポット
![サン・ジョセフ教会内のステンドグラス](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_005024_b02c2994_w1920.jpg)
ルーアンからル・アーヴルへ来ると、町並みがガラリと変わることに驚くと思います。ル・アーヴルは第二次大戦時に広範に爆撃を受けて多くの場所で昔からの建物が失われました。その後、戦後復興において建築家オーギュスト・ペレによる都市計画が行われ、コンクリートを用いた幾何学的な構造の独特な町並みへと変貌しました。
昔からの町並みを復元するのではなく、コンクリートを主とした建築が採用されたのは、戦災で住むところを失った多くの人々に、いかに迅速に復興を提供するかが当時の課題であったということ。そのためコンクリートを用い、統一した基準でパーツのように構造物を組み合わせていくことにより、戦争から一刻も早く年の立ち直る選択を取りました。そのため現在のル・アーヴルの見どころは、それら戦後建築が主。そしてオーギュスト・ペレの建築群は世界遺産にも登録されています。
ル・アーヴルでまず訪れたいのが、サン・ジョセフ教会。ル・アーヴルの都市再建計画の一環として建てられた教会で、外観の直線的な構造、そして内部の幾何学的なステンドグラスが見事です。
![サン・ジョセフ教会](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_005151_90358d2a_w1920.jpg)
- 名称
- サン・ジョセフ教会(Eglise Saint-Joseph)
- 住所
- 130 Boulevard François 1er 76600
市内を東西に貫くフォッシュ通りの西端辺りにあるポルト・オセアンは、集合住宅を海へ抜ける巨大な門のように配した構造です。
![市内を走るトラムの線路とポルト・オセアン](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_005127_b48ef3ec_w1920.jpg)
オーギュスト・ペレの建築群は、いずれも現在進行形で人々が暮らす場所。そのため内部を見学することは難しいのですが、市内中央にあるアパルトマン・テモワン・ペレは、観光用に資料館として内部を整えて公開されています。
- 名称
- アパルトマン・テモワン・ペレ(Appartement Témoin Perret)
- 住所
- 181 Rue de Paris 76600
オーギュスト・ペレの建築物以外では、ブラジル人建築家オスカー・ニーマイヤーがデザインしたアートセンター「ル・ヴォルカン」も目を引く建物の一つ。同所にあるオスカー・ニーマイヤー図書館は、近未来的なインテリアで、内部も楽しめます。
![ル・ヴォルカン(手前)とオーギュスト・ペレの建築群(奥)](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_004017_5d9ee433_w1920.jpg)
- 名称
- ル・ヴォルカン(Le Volcan)
- 住所
- 8 place Oscar Niemeyer 76600
ルーアンと比べると随分現代的に見えるル・アーヴルですが、ここはモネの代表作『印象、日の出』が描かれた町です。また市内にあるアンドレ・マルロー近代美術館は、モネの先輩であり印象派の先駆者でるブーダンの作品220点を所蔵しています。
![アンドレ・マルロー近代美術館](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_005205_3129f7c5_w1920.jpg)
他にはモネ、ルノワール、ピサロ、マルケ、マティスなど、パリのオルセー美術館に次ぐフランス屈指の印象派美術館となっています。オルセー美術館のような混み具合ではないため、印象派絵画をゆっくりと鑑賞したい人にとっては、とても向いている美術館です。
![アンドレ・マルロー近代美術館](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_003818_565e676b_w1920.jpg)
- 名称
- アンドレ・マルロー近代美術館(MuMa - Musée d'art moderne André Malraux)
- 住所
- 2 Boulevard Clemenceau 76600
もし時間があれば、ル・アーヴル郊外のサン・タンドレス地区にも足を運んでみましょう。ここからはルーアン市内を一望できる絶景が楽しめます。
パリからルーアンおよびル・アーヴルへの行き方
![サン・ラザール駅](https://static.arukikata.co.jp/data/article/3006000/3005467/20240529_005743_4ac279f0_w1920.jpg)
パリからルーアンおよびル・アーヴルへは、パリのサン・ラザール駅から列車を使って乗り換えなしでアクセスできます。パリからルーアンまでは約1時間半、パリからル・アーヴルまでは2時間強です。
パリのターミナル駅であるサン・ラザール駅は、パリ最古のターミナル駅で、モネが描いたことでも有名です。ノルマンディーを巡る印象派の旅のスタート地点としては最適の場所です。
取材協力:フランス観光開発機構、ノルマンディー地方観光局
![](https://static.arukikata.co.jp/data/profile/11000/10089/20221012_154417_c8a0c44c_w320.jpg)
筆者
フランス特派員
守隨 亨延
パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。
【記載内容について】
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