
歴史や映画の舞台にも……パリの超有名カフェとオーダーしたいメニュー
パリ市内のセーヌ川を挟んで南側にはフランスの文化の一躍を担った歴史的なカフェが点在しています。歴史や映画の舞台になった、パリに来たら行ってみたい有名店をまとめました。
サンジェルマン・デ・プレで文学の香りを感じる

パリ市内6区サン・ジェルマン・デ・プレ教会前の広場には、パリのカフェ文化を語る時に欠かせない「カフェ・ド・フロール」と「レ・ドゥー・マゴ」というふたつの有名カフェが軒を連ねています。
このふたつのカフェがなぜそこまで有名なのかというと、きっかけを作ったのが1950年代に実存主義を唱えた哲学者ジャン・ポール・サルトルです。サルトルはカフェ・ド・フロールの2階を自らの書斎のように使い、人と会う場所にしていました。そのためカフェ・ド・フロールは当時の知識人が議論するサロンのような場所として栄ました。

サルトルはカフェ・ド・フロールの隣にあるレ・ドゥー・マゴの5階に当時住んでおり、サルトルのパートナーだった哲学者シモーヌ・ド・ボーヴォワールは同じくレ・ドゥー・マゴの建物の2階に住んでいました。ボーヴォワールもこれら階下のカフェを用いており、プライベートではカフェ・ド・フロール、仕事ではレ・ドゥー・マゴと、用途に応じて使うカフェを替えていたそうです。
これらのカフェでぜひ注文してほしいのがショコラショー(ホットチョコレート)。冬は特に体が温まります。テラス席で道行く人を眺めながら、温かい飲み物を片手にゆったりとパリでの時間を過ごしてみてください。

20世紀初頭の享楽的雰囲気を今に伝えるモンパルナス

カフェ・ド・フロールとレ・ドゥー・マゴに焦点が当たり出す前に、社交場として盛り上がっていたのが、モンパルナスにあるカフェです。第一次世界大戦終了から世界恐慌が起こるまでの1920年代は「狂乱の時代」と呼ばれ、パリで芸術が特に盛り上がりを見せた時期。その当時「エコール・ド・パリ」と呼ばれた芸術家や文化人が集ったのがモンパルナス地区でした。
アポリネール、マックス・ジャコブなどの詩人たちが集まったのが「ラ・クロズリー・デ・リラ」。老舗らしく現在は来店する人々の年齢層は高めです。


- La Closerie des Lilas(ラ・クローズリー・デ・リラ)
- 住所
- 171 Boulevard du Montparnasse 75006

そこからモンパルナス大通りを北西へ向かった先、ヴァヴァンの交差点にある「ラ・ロトンド」「ル・セレクト」「ル・ドーム」「ラ・クーポール」では、モディリアーニ、スーティン、シャガール、ザッキンなどの画家が集いました。またレーニン、トロツキー、ストラヴィンスキー、サティらに加え、ヘミングウェイ、藤田嗣治、ピカソ、アインシュタインなども訪れていたそうです。

サルトルやボーヴォワールも、モンパルナスの喧騒を避けてサン・ジェルマン・デ・プレに移る前は、ここモンパルナスに通っていました。
モンパルナスのカフェはどこも魚介などが有名です。またそのお店に通った著名人にちなんだメニューを注文してもいいかもしれません。

芸術家や文化人が集まった、かつての様子に思いをはせてみましょう。
パリで最古のカフェで、昔ながらのフランス料理を楽しむ

時代をさらに遡って、パリでもっとも古いカフェがオデオンにある「ル・プロコープ」です。シチリア出身のプロコピオによって1686年に開かれた店で、創業当時はトルコから伝来したコーヒーを飲ませる店だったため、今ではパリ最古のカフェといわれています。
ル・プロコープは豪華な内装で、当時多くの人を集めました。18世紀には作家やジャーナリストたちが集う店になっており、ナポレオンも訪れたそうです。店内の階段を上がった2階には、当時ナポレオンが勘定代わりに置いていったといわれている帽子が今も残され、飾られています。

現在は18世紀の内装を再現したレストランとして営業しています。博物館のようなインテリアの店内ではオニオングラタンスープ、コック・オ・ヴァン(鶏のワイン煮込み)といった古典の定番フランス料理を楽しめます。


これら老舗店は店構えやインテリアだけでなく、出される料理も今流行りの軽めのフランス料理と比べると重いものが多く、そこにも歴史を感じられます。店の装飾以外に味覚も含めて楽しんでみてください!
監修:地球の歩き方

筆者
フランス特派員
守隨 亨延
パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。
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