海外でのチップについて
2ページ目

公開日 : 2022年12月28日
最終更新 :

チップについて考える

皆さんは、チップに関してひととおりの予備知識はおもちのことと思う。だが、年間約150万人以上もハワイを訪れる日本人観光客のなかには、この日本にはない習慣にうとく、チップを置いていかない人がまだまだいるようだ。
レストランで働くウエーター、ウエイトレスにとって、チップの収入はサラリーより重要なもの。少しでも多くのチップを稼ぐために、一生懸命サービスに励むわけだ。ところが、チップを置いていかないとなると、彼らのサービスに対する評価はゼロということになってしまう。そうなってくるとサービスする側も自衛手段を取らざるをえない。
「日本のお客さまのなかにはチップの習慣を知らない方がいらっしゃいますから、当店では伝票を渡す際、『15%のサービスチャージを頂戴してもよろしいですか?』と、スタッフにおうかがいを立てさせるようにしています」(ワイキキの某日本レストランのマネジャー氏)というレストランもあるが、これはまだ良心的なほう。一般的には伝票の裏やメニューに『料金の15%程度のチップをお願いします』といった日本語の注意書きがあったりする。
ひどいのはなんの断りもなしに、あらかじめ15%程度のサービスチャージを上乗せした伝票を出すレストラン。数年前は、日本人の多いワイキキ周辺のごく一部に限られていたのが、昨今ではネイバーアイランドの小さなレストランまでが、こうしたやり方で「チップのもらいはぐれ」を防ぐようになった。

チップは客が決めるべきもの

確かに料金の15%を計算するという煩わしさから解放されるから、レストランのほうであらかじめ上乗せしてくれてもいい、という意見もあることはある。また、すでにワイキキをはじめとして多くのレストランがこうした手段を取っており、そのなかには味も雰囲気も「一流」といわれるお店も少なくない。その原因は、15%のチップを上乗せしても、日本人は黙って払っていってくれるというレストランサイドの認識があるからだろう。だが、チップとは本来客が決めるべきもの。満足できるサービスを受けたら20%払ってもいいのだし、ひどいサービスなら一銭も渡す必要はないのだ。
「15%のチップ? まあ、いいだろう」というごく一部の日本人観光客の態度が原因で、いちばん被害を被っているのはハワイに住む日本人、日系人たちだろう。
「せっかくおいしい食事と楽しいひとときを楽しんだのに、伝票を見るとサービス料が上乗せされている。これは興ざめです。そのお店に対する評価もガタ落ち。こんなときは、マネジャーを呼んで当然クレームをつけます。よくよく話を聞くと、やはり日本人観光客は黙って伝票どおりに払っていくのだというのです。英語が話せないということもあるのでしょうが……」(ハワイの人材派遣会社経営・ロイ吉本さん)
アメリカ人の客にはチップ上乗せ伝票など出さないが、日本人には平気という最近のレストランの風潮はどうにかならないものだろうか。われわれがまいたタネとはいえ、自らが評価をしてチップの額を決める、という毅然とした態度が、これからの観光客には必要だと考える。

筆者

地球の歩き方ウェブ運営チーム

1979年創刊の国内外ガイドブック『地球の歩き方』のメディアサイト『地球の歩き方web』を運営しているチームです。世界約50の国と地域、160人以上の国内外の都市のスペシャリスト・特派員が発信する旅の最新情報をお届けします。

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。