106. サマルカンド最大級の市場・シヨブバザールでシルクロード交易の面影を感じよう

公開日 : 2023年05月24日
最終更新 :

サローム(こんにちは)!

ウズベキスタンを旅するなら各都市で訪れてみたいローカルマーケット、バザール。首都タシケントを代表するバザールがチョルスーバザール(39. チョルスーバザール徹底ガイド!タシケント最大の市場を大探検)ならば、サマルカンドを代表するバザールはシヨブ・バザール(シヤブバザールやショブバザールとも表記)。鉄道駅からトラムで一本、観光地ビビハニムモスクのすぐ横にあるというアクセス抜群の市場で、観光の合間に気軽に立ち寄ることができます。
起源は定かではありませんが、2000年以上の歴史を誇るともいわれるこの巨大なバザール。かつてシルクロード交易が栄えた時代には、あらゆる土地からやってきた旅人や商人たちでにぎわっていたことでしょう。現在も地元住民と外国人旅行者が入り混じって買い物を楽しんでおり、様相は大きく変わったはずですが当時の面影を偲ぶことができるかもしれません。週に数度この市場に通っている私が、このバザールをスムーズに探索できるように売り場たちを徹底解説していきましょう。

シヨブバザールとビビハニムモスク
にぎわうバザールの背後にそびえたつビビハニムモスク

レギスタン広場脇から延びる歩行者天国カリモフ通り(旧名タシケント通り)を北へ進んでいくと左手に見えるのがビビハニムモスク、それを過ぎるとすぐシヨブ・バザールの入口が見えます。このメインゲートからバザールに入ってみましょう。なおカリモフ通りを行き来している電気バスは、この入口前でレギスタン広場方向へ折り返していきます。

シヨブバザール 入口
ビビハニムモスクすぐ横のメインゲート

入ったとたん、目の前の売り場のおばさんがこちらを見るや手招きしたり声をかけてきたりするはず。おばさんたちが売っているのは謎の白い物体。これは中東の国々でも食べられている、砂糖やナッツを油で固めたお菓子ハルヴァです。イスラム圏のお菓子というと歯が溶けそうなほど甘いものばかり! というイメージですが、想像するほど甘くはない上やみつきになりそうな独特の風味があり、私の周りにはこれにハマってしまってハルヴァ中毒になってしまう日本人もいました。お茶やコーヒーと共にいただきましょう。

シヨブバザール ハルヴァ売り場
量り売りでもパッケージ入りでも売っているハルヴァ

ここから半屋内の売り場スペースがずっと続いています。ハルヴァ売り場の奥にあるのはナッツやドライフルーツの売り場。お土産特集記事でも説明しましたが(101. ウズベキスタンお土産大全!伝統工芸品から食べ物、斬新ファッションまでおすすめ品を一挙紹介)、お茶請けにぴったりなウズベキスタンのドライフルーツはお土産に最適。ただ他の町のバザール同様ここのドライフルーツ売りたちも圧が強く、堪能な英語、さらには時々安い!おいしい! などの日本語も交えてガンガン勧めてきます。彼らの圧に負けないよう、自分のペースでしっかり選んで買いましょう。
なおハルヴァやナッツ・ドライフルーツは、頼むと快く試食させてくれます。日本人の感覚では食べさせてもらったからには買わないと...と思いがちですが、買わなくても売り手は全く気にしておらず、何も断らず次から次へと試食して去っていくウズベク人もたびたび見かけるので(笑)、デパ地下感覚でどんどん試食してみましょう。いろんな売り場で試食を勧められ、気づけば満腹になっていたという日本人旅行者も...。どんな食べ物か分からなくても実際食べて確かめることができるのが、バザールの大きな魅力なのです。

シヨブバザール ドライフルーツ売り場
干しメロンや干しあんずなど、日本ではなかなか食べられないドライフルーツも

ハルヴァ売り場に戻り、左手に進んでいくとナン売り場が出現。この町の名物のサマルカンドナンもここで買うことができます。ただ観光客がよく訪れる売り場なので、値段を吹っかけてくるかもしれません。参考までに、2023年5月現在のサマルカンドナンの相場は1枚1万2000スム(約150円)ほどです。

シヨブバザール ナン売り場
結婚式の時に食べられるというカラフルなナンも

さらに道なり(西側)に進んでいくと、見るも鮮やかな陶器売り場が登場。ここもやはり言い値は相場より高めの傾向にあるので、買う前に他のお土産屋さんなども巡ってみることをおすすめします。
少し歩くと左手には平屋建ての建物が。お昼時に行くと、プロフの看板が店頭に出ているはずです。ここはバザール関係者や買い物客がよく訪れる、有名のプロフ屋。お茶やサラダ込みで3万5000スム(約430円)で食べられる安さも人気の理由です。バザール内には他にもいくつか食堂がありますが、ここでプロフを食べるのが個人的には一番おすすめ。1時には売り切れることもあるので、ぜひ早めに行ってみてください。

シヨブバザール プロフ食堂

そのまま行くと突き当りには有料(2000スム)のトイレが。そこから右に折れると両替特集記事で紹介した(94. サマルカンドの両替情報 おすすめの銀行・ATMをご紹介【2023年最新情報】)、両替可能な銀行があります。店頭にはATMもあり。
(※2024年4月追記:残念ながら上記シヨブバザール内の銀行は閉店。ただATMは残っており、キャッシングが可能です。またシヨブバザール入口に両替商がおり、ドルをスムに換えてくれます。リスクはありますが、どうしてもシヨブバザール近くで両替したい場合や、銀行がクローズする土日に両替したい場合は試してみる価値があるかもしれません)

売り場へ戻ると、この付近のスペースを占めているのは米や穀物、総菜の売り場。さらに少し戻るといかにも中央アジアらしい香りが漂うスパイス売り場にたどり着きます。隠れた優良土産である、ウズベク料理スパイスパウダーやハーブティーの茶葉もここで売っています。

シヨブバザール スパイス売り場
ウズベク人でも名前や使い方が分からないというスパイスも...。

このスパイス売り場は屋内売り場スペースに接しています。そこに入ってみるとムッとした乳製品のにおいが。ヨーグルトを固めた保存食でビール党のウズベク人がおつまみとして愛する、クルトの売り場のお出ましです。あまりのしょっぱさに降参する日本人が多いですが、ぜひひとかけら試食してみてください。
クルトに混じってはちみつを売っている売り場もあり、ここでもぜひ試食を。日本と比べると格安で購入でき、しかも種類もたくさんあります。

シヨブバザール クルト売り場
強烈な味のクルト。チーズ好きなら一度は試してみて!

このクルト売り場から西側へ出ると、格好の展望スポットが。眼下に半屋内の野菜売り場が広がり、売り手や買い物客たちがせわしなく動いている様子を見渡すことができます。

シヨブバザール 全景

クルト売り場やスパイス売り場の近くには階段があり、その降り口付近にあるのが帽子売り場。ウズベク人の民族帽、ドッピやカルパックをここで買うことができます。さらには男性が着る伝統的なコート、チャパンもここで販売。すべて揃えれば即席ウズベク男児のできあがりです。

シヨブバザール 帽子売り場

ここから階段を下りていってみましょう。シヨブ・バザールはいくつかの層に分かれており、ここで今まで説明してきた最上層から下へ降りることになります。
ここに下りるとまず目につくのは色とりどりのフルーツの売り場。通路に沿って旬の果物が所狭しと売られているのです。その合間にはザクロジュース売りがおり、その場で絞った新鮮なザクロジュースを一年中飲むことができます。

シヨブバザール フルーツ売り場
日本ではありえない陳列方法で売られている果物たち。桑の実は洗面器に入って販売

左手にある半屋内の売り場スペースのほとんどを占めるのは野菜と肉売り場。プロフに欠かせない黄色いニンジンやロシア料理によく使うビーツなど、日本ではなかなかお目にかかれない野菜も見つかることでしょう。また肉売り場は塊肉から切ってもらうスタイルで、ときどき一頭丸ごと吊り下げられていることも。

シヨブバザール 肉・野菜売り場

野菜売り場を歩いていると、急に小麦粉のにおいが漂ってくる一角があります。ここが第2のナン売り場で、サマルカンドナンが大量に売られているエリア。ナウルーズの時期には、この時期ならではの食べ物スマラクもこの近くで売られています。

シヨブバザール ナン売り場
ナンの王様と呼ばれるサマルカンドナン。光っているように見えるのは表面に油を塗っているため

このナン売り場から農具売り場、またはサモサ売り場をわき目に西へ歩いていくと、車道ゲートに出ることができます。目の前のバス停からは、サマルカンド空港やバスターミナル方面へ行くバスが発車します。
一方逆方向の東側へ歩いていくと、現れるのは生活用品売り場。おおかた旅行者には必要ない商品ばかり目にしますが、お土産にする価値ありの綿花柄の食器をこの辺りで安く仕入れることができます。さらに行くとお土産屋ゾーンに入り、陶器やスザニ柄小物雑貨、スカーフ、Tシャツなどの定番土産を置いた店が並んでいます。当然ながら店主は観光客を見つけるや否やお店に招き入れようとしますが、同じ品物でも店によって値段が違うこともあるので、欲しい物を見かけてもよく値段を確認してから購入しましょう。お土産屋ゾーンにあるゲートから、直接カリモフ通りに出ることができます。

ここまで全て紹介した売り場を見て回ろうと思うと、かなりの時間が必要なはず。しかしこの時点でもまだシヨブ・バザールの半分ぐらいしか回れていません。さらに先へ進むには、野菜・果物売り場の北側にある屋内のお菓子屋や酒屋に入ってみましょう。店内は通り抜けられるようになっており、反対側の入口から出ると新しい売り場スペースが出現。まるで秘密の隠し扉を開けて新しいステージに突入したかのような錯覚に陥ります。
いくつかの通路で区切られたこの売り場スペースで売られているのは、おもちゃや携帯電話関連商品、布地、文房具など。

シヨブバザール フルーツ売り場
果物売り場にて。写真右側の入口から酒屋に入れ、店内を通り抜けられる
シヨブバザール おもちゃ売り場
毎年春先に売られ始める凧

下へ下へと降りる階段を挟んだ反対側にあるのは、地元の人々がなぜか上海バザールと呼ぶ広い服売り場。この辺りは通路が狭く、安い服や靴を求める買い物客ですさまじい混雑になることもあります。
階段を降りていくと3階建ての建物に突き当たりますが、これはショディヨナというショッピングモールでここでも服が売られています。ショディヨナの反対側を走るのが、幹線道路のシャーヒズィンダ通り。バザールのゲートを出るとバス停が現れ、ウルグベク天文台やタシケント・ブハラへの乗り合いタクシー乗り場方面へ向かう99番バスや、コニギルメロス紙すき工房などへ向かう1番バスがここから発車します。反対側には鉄道駅へ向かうトラムの発着場がありますが、この辺りには横断歩道はないので、カリモフ通りの歩道橋を渡って向かった方がいいでしょう。

シヨブバザール 生活用品売り場
階段の両脇にも露店がずらり

ここまで見るとバザールの大方の場所を制覇できたことになりますが、じっくり見て回っていると半日以上たっているかもしれません。時間に余裕のある方は、ぜひこの広い広いバザールを心行くまで満喫してください。
なお月曜日や年末年始は市場全体がお休みになります。散策中は品物に取られてスリに遭わないよう、そして滑ったり転んだりしないよう荷物や足元に注意。また物乞いもちらほら見られるので気をつけましょう。

自分たちだけで回るのは不安、または売り場や品物の説明をじっくり聞きたいという方へ。私がボランティアスタッフとして活動しているサマルカンド観光案内所(103. 特派員が活動中のサマルカンド観光案内所ご紹介!学生スタッフがガイドする街歩きミニツアーも開催)では、日本語を学ぶ学生がガイドとしてご案内するシヨブバザール散策ツアーを開催しています。いくつか企画している学生ガイドツアーの中でも断トツの人気ツアーですので、ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。

それではコルシュグンチャ・ハイル(また会う日まで)!

■シヨブ・バザール Siyob bozori

住所
Islom Karimov ko'chasi, Samarqand
営業日
月曜・年末年始以外毎日
アクセス
サマルカンド駅から2番トラムで20分、終点下車徒歩5分。レギスタン広場から徒歩20分、または電気バスで5分。

筆者

ウズベキスタン特派員

伊藤 卓巳

根っからのスタン系大好き人間です。まだまだ知られていないウズベキスタンの魅力や情報を、サマルカンドより愛をこめてお伝えします!

【記載内容について】

「地球の歩き方」ホームページに掲載されている情報は、ご利用の際の状況に適しているか、すべて利用者ご自身の責任で判断していただいたうえでご活用ください。

掲載情報は、できるだけ最新で正確なものを掲載するように努めています。しかし、取材後・掲載後に現地の規則や手続きなど各種情報が変更されることがあります。また解釈に見解の相違が生じることもあります。

本ホームページを利用して生じた損失や不都合などについて、弊社は一切責任を負わないものとします。

※情報修正・更新依頼はこちら

【リンク先の情報について】

「地球の歩き方」ホームページから他のウェブサイトなどへリンクをしている場合があります。

リンク先のコンテンツ情報は弊社が運営管理しているものではありません。

ご利用の際は、すべて利用者ご自身の責任で判断したうえでご活用ください。

弊社では情報の信頼性、その利用によって生じた損失や不都合などについて、一切責任を負わないものとします。