名和晃平さんのモニュメントがフランスでお披露目、パリ隣接のセガン島にさらに日本人作品加わる

公開日 : 2023年06月29日
最終更新 :

パリ市に隣接するオー・ド・セーヌ県ブローニュ・ビヤンクール市にあるセーヌ川の中洲・セガン島に、彫刻家の名和晃平さんによる高さ25mのモニュメント「Ether(Equality)」が完成し、その公開式典が2023年6月28日に行われました。この作品は「égalité(平等)」をテーマに、オー・ド・セーヌ県が開いた国際コンペティションで選出されたものです。

セーヌ川にすらりと建つ25メートルのモニュメント

セーヌ川を挟んでパリ市側から見たセガン島
セーヌ川を挟んでパリ市側から見たセガン島

セガン島は、以前は自動車会社ルノーの工場があった場所で、現在はその工場跡地を使い再開発が進んでいます。そのセガン島の整備の一環として、オー・ド・セーヌ県は今回のモニュメント作品の設置を決定し、集まった35作品から選ばれたのが、今回、名和晃平さんがフランスのDANAE.IOとタッグを組んで提案した「Ether(Equality)」でした。

作品は十二角形をベースとした多面体で構成された薄いシルバーピングで、高さは25メートル。地面に落下する水滴のシルエットを、上下反転させランダムに積み重ねたデザインです。背後にある建物「ラ・セーヌ・ミュージカル」のデザインと呼応するように建てられています。作品内には直径30センチメートルの鋼管が入っており、それを地下22メートルまで埋め込んだ、「木」が根を張るような構造になっています。

名和さんの作品の奥に見える球体の建物がラ・セーヌ・ミュージカル
名和さんの作品の奥に見える球体の建物がラ・セーヌ・ミュージカル

ちなみにラ・セーヌ・ミュージカルとは、最大6000人が収容可能な多目的ホールや1150席のクラシック音楽向けホールなどから構成される、ブーローニュ・ビヤンクール市を代表する文化施設。建築家・坂茂さんとジャン・ド・ガスティーヌさんによる設計です。

「平等」を共通テーマに国際コンペで選ばれる

除幕式を行う名和さん(プレート左側)
除幕式を行う名和さん(プレート左側)

今回の国際コンペティションは、2019年に「égalité(平等)」をテーマに開かれました。名和さんは今回の挑戦に対して「平等というテーマが最初あったので、それに対してどういう風に答えるかを一番最初に考えた」と述べ、「(セガン島は)何年かに1回水没するということで、それを構造計算して解決していかなきゃいけない。フランスの法律に沿った設計をしないといけなくて、そこが一番時間かかった」と今回のモニュメント制作について語りました。

式典でスピーチを行う名和さん
式典でスピーチを行う名和さん

式典には坂茂さんも訪れ、名和さんと歓談する一幕も。ブローニュ・ビヤンクール市に新しいランドマークが加わりました。

名称
Ether(Equality)
住所
Île Seguin 92100

筆者

フランス特派員

守隨 亨延

パリ在住ジャーナリスト(フランス外務省発行記者証所持)。渡航経験は欧州を中心に約60カ国800都市です。

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