ロッテルダムとの違いを楽しみながら回る【アムステルダム】散策

公開日 : 2023年08月01日
最終更新 :

個性的な町並みのロッテルダム(関連記事)も興味深いですが「首都のアムステルダムも外せない! 」という私のような欲張りさんでも、九州ほどの大きさのオランダなら、どちらを拠点にしても日帰観光が可能です。

ロッテルダム中央駅から電車にて、1時間15分ほどで到着したアムステルダムの駅は、赤れんがにところどころ金色が差し色に使われたデザインが、首都の貫禄十分なゴージャスさ! 知識ゼロのいち観光客が、新鮮な驚きに出会いまくった様子をお届けします。

「水の都」カナル・クルーズが人気

駅を出てまず目に飛び込んでくるのが、“北のベネチア”とも表される運河の町並みと路面電車です。

ポルトガル(関連記事)と違って、どこに行っても真っ平な土地ばかりのオランダでは走りやすそうです。運河を遊覧するカナル・ツアーが大人気なようで、観光客を乗せたボートがひっきりなしに通過していきます。

駅前の大型船と比べ、入り組んだ繁華街のなかを通り抜けるものはより小さなボートで、船上でグラスを傾けるなど優雅です。

テラス席で町並み観察「カフェ・トリニティ・アムステルダム」

道幅や建物などがなにかと大きいロッテルダムから来ると、そちこちから鳴り響く鐘の音、狭い道を密集して歩き、いくつもかかっている橋を渡る人々など、アムステルダムの雑踏や喧騒はとても刺激的です。

お昼はそんな活気ある光景を見ながら食べたいと意気込み、テラス席を持つ川沿いの店を探しました。観光客が考えることは所詮同じようで、どの店も外は満席。

一瞬の隙を突いて外の空いた席を即座に確保し入った「カフェ・トリニティ・アムステルダム(Café Trinity Amsterdam)」では、屋内席がガラ空きでした。このときは春でまだ肌寒いのに、よっぽど皆、私のようにテラス席にこだわる模様……。

ピザやナチョス、パニーニなどを頼みましたがどれも温かくて(当たり前? )おいしく、望み通り行き交う人々の様子も飽きるまで見ることができ、大満足でした。

◼️
カフェ・トリニティ・アムステルダム(Café Trinity Amsterdam
・住所
Oudezijds Voorburgwal 46, Amsterdam
・アクセス
電車アムステルダム駅徒歩7分ほど
・営業時間
月〜木、日10:00〜1:00、金・土10:00〜3:00

×××ってなんの意味? あちこちで翻る謎の旗

ロッテルダムでは見かけなかった「×××」とバツが3つもついた旗を、アムステルダムに入った途端よく見かけるようになりました。

アムステルダムの紋章だそうですが、×印の意味には諸説あり水害、火災、疫病の3つの災難を表す、またはスコットランド旗(関連記事)と同じく、守護神の聖アンドリュー(アンドレ)の十字架を指すといわれていますが、本当のところはよくわからないそうです。

また、アムステルダムには赤いネオンが目印の店が立ち並ぶ、通称「飾り窓地帯(Red Light District)」と呼ばれる政府公認の売春街がありますが、現代においてはそれを暗喩してしまうことも。ただし、紋章としては500年もの前から使用されてきた歴史ある記号なので、これは思わぬ誤算だったようです(参照:“Decoding Amsterdam's city symbols” May 2023, I amsterdam.)。

なお、この×印3つは旗だけでなく、博物館の看板や一般商店のロゴ、スポーツグッズなど、さまざまなものに使われており、案外気軽に使ってもよさそうです。

間違えると危険「コーヒー屋」に注意

ロッテルダムでも繁華街に行けばきっとあるはずですが、アムステルダムでは急に、ブルドッグの看板が目につき始めました。Coffeeshopとあるので地場のコーヒーチェーン店かと思いましたが、とある1軒で壁画がとても格好よかったので思わずカメラを向けると、全身黒づくめで腕を組み仁王立ちしたスタッフらしき人物がこちらを凝視してきました。

あまりの目力に異様な雰囲気を感じて、あとにも先にもこれっきりの1枚になりましたが、のちほど日本の家族から聞いて驚きました。

オランダでは飾り窓地帯同様、大麻も一定量の利用が許されており「コーヒーショップ」とは、オランダに限り(?)大麻などのドラッグが提供される場所だそうです。いわれてみれば、ロゴマークのブルドッグもかなりの迫力ですしね……。

いわゆる普通のカフェや喫茶店に入りたいときは、カフェ・トリニティのように「カフェ」と名のついたところに入ればよいようです。

大麻といえば、大麻風味のチョコレートやグミなどのお菓子が売られた店もあります。近年ヘンプ・シードなど、大麻と同じ分類の植物が美容や健康によいとブームになっているので、それかと思って入ったら、やはりなにかが違う様子で……。

本物なのか不明ですが、キティちゃんのパッケージのものがあったりと、明らかに子供向けの商品らしきものも並んでいましたが、それでもウッカリ大麻風味ではない、大麻入りを買ってしまっても困るので手は出しませんでした。

シングル・オリジンにこだわるチョコレート屋「カカオ&スパイス」

最後は単一産地(国、農園)で作られたカカオを使用したチョコレート、シングル・オリジンのチョコレート販売に情熱を注ぐご夫婦が経営する「ココア・アンド・スパイス(Cacao & Spice)」を紹介します。

訪れたときは、近くで6年間やっていた店舗から移転してまだ2週間しか経っていない頃。整然と並べられた世界各国からのチョコレートはどれもオシャレなパッケージで、どの国のものを買うか迷います。

地元アムステルダム産のものも取り扱っており、独自性が光ります。カカオ豆そのものを食べる、スナックのような商品もあり「苦かったらどうしよう」と不安に思っていると、店主の夫人がわざわざほかのチョコレートとともに試食させてくれました。

夫人以外、店内の撮影は禁止です
夫人以外、店内の撮影は禁止です

店主の紹介によりますと、夫人はインドネシアのスパイス・アイランド(Spice Islands)出身で、レジ横の船はクローブなどのスパイスでできているそうです。

調べてみますと、おそらくこのスパイス島とはクローブとナツメグの原産地であるモルッカ諸島のことだと思われます。16世紀以降、大航海時代のポルトガルとスペインに続き、オランダも同島の香辛料を求めて進出します。

既存のヨーロッパ諸国を蹴落とし、スパイス貿易の独占権を握ったオランダとスパイス島のつながりは深そうです(参照:James, H, ‘European Discovery & Conquest of the Spice Islands’ November 2021, World History Encyclopedia.)。

夫人はそのあとも、アムステルダムの生産者について詳しく教えてくれるなど接客の鑑のようで、私と同時に来店した在住歴13年だという中国人客などは、大量に大人買いしていました。

◼️
ココア・アンド・スパイス(Cacao & Spice
・住所
Oudezijds Voorburgwal 94A Amsterdam
・アクセス
電車アムステルダム駅徒歩10分ほど
・営業時間
水〜日12:00〜18:00

以上、ロッテルダムとアムステルダムの町で気づいた違いを大まかに紹介しました。皆さんもオランダを訪れる際は、時間の許す限り両方行ってみると、ほかにもおもしろい比較ができるかもしれません。

筆者

イギリス特派員

パーリーメイ

2017年よりロンドン南部で家族と暮らしています。郊外ならではのコスパのよいレストラン、貴族の邸宅、城めぐり、海沿い情報などが得意です。

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