2023年夏のスイス最新情報

公開日 : 2023年08月22日
最終更新 :

夏休みで海外旅行に出かけた方も多いことと思います。スイスもコロナ後の旅行マーケットとしては最も活気に満ちた夏のベストシーズンを迎えています。現地の込み具合や物価はどうなっているのでしょうか。現地から届いた最新情報を交えてご紹介します。(文・写真/小山田 浩明)

マーケットは完全回復。混雑もピークに

個人の予約でも手配が難しいほど人気を集めているグレッシャー・エクスプレス
個人の予約でも手配が難しいほど人気を集めているグレッシャー・エクスプレス

昨年はまだ戻っていなかった中国からの観光客も戻り、今年のスイスは非常ににぎわっています。ふたつの山岳リゾート、サン・モリッツとツェルマットを結ぶ観光列車グレッシャー・エクスプレスは、夏の旅行シーズンに団体予約が入らないほど高い予約率を保っています。

アイガー・エクスプレスができてユングフラウヨッホへのアクセスが格段によくなったグリンデルワルトのホテル予約の状況も好調です。

アイガー・エクスプレスによりユングフラウヨッホ観光の時間が大幅に短縮された
アイガー・エクスプレスによりユングフラウヨッホ観光の時間が大幅に短縮された

昨年もそうでしたが、スイスには裕福な旅行客が訪れているため、高額な旅行商品の売上も伸びており、ホテルも高い部屋から埋まっていくと言われるほどです。コロナが拡大し、国外からの旅行客が少なかったときも国内需要が底支えをしたので、極端な値下げが行われることはありませんでした。

高止まりしている宿泊費

2つ星レベルの宿でも個室であれば1室1人あたりの料金は2万円近くになる
2つ星レベルの宿でも個室であれば1室1人あたりの料金は2万円近くになる

発売中のスイス編の改訂版のデータ確認は2月から4月にかけて行いました。そのときは博物館や美術館の入場料は据え置きの施設が多く、2020年当時と比べても値上げ幅は小さいと感じていたのですが、ここにきて人気エリアの宿泊費が上昇しています。昨年と比較してみたところ、特にグリンデルワルトやサン・モリッツの宿は全体に宿泊費が上昇しており、部屋が埋まるのも早いようです。

ピラトゥス山頂の山岳ホテルは宿泊費が高額にもかかわらず予約で満杯
ピラトゥス山頂の山岳ホテルは宿泊費が高額にもかかわらず予約で満杯

昨年の取材は9月から10月にかけて実行しました。ちょうど8月の1週目から2週目にかけて手配を行ったので、同じ日程で同じ宿の料金がどうなっているかを確認したところ、いずれも値上がりしていました。スイスフランが高騰していることもあり、日本円換算では4割近い値上げ幅になっています。

<2022年と2023年の料金比較>

2022年取材時に滞在した同じホテルの宿泊料金(1室1名利用の同カテゴリーの部屋)を比較した。スイスフラン建ての料金と、8月上旬の予約時点で精算した場合の日本円料金を表示している。サン・モリッツは同じシングルルームの料金だが昨年の倍になっている。急激な需要の高まりに応じて値上げを行っているようだ。
為替レート:2022年8月:1 CHF =140~145円/2023年8月:1 CHF =約163円で計算

宿泊地 宿泊日 2022年の宿泊費 2023年の宿泊費
チューリヒ空港 9月中旬に平日1泊 96.4CHF(1万2289円) 108CHF(1万7564円)
ローザンヌ 9月中旬に週末2泊 252CHF(3万5621) 323CHF(5万2529円)
ベルン 9月下旬に平日2泊 226.6CHF(3万1516円) 234CHF(3万8055円)
サン・モリッツ 9月下旬に週末2泊 220CHF(3万598円) 417CHF(6万7816円)
フィリズール 9月下旬に平日1泊 93CHF(1万2935円) 108CHF(1万7564円)
チューリヒ 9月末に平日3泊 392.5CHF(5万4589円) 433CHF(7万337円)

混雑の原因と緩和の時期は?

サン・モリッツはこの夏、非常に人気が高い
サン・モリッツはこの夏、非常に人気が高い

スイス政府観光局の分析によれば、いまだにスイス人による国内旅行の需要割合が高いため、観光地のキャパシティが足りないとみられています。でもスイス人旅行者の割合は徐々に下がってきており、2025年頃にはコロナ前同様の比率に落ち着き、海外からの旅行客への供給量も十分なものなるだろうと予想されています。

グレッシャー・エクスプレスは冬期増便、夏は増結で、増え続ける需要に対応する予定
グレッシャー・エクスプレスは冬期増便、夏は増結で、増え続ける需要に対応する予定

グレッシャー・エクスプレスは運行スケジュールの関係で夏期シーズンの増便は難しいとのことですが、冬期の運行は増便を行う予定です。また2024年夏は2等車を増結することで、48席の増席を予定しています。

旅行代金を抑えるために

各地のホテル代が高騰するなか、ツェルマットの宿泊費は昨年同様の水準に収まっている
各地のホテル代が高騰するなか、ツェルマットの宿泊費は昨年同様の水準に収まっている

円安による現地物価の高さは緩和することが難しい問題ですが、早めに予約を入れることで安い部屋を探すチャンスが生まれますし、人気の観光列車や施設の予約も可能になります。

結果的にはコストを抑えることにもつながりますので、可能な限り早くから動き、予約を進めておくことをおすすめします。ホテル代チェックは数日に渡って行いましたが、たった2~3日の差で安い部屋は売り切れになっていました。

秋は空気が澄み山々の景色を楽しむのにいい季節
秋は空気が澄み山々の景色を楽しむのにいい季節

旅行時期を調整できるのであれば、7~8月を外して訪問するのも手です。以前の記事「スイスのベストシーズンはいつ? ピークを外して旅すればおトクで快適」で紹介したように、初夏や秋も季節的にいいシーズンで、旅行費用も安く抑えることができます。

この先のスイス旅行手配で注意したいこと

人気エリアや観光列車、スポットはしばらく混雑が続くことでしょう。グレッシャー・エクスプレスへの乗車や、ユングフラウ地方、サン・モリッツ周辺での滞在を希望するなら少しでも早めに動き、予約を入れることをおすすめします。

現在のスイス旅でネックとなるのは円安によるコスト高です。新しい施設や機材が投入されていますので、リピーターも十分に楽しむことができますし、スマホを使いこなせばコロナ前よりも旅行手配は楽におトクに実行できる環境が整っています。

スイス旅行を考える際は予算をたっぷりと取り、現地の割引・無料サービスも活用しながらスイスの旅を目一杯楽しみましょう。

筆者

地球の歩き方スイス記者

小山田 浩明

写真撮影の現場キャリアは30年以上で、リバーサルフィルムの時代から一眼レフで撮影しています。世界にはまだまだこんな場所がある、という感動をお伝えできればと思います。

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