スイスをリーズナブルな予算で旅するには?

公開日 : 2022年12月05日
最終更新 :

円安直撃によるスイスの物価高を回避することはできません。予算を抑えながら満足度を落とさずに旅を実行するためには、どうすればいいでしょうか。お得なサービスの使い方と予算の賢い使い方について詳しくご紹介します。

※文中のCHFは通貨単位スイスフランで1フラン=150円で日本円に換算しています。

目次

予算は想像の1.5倍を覚悟する

スイス旅行経験がある方は、以前の旅行費用の感覚をいったん忘れましょう。コロナ前なら30万円台で回れた旅が、現在は50万円を超える可能性もあります。ざっくりと予算を考えるなら、最終的にその1.5倍の費用になるかも、という想定を行ったほうが安心です。

予約できるものは早めの予約がオトク。特にホテルは早期予約に限る!

1泊110CHF(\16500)で泊まることができたサン・モリッツの3つ星宿。条件のいい部屋から売り切れるので、予約手配は早めに
1泊110CHF(\16500)で泊まることができたサン・モリッツの3つ星宿。条件のいい部屋から売り切れるので、予約手配は早めに

ホテルのネット予約が始まってすぐの頃は、間際になると売れ残りの部屋が安く予約できる、という裏ワザが使えることもありました。しかし、今年9月の取材旅行のために7月下旬から準備を始めた経験からいって、スイスにおいては少しでも早く予約を進めるに限ると言えそうです。安くていい物件から予約が入っていきます。

ひと部屋1泊3万円以上の予算があるのでしたら、部屋選びは苦労しませんが、1万円台で泊まれる宿はぐんと少なくなります。1万円以下はなおさらです。ユースホステルなら安いのでは? と思うあなた、安くていい物件は真っ先に埋まりますので、観光シーズンのユースホステルの個室はよほど早くから動かないと予約できません。

安くてお得? アパートメントタイプ施設滞在の実態は?

ベルン駅に近いキッチン共用の1軒家スタイルの宿を利用してみた
ベルン駅に近いキッチン共用の1軒家スタイルの宿を利用してみた

スイスでもアパートメントタイプの宿が増えており、ふたり以上の利用ならホテル滞在よりも安価に過ごせる宿泊施設があります。広めの部屋でキッチンもあり自炊可能、共有スペースも広く居心地よさそうと、使い勝手もよくお得に感じられる物件がありますが、利用時には以下のようなことにご注意ください。

右側の機械にメールで知らされた暗証番号を入力して鍵を受け取る
右側の機械にメールで知らされた暗証番号を入力して鍵を受け取る

まずチェックインですが、フロントがなく暗証番号で入館したり鍵を受けとったりという物件もあります。暗証番号は予約後に別メールで送られてくることがありますので、必ず旅行前に受信メールの確認を行い、トラブルに備え管理人の連絡先も控えておきましょう。夜遅くの到着だと、入館できないのはかなりのストレスとなりますので、明るいうちにチェックインできる日に使うことをおすすめします。

夜間のシャワー利用は控えるようにという注意書き
夜間のシャワー利用は控えるようにという注意書き

次に、ほかのゲストとの問題です。夜10時から翌朝7時までは静かに、とマナーを訴える施設が多いですが、おかまいなしにマイペースで過ごす客もいます。ホテルよりもほかの部屋や廊下、共用施設の物音が響きやすい建物もありますので、物音が気になる方には向かないかもしれません。自身の出す音にも注意する必要があります。

居心地のいい場所だったが、スタッフが常駐していないので不便に思うこともあった
居心地のいい場所だったが、スタッフが常駐していないので不便に思うこともあった

スタッフが常駐しない施設の場合、チェックイン前とチェックアウト後に荷物を預かってもらうこともできません。宿に荷物を置いたまま観光するという予定があるなら、管理人がいるかどうかを確認して予約しましょう。

現地無料サービスを探せ! 町によっては無料交通パスが使える場所も

ベルンに滞在する宿泊客はアプリ登録を行えば、市中心部交通機関の利用が無料になる
ベルンに滞在する宿泊客はアプリ登録を行えば、市中心部交通機関の利用が無料になる

スイスでは以前からその町の滞在客が使える無料の交通チケットや、割引特典があるゲストカードを提供していました。現在も無料パス提供を続けている町がありますので、自分が訪れる予定の町でそういったサービスがあるかどうか、事前に確認しておきましょう。

ÖV-Inclusiveを使えば、バスで片道30分以上かかるマローヤへも無料で行くことができる
ÖV-Inclusiveを使えば、バスで片道30分以上かかるマローヤへも無料で行くことができる

広いエリアで利用できるのは、サン・モリッツを中心とするエンガディン地方で使える「ÖV-Inclusive」というパスです。パスの提供を契約しているホテルに2泊以上宿泊すれば、鉄道やロープウェイ、バスなどに使える滞在期間有効のパスを貸与してもらえます。

都市ではローザンヌやベルンでも市内交通が利用できるパスを宿泊客に配布しています。カードタイプのパスだったり、アプリ利用だったりと複数の形式があります。パスがあれば、ちょっとした区間も気軽に乗車できるので、行動範囲がぐんと広がります。活用しましょう。

食費はなるべく削らず、メリハリつけて楽しもう!

コープのツナサンドイッチは3.70CHF(555円)
コープのツナサンドイッチは3.70CHF(555円)
スターバックスのハムとチーズ、目玉焼き入りの温かいクロワッサンは倍近い6.9CHF(1035円)だったがはるかにおいしかった
スターバックスのハムとチーズ、目玉焼き入りの温かいクロワッサンは倍近い6.9CHF(1035円)だったがはるかにおいしかった

スイス旅でお財布を直撃するのは食費です。ぜいたくしなくても、レストランで食べればお昼で20CHF(3000円)以上、夜は40CHF(6000円)以上かかります。朝食は宿泊代金に含まれるホテルが多いので、朝はしっかりと食べ昼と夜はスーパーのサンドイッチやお惣菜で済まそうと思われる方もいるかもしれませんが、できればご飯はきちんと食べることをおすすめします。温かい料理はおいしいですし、気持ちもほっとします。

ベルギューンの鉄道博物館のカフェのランチ定食。これで3000円以内と非常にお得!(サラダ脇のドリンクは別料金)
ベルギューンの鉄道博物館のカフェのランチ定食。これで3000円以内と非常にお得!(サラダ脇のドリンクは別料金)

お昼は日本同様に割安なランチ用メニューを提供するレストランがあります。複数の店舗でメニューを確認したところでは、20CHF(3000円)の定食が底値でした。ベルギューンの鉄道博物館併設のカフェでは、3コースメニューにコーヒーまたは紅茶が付き20CHF未満でした。お昼の定食はひと皿の量が少なめですが、日本人にはちょうどいい量です。この点でもお昼にお得な定食メニューを利用することをおすすめします。

円建て決済は損をする。クレジットカード払いに注意

スイスでもクレジットカードの通用度は高く、2~3CHF(300~450円)程度でもクレジットカードが使えます。カードを差し込んで決済する端末では、暗証番号の入力が必要ですが、その際に円建てで決済するかスイスフラン建てで決済するかをまず選択する必要があります。1番が日本円、2番がスイスフランですので、1番を押して円建てで決済したくなりますが、円建て決済には手数料が加算されていますので実は割高です。

複数の場所でさまざまな費用の支払い時に確認しましたが、円建ての決済金額はスイスフラン建て決済に比べ、1CHFあたり3~4円高く計算されていました。100CHFで最大400円支払額が大きくなります。ホテル代として500CHF支払った場合は2000円近い差額が生じます。20件近くの利用状況を確認した限りでは、円建て金額が有利だったケースは1件もありませんでした。決済する通貨を選ぶときは、スイスフラン(CHF)を選んで支払いを実行しましょう。

そこ入場しますか? それ買いますか? 悩んだときの価値判断はどうする?

チューリヒに‘21年にオープンしたチョコレート博物館「リンツ・ホーム・オブ・チョコレート」。同社製品の試食もできる。15CHF(2250円)の入場料の価値がある充実した展示だった
チューリヒに‘21年にオープンしたチョコレート博物館「リンツ・ホーム・オブ・チョコレート」。同社製品の試食もできる。15CHF(2250円)の入場料の価値がある充実した展示だった

1CHF=150円という為替レートでは、すべてが割高に感じられると思います。入場料支払いや買い物のときに、やっぱり入場や購入を諦めようか、と思うシーンもたびたび出てくるかもしれません。

そんなときには、1CHF=100円で計算し、その金額が自分にとって割高と思われるか、受け入れられる金額なのかで判断してみることをおすすめします。最終的に支払う金額は1.5倍なので、懐の痛みは一緒ですが、為替レートのせいで高いだけで、本当に自分にとって価値あるものなのかどうかを判断する目安になります。食料品購入の際も、日本で売られているものとの金額比較がしやすくなりますので、100円で試算してみましょう。

円安を前提に計画しましょう

為替レートは世界情勢がからんできますので、短期間で好転するとはなかなかいえません。旅行時点で円高になったらラッキーと思うくらいの気持ちで、できるだけ予算に余裕をもち滞在を満喫してください。こんな時代だからこそ海外旅行はさまざまなことを体験し リフレッシュする貴重なチャンス。スイスの旅を目一杯楽しんでください。

監修:地球の歩き方

筆者

地球の歩き方スイス記者

小山田 浩明

写真撮影の現場キャリアは30年以上で、リバーサルフィルムの時代から一眼レフで撮影しています。世界にはまだまだこんな場所がある、という感動をお伝えできればと思います。

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