サンタ・クローチェ教会

Basilica di Santa Croce

フィレンツェを代表する人々の眠る荘厳な教会

  • 幅38mと広大な教会のファサードには、色大理石が幾何学模様を描き、尖塔は天を刺す
  • イタリアを代表する多くの芸術家とともにこの町の名士たちを祀る教会
  • ここに墓を求めた富裕階級の寄進により時代の粋が結集している
大きく明るい内部
大きく明るい内部

見どころ

普段はベンチで憩う人とハトだけの静かな広場だが、6月の中世サッカー試合の時には会場として興奮のるつぼと化す、同名の大きな広場に面している。フィレンツェにおけるフランチェスコ派の拠点として、最初の聖堂が13世紀の前半に建てられたが、1314年には全面的な再建工事が始まった。ヴァザーリによれば、設計者はA.ディ・カンビオであるがはっきりしない。本堂は1385年にほぼ完成。鐘楼と色大理石で装飾されたファサードは19世紀半ばの物である。ファサードは15世紀後半のクロナカのデザインを基にしたと伝えられるが、確実な資料は残っていない。

内部は3廊式の、非常に大きな明るい空間である。天井を石のヴォールトから木製のトラスに切り替えたことで、支える重量が大幅に軽減し、それによって幅の広い身廊を作ることが可能になった。廊を仕切る尖頭アーチも高い位置にあって、堂内が広く見渡せる。この聖堂には、空間や装飾を支配する比率や均衡といった幾何学的な計算が見られ、ゴシック建築でありながら、むしろルネッサンスの様式に、より近い印象を与える。この堂内で最もゴシック的といえるのは、中央の礼拝堂周辺だ。

サンタ・クローチェ教会はまた、多くの文化人がここに埋葬されることを希望したためにそれらの墓や記念碑が数々あることでも知られる。右の側廊には「ミケランジェロの墓」(ヴァザーリ作)をはじめ、「ダンテの記念碑」、「V.アルフィエーリの墓」(A.カノーヴァ作)、「N.マキャベッリの墓」、レリーフ『受胎告知』Annunciazione(ドナテッロ作)、『L.ブルーニの墓』Tombadi L.Bruni(B.ロッセッリーノ作)、『ロッシーニの墓』、「U.フォスコロの墓」などが並び、一方、左側廊には人文主義者の「C.マルスッピーニの墓」Monumento a C.Marsuppini、『ピエタ』(ブロンツィーノ作、床にはギベルティ親子の墓)、『ガリレオ・ガリレイの墓』などが見られる。また、右側の3番目の柱にはB.ダ・マイアーノ作の見事な大理石の説教壇Pulpitoがある。右翼廊の「カステッラーニ礼拝堂」は14世紀のフレスコ画で飾られ、祭壇の前部にはN.ピサーノ派の『埋葬の場所のマリア達』の浮き彫りが見られる。翼廊の突き当たりの「バロンチェッリ礼拝堂」にはT.ガッディの『マリアの生涯』Storie della Vergineのフレスコ画があり、その脇の戸口には聖具室や「メディチ家の礼拝堂」(ミケロッツォ作、祭壇にA.デッラ・ロッビアの『聖母子像』Madonna col Bambino)へと通じている。

ドナテッロ作『受胎告知』
ドナテッロ作『受胎告知』

内陣の両脇には小礼拝堂が5つずつ並んでいる。右側の最も祭壇寄りの『バルディ礼拝堂』とそれに続く『ペルッツィ礼拝堂Cappella Peruzzi』には、高い精神性と人間的な感動が伝わるジョットのフレスコ画『聖フランチェスコ伝』Storie di S.Francesco、『洗礼者ヨハネ伝』Storie del Battista、『福音史家ヨハネ伝』Storie di S.Giovanni Evangelista(14世紀前半、損傷が激しい)が残っている。続く聖具室にチマブーエの『十字架像』Crocifisso(1966年のアルノ川の洪水で大きく破損した)が架けられている。また、左翼廊の突き当たりの礼拝堂には、ブルネッレスキが酷評したと伝えられるドナテッロの『十字架像』Crocifisso(1425年頃)が見られる。

ジョットとジョット派による『聖フランチェスコの死』
ジョットとジョット派による『聖フランチェスコの死』
教会の至宝、ジョットの『聖フランチェスコ伝』が残るペルッツィ礼拝堂
教会の至宝、ジョットの『聖フランチェスコ伝』が残るペルッツィ礼拝堂

教会を出たすぐ左にはブルネッレスキの代表作といわれる『パッツィ家礼拝堂』Cappella dei Pazzi(15世紀中頃)がある。手前には柱廊が設けられ、柱の上のフリーズはケルビム(智天使)の模様で飾られている。天井部は筒型ヴォールトで、中央部にはテラコッタの小さなクーポラが載っている。内部は後方に突き出た祭壇をもつ正方形のプランで、白い壁面を分割するグレーの枠組みの対照が印象的だ。ペンデンティブと壁面上部を飾る彩色テラコッタのメダイヨンはルーカ・デッラ・ロッビアの作である。

彩色テラコッタの装飾が美しいパッツィ家礼拝堂の内部
彩色テラコッタの装飾が美しいパッツィ家礼拝堂の内部

回廊に付随した旧食堂は付属美術館Museo dell' Operadi S.Croceになっていて、壁面を飾るT.ガッディのフレスコ画『生命の木』Albero della Vitaと50年ぶりに2016年に里帰りしたG.ヴァザーリの『最後の晩餐』がある。このほか、A.オルカーニャの『死の勝利』Trionfo della Morte、ドナテッロの『聖ルドヴィコ』S.Ludovicoなどの秀作が見られる。

旧食堂(美術館)を飾った『生命の木』
旧食堂(美術館)を飾った『生命の木』

チケット購入方法は?

・当日窓口で購入
 →切符売り場は教会正面を左側に回った所にある。ピーク時には30分~ほど並ぶことも。

・オンラインで事前日時指定予約※予約金別途+€1
 →オンライン購入サイト

・フィレンツェカードを利用
 →切符売り場に行く必要はなく、入口でカードをかざして入場。

フィレンツェのクリスマスマーケット

12月にフィレンツェに滞在するなら、クリスマスマーケットへ出かけよう。場所はサンタ・クローチェ教会前の広場。ドイツ、オーストリアなどクリスマスマーケットの本場から屋台が出店し、伝統的な雰囲気が味わえる。クリスマスのオーナメントをはじめ羊毛のスリッパなどの小物類、食べ物の屋台が出ていて、冷やかして歩くのが楽しい。
クリスマスマーケットの定番のホットワインを飲んだり、長いソーセージをはさんだホットドッグ、ジャガイモ料理、リンゴのお菓子ストゥルーデルなどで、簡単な食事をするのも楽しい。開催期間は11月下旬~12/17頃(10:00~22:00)。

12月はクリスマス一色のサンタ・クローチェ広場
12月はクリスマス一色のサンタ・クローチェ広場
おみやげ探しが楽しい
おみやげ探しが楽しい

基本情報

住所
Piazza S. Croce(P.za S.Croce 16(美術館入口))
電話番号
055-2466105
開いている時間
9:30~17:30 ㊐㊗14:00~17:30
閉まっている日
6/13、10/4
料金
€8(教会、美術館と共通)※切符売り場は教会正面を左側に回った所
最終更新 :

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