国立サン・マルティーノ美術館 (イタリア)
Museo Nazionale di San Martino
ナポリを見下ろすヴォメロの丘に建つかつての修道院を利用した美術館。14世紀にカラブリア公カルロの命により建てられ、17世紀のコジモ・ファンツァーゴの指揮による全面改装によってナポリ・バロック様式の最高傑作のひとつとして生まれ変わった。
教会
中庭を抜けると、教会。金や銀に装飾された天井のヴォールトには『キリストの栄光』Gloria del Cristoなどの輝くばかりのフレスコ画が描かれ、床には美しい大理石の象嵌細工が広がり、壁面には華麗に装飾された礼拝堂が続く。まさに絢爛たるナポリ・バロックの世界だ。見逃せないのは、主祭壇のある後陣で、華麗な木彫りの内陣席Coro、ヴォールトにはカヴァリエーリ・ダルピーノのフレスコ画、壁面はグイド・レーニの『キリスト降誕』Nativitàやカラッチョロの「洗足式」Lavanda dei Piediで飾られている。後陣裏手から続くテゾーロ礼拝堂Cappella del Tesoroは一番の傑作と呼ばれ、ヴォールトにはすでに70歳になったルカ・ジョルダーノによる力作の『ユディットの勝利』Trionfo di Giudittà、祭壇に飾られているのはリベラによる『ピエタ』Pietà像。さらに奥からは17世紀の列柱の続く、広々としたキオストロ・グランデが続く。
教会内部は正面からの入場不可
床面の大理石装飾を保護するため、内部正面からの入場不可。入場はキオストロ・グランデから。
美術館
キオストロ・グランデを出た左側、やや暗い部屋がプレゼーピオ部門Sezione Presepiale。15世紀の大きな木像製、卵の殻などに入った精巧なものなどさまざまなものが並び、圧巻は壁一面を飾る『クチニエッロのプレゼーペ』Presepe Cucinielloで、300点以上の細工が見事に「キリスト降誕」を表現している。ちなみにクチニエッロは寄贈者の名前。近くの『リッチャルディのプレゼーペ』Presepe Ricciardiも中近東風の行列が見事だ。
さらに進んだ、通路を兼ねた馬車Carozzaの展示場から庭園とキオストロ・グランデChiostro Grandeを取り巻くように展示室が続いている。美術館はナポリ独自の歴史、芸術、生活を数世紀に渡って俯瞰できる場として開設され、多岐の部門に渡る。
目を引く馬車で大きなものは17~19世紀にナポリ公式行事に用いられたもの。華麗なもうひとつはサヴォイア家の女王が利用したものだ。この通路の端から、外部の人にも開放されていたという修道会の薬局Farmacia/Speziera、王族たちが利用した華麗な船などを展示する船舶部門Sezione Navale、馬車の通路をはさんでクアルト・プリオーネQuarto del Prioneには修道院の歴史を伝える古い彫刻や絵画が並び、ベルニーニの傑作『聖母子とサン・ジョヴァニーノ』は必見。続いて修道院の生活を伝える修道会博物館Museo dell'Opera、「イメージと追憶」Immagini e Memorieは1400~1800年代のナポリ絵画、劇場部門Sezione Teatrale(下の階)には18~19世紀のサン・カルロ劇場の歴史や資料を展示。
海に向かって開けた奥の庭園やテラスからの眺望も見逃せない。左にアマルフィ海岸、中央にイスキア・カプリ島、右にプローチダ島とすばらしい眺めが広がる。
館内図
パノラマを楽しむなら
国立考古学博物館やムニチーピオ広場からバスR1番に乗車して終点下車。ここから少し歩いてV1番のミニバスに乗
車し、終点で下車するとサン・マルティーノ美術館前の広場だ。美術館内のテラスや庭園からは海岸線と島までを望むことができる。バスの停車する広場からも海岸沿いに広がるナポリの町並みが一望でき、ナポリのパノラマを楽しみたい人にはぜひおすすめのスポットだ。また、美術館までのバスR1、V1番もともに車窓からの風景も楽しい。
ただし、渋滞すると距離に比べかなり時間がかかる。移動時間を短縮するなら、地下鉄ヴァンヴィテッリ駅やフニコ
ラーレの各駅からの徒歩で。
写真
基本情報
- 住所
- Largo S. Martino 5
- 電話番号
- 081-2294541
- 開館時間
- 8:30~17:00 ※切符売り場は16:00まで
- 休館日
- 水曜日
- 料金
- €6 ※毎月第1日曜日は無料
- ※
- 庭園は16:00に閉場。早めに出かけよう。人員の関係上、曜日・時間限定の展示室もあり改質状況の詳細は公式サイトで確認
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