大阪・万博記念公園で太陽の塔が光のイリュージョンに包まれています
2023.12.4
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大阪・関西万博が開催され連日メディアを賑わせていますが、1970年開催の日本万国博覧会(以下、大阪万博)で誕生した「太陽の塔」が2025年5月に重要文化財に指定するように答申されたのをごぞんじでしょうか。そこで本日はこの祝事を勝手に記念して、改めて「太陽の塔」の魅力と謎めいた一面をご紹介したいと思います。
この度、重要文化財に指定するように答申された「太陽の塔」には地上から確認できる3つの顔があります。金色に輝き未来を象徴する「黄金の顔」、現在を象徴する正面の「太陽の顔」、過去を象徴する背面の「黒い太陽」です。現在、「太陽の塔」の内部見学ができますが、それまでの道のりは長いものでした。大阪万博閉幕後にテーマ館は撤去され「太陽の塔」も解体が予定されていましたが、保存を求める声が大きかったことから、1975年に永久保存が決定。内部は原則非公開でしたが、大阪府は搭の耐震化工事とともに内部の展示物も再生することを決定し、2016年から事業を進め、約半世紀の時を経て2018年3月から一般公開が開始されました。
最初に私たちを迎えてくれるのが『過去:根源の世界』の世界を表現した展示空間。こちらには第4の顔「地底の太陽」がありますが、復元されたもの。大阪万博閉幕後の撤去作業から50年近く経った現在も行方がわからない状態なのです。また、ほかの顔のように何を象徴しているのか岡本太郎も語らなかったとか。ただ、大阪万博当時に設置されていた場所が地下展示「いのり」であり、呪術的な空間の中心だったことが大いに関係していそうです。
続いて見学できるのが大迫力の<生命の樹>。開催当時は鉄鋼製で造られた高さ約41mの「生命の樹」の幹や枝には大小さまざまな292体の生物模型群が取り付けられ、アメーバーなどの原生生物からハ虫類、恐竜、そして人類に至るまでの生命の進化の過程をあらわしていました。再生事業では当時のパーツがないこともあり、最終的に復元された生物は33種類、183体です。ちなみに今回の重要文化財の答申には、「生命の樹」1基と万博記念公園事務所に保管されている竣工図も含まれています。
見学の最後はミュージアムショップでグッズ選びへ。実は内部見学をしなくても、営業時間内であれば、予約なしでいつでも誰でも入店可能です。予約不要の「EXPO’70パビリオン」と合わせて楽しむのもありですね。
「太陽の塔」の背面の顔を「黒い太陽」と呼ぶと上述しましたが、実は信楽焼のタイルが使われています。直径約8mの「黒い太陽」に使われたタイルの数はなんと約3000枚! 「黒い太陽」に近づいてみると、タイルがきれいにはめ込まれているのがわかります。立体的な鼻と口も精巧に造形されています。実は岡本太郎と信楽町は深いつながりがあり、氏の数多くの作品で信楽の持つ大物作りや釉薬などの技術が使われているんですよ。
■万博記念公園 太陽の塔
住所:大阪府吹田市千里万博公園
電話番号:06-6877-7387/0570-01-1970(万博記念公園コールセンター)
アクセス:阪急京都線「南茨木駅」「山田駅」「蛍池駅」から大阪モノレールに乗り換え「万博記念公園駅」下車、徒歩約15分
営業時間:10:00~17:00(最終受付16:30)※内部見学はオフィシャルサイトより事前予約制。
入館料:太陽の塔入館+自然文化園・日本庭園共通入園セットチケット:大人930円、小中生380円(太陽の塔入館には原則として自然文化園・日本庭園入園料が必要)
※当日、空きがあれば当日券の販売もあり
URL:https://taiyounotou-expo70.jp
今回の「乙な京都™」はいかがだったでしょうか。大阪万博をリアルタイムで知らない私ですが、当時にタイムスリップした心地で“昭和45年”に浸ることができました。今回の重要文化財答申は世界遺産の登録を見据えたもの。世界遺産に登録される日を楽しみにしながら応援したいと思います。