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1585年に騎兵隊兵舎として建てられたストゥディ館に、1777年に創設された博物館。1734年、ナポリ公国の王となったブルボン家のカルロ3世が母のエリザベッタ・ファルネーゼから受け継いだ遺産を展示することがはじまりだった。とりわけファルネーゼ・コレクションと呼ばれるギリシア・ローマ時代の模刻を含めた大理石彫刻とポンペイ・エルコラーノ遺跡からのモザイクをはじめとする発掘品で世界的に名高い。ポンペイ、エルコラーノの遺跡見学前にぜひ訪れたい。
トリノの博物館に続くイタリア国内第2の規模を誇るエジプト・コレクションを展示。展示品はミイラや棺、副葬品、墓碑など多岐にわたる。
階段(右側)おもにポンペイ、エルコラーノから出土されたモザイクを展示。
ポンペイの有力一族だったファウヌスの家Casa del Faunoで発見された大きな『アレクサンドロ大王の戦い』Battaglia di Alessandro Magnoをはじめ『婦人の肖像』Ritratto Femminile、道化師を描いた『メナンドロスの喜劇』Commedia di Menandro、苦悩する顔が印象的な床モザイクの『演劇用マスクと葉、果物』Festone con Maschera, Foglie e Frutta、『トラに乗るバッカス』Dioniso Fanciullo su Tigreなど、いずれもぼかしと写実的な技法が見事だ。同家出土のブロンズ製の『踊る牧神』Faunoも見逃せない。奥の65室は秘密の小部屋Gabinetto Segreto。中2階の階段左側からは、ローマ貨幣などを展示した貨幣部門が広がっている。
ファルネーゼ・コレクションを中心とした大理石彫刻とメディチ家由来の品を含む宝石を展示。左奥、ローマのカラカラ浴場で発掘された紀元前4世紀のふたつの模刻『ファルネーゼのヘラクレス』Ercole Farnese、『ファルネーゼの雄牛』Il Toro Farneseが見事。優美な『カプアのヴィーナス』Afrodite di Capua 、薄衣をまとい、左手に花を手にした『ファルネーゼのフローラ』Flora Farneseは美しい。奥まった部屋では宝石を展示。カメオやラピスラズリなどに驚くほど繊細な彫刻が施されている。とりわけ目を引くのが『ファルネーゼの皿』Tazza Farnese、1枚のメノウに杯をかかげる神々が白く浮き彫りされた物で、紀元前2世紀のアレキサンドリア製。
当時の文明の高さを物語るポンペイ、エルコラーノからのフレスコ画、 銀の鏡や杯、ガラス、彫像、手術器具などを展示。ヴェスーヴィオ絵画Pittura Vesuvianaと呼ばれる絵画部門は、この博物館でとりわけ名高い物。紀元前1世紀からヴェスーヴィオ火山が噴火した79年までに描かれたモチーフは、静物、人物、風景と多岐に渡り、当時の面影を知ることができるだけでなく、絵画様式の変遷を知る上でも重要な物だ。
エルコラーノ出土の『ヘラクレスとテレーフォ』Ercole e Telefo、ボスコレアーレの邸宅からの赤をバックに歴史上の人物を描いた『メガログラフィーア』Megalografia 、緑を基調に優美な花の女神を描いた『フローラ』Flora などが印象的だ。
さらに4000点を超えるローマン・グラスでは、濃い青の上に白く4人の天使を彫刻した『青いガラス壺』Vaso in Vetro Blu が見逃せない。
このほか、エルコラーノのパピルス荘(114~117室)のブロンズ像、ギリシア植民地からのアッティカ様式の赤絵・黒絵の壺や絵画、彫像などが続く。
ポンペイ、エルコラーノ出土のエロティックな場面を描いた彫像、モザイクなどを展示。見学は無料。14歳以下は大人の同伴が必要。
2階の一部は9:00~14:00(マーニャ・グレーチャ、パピルス荘の展示などは14:00~19:30のみ開場。詳細は公式サイトから確認可なので、事前に確認を。また、無料の日曜日は展示室の一部閉鎖あり。