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ローマを言い表す12世紀末の有名な言葉がある。「コロッセオがある限り、ローマも存在するだろう。コロッセオが崩れるとき、ローマも終わりとなろう。が、ローマが終わるときは、世界の終わりだ」それからおよそ800年以上もの歳月が流れたが、幸いにしてコロッセオColosseoは今も建ち、ローマも世界も健在である。
4階からなる外側は、下の層からドーリス、イオニア、コリント式の柱で飾られ、内部には観客席が身分性別によって仕切られていた。競技場の床部分は失われてしまったので、現在は地下の構造がよく見える。地下には、猛獣の檻や器材や道具置き場のほか、セットや人物の移動のための大がかりな舞台装置もあった。
コロッセオはヴェスパシアヌス帝の命で72年に建設が始められ、その息子ティトゥス帝の時代に完成した。皇帝の家名を取って、当時はフラヴィオの円形劇場Anfiteatro Flavioと呼ばれ、長径188m・短径156m・周囲527m・高さ57m・5万人収容という、文字どおり巨大(コロッサーレ)な建築物であった。もっとも、名の由来はここにネロ帝の巨像(コロッソ)があったからだともいわれている。
コロッセオができる前、ここはネロ帝の黄金宮殿(ドムス・アウレア)の一部だったからだ。 落成の折には、剣闘士や猛獣の殺し合いをはじめとする催しが100日間も続いたという。こうした見世物を提供して庶民の人気を稼ぎ、社会に山積する問題から目をそらさせることは、当時の支配者の重要な政策のひとつでもあった。
地下鉄駅から横断歩道を渡り、道路から一番奥に入口がある。予約者と予約なしのレーンに分かれているので、係員の指示に従おう。荷物検査の後、さらに進むと切符売り場(時間指定のツアー切符も販売)、オーディオガイドのレンタル所がある。内部は自由見学。床面に張り出したテラス、チカ遺構、3階への入場はガイド付きツアーのみ可。
まずは切符売り場そばから階段を上がり、2階の高みからその壮大さを実感しよう。通路にはコロッセオの出土品、模型、風景画などが展示されており、昔日のコロッセオを想像してみるのが楽しい。順路億のテラスからは、コンスタンティヌスの凱旋門、パラティーナ丘の緑が美しい。1階内部からは地下遺構が良くのぞける。動物や剣闘士が通った通路が12本、さらに引き上げの構造を見ることができる。現在は地下がむき出しとなっているが、当時は個々に床板が貼られて戦いが繰り広げられたのだった。見学は所要45分~1時間30分程度。