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【フランス】パリで漫画とアニメが熱い!「ジャパン・エキスポ」で日本カルチャーを感じる

綾部 まと

綾部 まと

フランス特派員

更新日
2025年7月9日
公開日
2025年7月9日
「僕のヒーローアカデミア」の企業ブース

「日本のアニメや漫画って、本当にフランスで流行っているの?」そう疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

その答えを教えてくれるのが、パリで開催される「Japan Expo(ジャパン・エキスポ)」。日本のポップカルチャーに特化したこの大型フェスは、コミックマーケット(コミケ)と商業系のゲームイベントを融合させたような空間で、二次創作から企業ブース、ライブ、コスプレまで幅広いジャンルが一堂に集結します。

毎年7月上旬に行われ、2025年は7月3日〜6日に開催されました。夏休みで混雑し始める7月20日以降を避けたい人にも、ぴったりの時期。今回は筆者が現地で体感した、熱気あふれる日本カルチャーの「いま」をレポートします。

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コミケ+ゲームフェス?二次創作が主役の“ごった煮”空間

二次創作のほかに「日本っぽいイラスト・グッズ」も

ジャパンエキスポでまず驚いたのは、企業ブースと同人サークルが自然に共存していること。日本のイベントでは分けて扱われがちな二次創作と商業作品が、ここでは同じフロアで並び、どちらにも人が集まっていました。

ブースの数が多かったのは、個人の創作によるグッズやイラスト、同人誌たち。日本のアニメや漫画をモチーフにした作品がほとんどで、クオリティも高めです。

任天堂やSEGAなど企業ブースはあるものの、数は少なめ。日本の中小企業が出しているインディーズ・ゲームが大好きな筆者は「もっとほかの日本企業も、ブースを出せば儲かりそうなのに!」と歯がゆい思いをしていました。

しかし、帰り道で来場者の荷物を見て納得。手に紙袋を下げている者は少ないのです。「いいものがなかったから、買わなかった」のではなく、みんなニコニコして、とても満足している様子。

日本のコミケ帰りには、スーツケースを持って引いている人や、いかにも重そうなリュックを背負っている人がほとんど。フランスでは「買う」より「体験する」方が大事にされているのかもしれません。

踊って、遊んで、体感する。“コト消費”型フェス

新発売の「Nintendo SWITCH 2」は大人気!

ステージ前ではダンスパフォーマンスが始まり、あちこちにコスプレイヤーの輪ができ、試遊ブースでは大人も子どもも、新作のゲームに熱中しています。日本のコミケのように“目当ての作品を買いに行く”というスタイルとは違い、会場全体が「体験型アミューズメントパーク」のような雰囲気。

歩いて眺めるだけでも楽しく、知らないアニメやゲームでもその場の空気に身を任せれば自然と盛り上がってしまう——そんな“夏祭り感”がこのイベントにはあります。アニメや漫画に詳しくない人でも気後れせず楽しめる、間口の広いイベントです。

年齢も性別も飛び越える。誰もが主役になれるコスプレ文化

男女ともに、きちんと着替える場所がある

とくに印象に残ったのがコスプレの多様性。『鬼滅の刃』をはじめとした人気作品のコスプレイヤーが多く見られましたが、日本と違って男性や中高年の姿も目立ちました。中年の男性が堂々と柱のコスプレで歩いていたり、子どもとお揃いの衣装で歩く家族も。

これはフランスに根付くカーニバル文化の影響かもしれません。先生や親が仮装して町を歩くことが日常の一部だからこそ、年齢や立場に関係なく「自分がなりたい姿になる」ことに抵抗がないのです。誰もが主役になれる空気が、会場全体にあふれていました。

昔は「子どもっぽい」といわれた。それでも今、確かに広がる日本文化

日本のおやつやご飯もズラリ

実をいうと筆者は、パリに住む前に「フランスで日本文化がこんなに盛り上がっている」と思っていませんでした。

それは、大学時代にトゥールーズに留学していた頃、漫画が好きだと話したら「それは子ども用のものでしょ? 大人が読むとしても、駅で電車を待つ間に読んで、読んだらそのままゴミ箱に捨てるようなものだよ」といわれたことがあるから。ルームメイトにアニソンを聞かせたら、渋い顔をされたこともありました。

だからこそ「クールジャパン」といわれても、日本が一方的に盛り上がっているだけじゃないかと、どこか冷めた目で見ていました。それでも約十数年ぶりにフランスに戻ってきて、その印象が大きく変わりました。書店では日本の漫画がずらりと並び、町なかで広告を見かけることもしばしば。フランス人には必ず「この漫画が好き!」と語られますし、イベント会場では老若男女が日本の作品に熱狂しています。

もちろん、これはトゥールーズという地方都市と、パリという国際都市の差かもしれません。でも同時に、時間の流れが、日本文化をじわじわと受け入れさせてきたのだとも感じました。「フランスで日本文化が流行っているのは、日本人が思い込んでいるだけ」と思っていた自分の考えが、音を立てて崩れていくような体験でした。

3Dプリンターで作られたポケモンたち

かつて「子ども向け」と見なされていた日本の漫画やアニメが、今やフランスでここまで愛されていることに、少し誇らしい気持ちになりました。

アニメや漫画が好きな人はもちろん、「なんとなく興味がある」くらいの人でも楽しめるジャパン・エキスポ。夏の旅行先にフランスを選ぶなら、混雑前の7月上旬、このカルチャーの祭典を訪れてみてはいかがでしょうか。

■ジャパン・エキスポ・パリ
住所:Parc des Expositions de Paris-Nord Villepinte
アクセス:RER B線「Parc des Expositions」駅すぐ
営業時間:2025年は7月3日(木)〜6日(日)
入館料:1日券 約25ユーロ〜(公式サイトでの事前購入がおすすめ)
URL:https://www.japan-expo-paris.com/ja/
※開催日程は毎年異なるため、訪問前に公式サイトで確認を。

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