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スペイン国鉄Renfeが運行するセルカニアス(cercanías)は東京で例えると中央線や総武線、京浜東北線に相当する都市と近郊の町を結ぶ電車です。スペインではアストゥリアス、ビルバオ、カディス、カンタブリア、マドリード、マラガ、ムルシア/アリカンテ、バルセロナ、サン・セバスティアン、セビーリャ、バレンシア、そしてサラゴサで運行しています。バレンシア郊外に住んでいる私がバレンシア市内に行くときにいつも利用している大切な足です。
2022年9月、物価高騰とエネルギー危機への対策として、また市民の経済的負担を軽減し持続可能な移動手段を推進するという目的でセルカニアスの“無料パス”が導入されました。9月、1月、5月から4か月有効のパスで、最初にデポジットで10ユーロ払わないといけないものの、期間中に16回使えばデポジットが戻ってくるというサービス精神旺盛のシステム。戻ってこないとしても、何回か乗れば10ユーロの元が取れるお得感で大人気でした。
私がいつも使う最寄駅からバレンシア北駅までは往復8.70ユーロ(現在のレートだとおよそ1500円)だったのが、実質無料になったのはとてもありがたいことでした。郊外住まいの友人も通勤のための定期券代が1か月で約120ユーロ(2万円弱)だったので、かなりの節約になったと話していました。このシステムの影響で電車を利用する人の数は目に見えて増えました。車に乗らず電車を利用する人、無料だから頻繁に利用する人が増えたということになりますね。
が、残念ながらこの無料パスは今年の6月末で終了し、今月からは新しいシステムが始まりました。
現在は正規料金以外に、お得な10回券、一般定期券、青年用定期券、子ども用定期券を利用してセルカニアスに乗車することが可能です。
◆10回券
料金は利用する区間によって変わりますが、利用開始から1年間有効です。私がいつも乗る地元駅からバレンシア北駅を例にとると、1回あたりの乗車運賃は半額以下になります。これは複数人で使用可能なので、友達や家族で旅行する方はメリットがありそう。利用開始の15日前から購入できます。
◆一般定期券
これは個人用で20ユーロ。そのエリアのセルカニアが1か月間乗り放題になります(私の場合はバレンシアエリアで、計6路線)。これも利用開始の15日前からの購入が可能です。旅行で来る方でも、泊まってる場所や訪問する場所によってはメリットが出ますね。
◆青年用定期券
1999年1月1日から2010年12月31日生まれの青年が対象で、月額10ユーロで1か月間乗り放題。個人用で、購入時には交通省発行のコードが必要になるため、このURLから登録しないといけません。これも15日前から買うことができます。
◆子ども用定期券
これまでは子ども料金がなかったので小学生からは大人料金でしたが、2011年1月1日以降に生まれた子どもは今年12月31日まで無料で乗り放題になります。これも個人用で、青年用定期券と同じリンク先で登録し、そこで発行されたコードが必要になります。
現時点での対象エリアはビルバオ、カディス、マドリード、マラガ、ムルシア/アリカンテ、バルセロナ、サン・セバスティアン、セビーリャ、バレンシア、サラゴサ、カルタヘナーロス・ニエトス、フェロル、レオンになります。アストゥリアスとカンタブリアでは、この8月31日まで無料パスが延長されています。
10回券や新しい定期券はRenfeセルカニアスのアプリ、もしくは駅の窓口か自動券売機でお求めいただけます。10回券以外のものは個人用となるため、買う場合にはNIEやパスポートの身分証明証番号が必要です。
定期券は個人用なので、所有者以外が使用すると無賃乗車扱いになり、定期券自体も無効になるのでご注意ください。未使用期間の払い戻しはなく、発覚後60日間は定期券の購入ができなくなります。
Media Distancia(中距離列車)やAvant(中距離高速列車)を繰り返し利用する方にもお得になるシステムがあるので、詳しくはRenfeのサイトの該当ページをご覧ください。
円安が続いてるので、スペイン滞在中は多少の交通費でも節約できるなら節約したいですね。今回の近郊電車セルカニアスの10回券や定期券情報がどなたかのお役に立つことを願っています。