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こんにちは~。岡山特派員のmamiです。
和暦では大暑を迎え、一年でも最も暑さが厳しい季節に入りました。
各地で夏祭りが盛んですが、岡山市西大寺地区では、一年で一番の大潮となる旧暦6月15日の満月の夜に亀石(かめいわ)神社の『満潮祭』が開催されます。
提灯で装飾されたシャギリ船が笛や太鼓、鼓などを鳴らしながら湾内を巡行し、打ち上げ花火が満月の夜空を彩ります。2025年は、7月9日が旧暦6月15日にあたり、華やかに執り行われました。
岡山市東区水門町の水門湾の一角に海上交通の守り神を祀る「亀石(かめいわ)神社」があります。
県道232号線沿いの鳥居をくぐると砂浜になり、左に亀石宮、右に亀の形をした大きな岩があります。この亀石が神社の御神体となり、地元では”亀石さま”として親しまれています。
伝説では、神武天皇が東遷の時、水先案内をした神様が乗った亀が石となり祀られたといわれています。『神武東征』の時代にまで遡ってしまうほどの歴史がある神社です。
日本書紀によると、吉備国の高島の地に行宮(かりみや)を造って3年間滞在し、その間に船舶や武器の準備、兵糧の備蓄を行った上で、再び大和へ向かい出航したという記述があります。高島は今も児島湾に浮かぶ無人島で、祭祀遺跡も残っています。
また、亀石は干潮時にはすべての姿が見られ、満潮時には海水に水没し、首を出して泳いでいる姿に見えるといい、亀石(かめいわ)神社の『満潮祭』は、『亀石まつり』とも呼ばれています。
七時過ぎ、水門湾の土手にやってくると、帆柱から山形に提灯を飾り付けたシャギリ船が待機していました。
想像していた船よりも、ずっと大きな船です。なんでも、この大きさの船が浅い湾内を巡航できるのは、年に一度の大潮のこの日だけだそうです。
シャギリ船には、小学生が乗り込み笛や太鼓の祇園囃子を奏でていました。元々は男子だけが乗り込むことを許されていましたが、少子化により子どもの数が減るにしたがい女の子も乗り込むようになりました。
日が暮れはじめると亀石神社の境内には灯がともり、普段の閑散とした神社とは比べようもないほどの人々で溢れかえっています。県道沿いは露店が並び、歩行者優先となり、八時から始まるシャギリ船の巡行にむけて、水門湾の周りには見物人が続々と集まってきます。
八時になると神事がはじまり、シャギリ船のお出ましです。下流から1隻、上流からも1隻のシャギリ船がゆっくりと出てきて2隻が沖合で出会います。子供たちの奏でる祇園囃子が陸にまでとどき、華やかな祭りの幕開けです。
この祭りに招待してくださった古老の話では、戦前までは4つの町内がそれぞれ1隻のシャギリ船を出し、今よりも多くの人が集い華やかだったそうです。祭りは江戸時代の文政初年に創められ、戦時中に中断したりしながらも現在まで続き約二百年もの歴史があります。
満潮の時刻に合わせ、お神酒をいただきに2隻のシャギリ船が亀岩宮に近づいてきます。浅瀬にこんな大きな船が近づいて大丈夫かとヒヤヒヤしますが、船の操縦は確かです。
お神酒をいただくと、水門湾を再び巡行するためにシャギリ船は沖へ戻っていきます。
2隻が沖に戻ったところで、打ち上げ花火がはじまりました。満月の夜空に花火と巡行のコラボです。シャギリ船からは祇園囃子が流れ盛況な賑わいです。この「シャギリ船行事」は平成26年に岡山市重要無形民俗文化財に指定されました。
いかがでしたか?海上を舞台に繰り広げられる祭りは、岡山市内では、ここ亀石神社の「亀岩宮満潮祭神事」だけだと思います。新聞もテレビの取材もない祭りで、岡山っ子の私がこの祭りを知ったのは、つい最近です。観光化された祭りとは一線を画す素朴な祭りですが、地元住民に紛れ幻想的な満月の夜を過ごしてみてください。
開催期間 旧暦6月15日の開催
開催時間 19:00~22:00 花火の打ち上げ:20:00~21:00の間で数回
開催場所 亀石神社
住 所 〒704-8148 岡山県岡山市東区水門町
公式サイト 岡山商工会議所 公式サイト
交通アクセス(車) 山陽自動車道山陽ICから約40分
交通アクセス(公共) JR西大寺駅からタクシー約15分