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日本で空前のブームとなっているサウナ。街のあちこちにサウナ施設があり、“ととのう”という言葉もすっかり定着しました。では、サウナ文化のない国フランスではどうでしょう?
今回はサウナ愛好家の筆者が、実際にパリで体験した人気施設「グランド・モスク・ド・パリ」のハマムをレポート。日本とはひと味違う、香り高く異国情緒あふれるパリのサウナ事情を紹介します。
「パリのサウナ」と聞いて真っ先に名前が挙がるのが、「グラン・モスク・ド・パリ(Grande Mosquée de Paris)」のハマム。1926年に完成したこのイスラム様式の建物は、観光地としても有名ですが、実は地元の女性たちに愛されるハマム(蒸気風呂)施設を併設しています。
しかし、初めて訪れる人にとっては入り口がとにかくわかりにくい!うっかりすると礼拝堂の方へ入ってしまい、別途入場料を取られてしまうので注意が必要です。筆者も間違えて入ってしまいました。この写真は礼拝堂だからご注意を。
正解はレストランの中。レストランの奥にあるレジの裏側に、ひっそりとドアが隠れているのです。
■施設名:グランド・モスク・ド・パリ ハマム
住所:39 Rue Geoffroy-Saint-Hilaire, 75005 Paris
アクセス:メトロ7号線「Place Monge」駅または「Jussieu」駅より徒歩約5分
営業時間:火曜~日曜 10:00~21:00
注意事項:女性専用
入館料:30ユーロ(ハマムのみ)〜 ※マッサージ等は別料金
URL:https://www.mosqueedeparis.net
靴を近くに置いてあるサンダルに履き替えて、受付で支払いを済ませたら、更衣室へ。日本のように全裸で入る文化はなく、ビキニを着ている人が多いです。上は脱いでいる人がちらほらいても、下はしっかり着用しています。髪が長い人はヘアゴムも忘れずに持参しましょう。
ちなみにロッカーはいくつか鍵が壊れているので、荷物を入れる前に動作の確認をするのがオススメ。筆者も荷物を全部入れたら鍵が壊れていて閉まらず、別のロッカーに移し替えました。他にも鍵が壊れていて移し替えている人がちらほら……。
この「ロッカーの鍵が壊れている」は、フランスではよくあることなので、この施設に限らず、美術館など荷物を預ける時は必ずチェックしましょう。
タオルは最後に貸し出される仕組みです。シャンプーや化粧水などのアメニティは用意されていないため、髪を洗いたい人は持参をおすすめします。
でも、水着のまま体を洗うので、日本のようにがっつり体を洗えるわけではありません。軽い汗流し程度に留めておくと良いでしょう。ドライヤーも少数かつ有料です。
施設内には温度の異なる3つのミストサウナがあります。手前はおしゃべりスペースのようなぬるめの蒸気室。奥に進むほど温度が上がり、一番奥が最も高温のエリアです。ただし、日本の高温ドライサウナに慣れていると、少し物足りなく感じるかもしれません。
そんなときにおすすめなのが、水風呂の横にある石造りの台。ここはじんわりと温度が高く、寝転がると心地よい“ととのい”感を味わえます。水風呂はぬるめで初心者向き。外気浴スペースはないものの、手前のぬるめのミスト室でクールダウンが可能です。
最後にぜひ楽しんでほしいのが、甘く香り高いミントティー。入場料に含まれています。
待合室で待っていても出てこないので、レジの店員さんに「ミントティーください」と伝えると、席まで届けてくれます。飲みながら、ゆったりした気分で体験を締めくくりましょう。
以上、パリで異国情緒を味わえるハマム「グラン・モスク・ド・パリ」を紹介しました。
日本の「高温のサウナ室×キンキンに冷えた水風呂×外気浴でととのう」という三種の神器とは異なり、こちらは“軽やかに温まる”がテーマ。だからこそ、真夏の乾燥したパリでも楽しめます。帰り道に肌の潤いを感じつつ、香りをほのかにまとえるのも嬉しい。
ぼんやりとした明かりとミストに包まれたハマムは、まるで異世界に迷い込んだよう。旅のひとときに、ちょっと非日常なリラクゼーションを体験してみてはいかがでしょうか。