Golden Fleece York
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イングランド北東の都市ヨーク。英国国教会トップのカンタベリー大主教の次に高位であるヨーク大主教が統率する、ヨーク大聖堂(ヨーク・ミンスター)もある古都です。
またローマ人や北欧ヴァイキングの居住跡、13世紀に築かれた市壁をはじめ中世の建築物も多く、歴史探訪を楽しめる観光地としても人気。
そんな長い歴史がある街には、中世から続く宿屋を兼ねたパブも珍しくありません。そこで今回は、5人の幽霊が棲むと言われるパブをご案内しましょう!
ヨーク観光名所として外せないのが、シャンブルズ(The Shambles)と呼ばれる石畳の小径。中世時代には肉屋が並んでいた通りで、古いものでは14世紀の建物も幾つか残っています。
まるで映画のセットのように風情たっぷりの家並みは、ハリーポッターシリーズに出てくるダイアゴン横丁のモデルでは?と噂されるほど。
そのシャンブルズ南端から大通りを渡ると、16世紀から宿屋として続くパブ「ゴールデン・フリース」があります。
イギリスには中世から続くパブが沢山あり、この「ゴールデンフリース」もそのひとつ。ヨーク市に残る文献によると1503年にはその記述があるというから、少なくとも500年以上前に遡ります。
屋号「ゴールデンフリース(Goldn Fleece)」は黄金の羊毛。羊毛交易が盛んだった土地柄をしのばせますね。
元々はコーチング・イン(Coaching Inn)と呼ばれる、馬車ごと乗り入れて泊まれる宿屋の食堂を兼ねていたパブは、今も2階と3階に4つの客室がある簡易宿泊施設B&B(ベッド&ブレックファスト)としても現役。
でも5人の幽霊が棲んでいると噂のあるパブに泊まるなんて、ちょっとドキドキ?!実際に遭遇しなくても、けっこう勇気が要りそうですね。
イギリスの古いパブには、幽霊伝説も付きものと言って過言ではありません。とはいえ5人も棲み付いているなんて、さすがに珍しいほど大所帯。
そこで入口横には、そのメンバー紹介も掲示されています。
・廊下や階段を行ったり来たりしているのは、アリス・ぺケットという貴婦人
・3階に住んでいる男性、ジェフ・モンロー
・たいてい1階のバーで見かけられる、赤いコートを着たワン・アイド・ジャック(片目のジャック)
・同じく1階のバーで、いつもアルコーブ(壁を凹ませた箇所)に屈んでいる、偏屈なお爺さん
・パブの入口ドアの背後でよく目撃される、子供の幽霊
それぞれ個性があって信憑性を感じる反面、しこたま飲み過ぎちゃった泥酔者の幻覚か勘違いかなって気もしますが・・・さて真相はいかに?!
ともあれ幽霊が出るのは夜、というのが定番。それにお客さんで賑わうパブ営業時間は、夜でも遭遇率が低そうですね。
それでもバーカウンターや廊下などに骸骨模型や中世の騎士っぽい甲冑を配し、幽霊伝説を楽しんでいるようです。
また廊下に置かれたテーブルには犬用ウォーターサーバーとボウル、そして「ご自由にお取りください」と書かれたドッグビスケットの瓶も。その背後には常連客たちの愛犬フォトが名前入りで飾られ、思わずほっこり。
幽霊にもお客さんワンコにも優しい「ゴールデンフリース」。ヨークのシャンブルズ周辺に来たら、ちょっと立ち寄ってみませんか?