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【フランス】パリのサウナ事情②ハマム・パシャ(Hammam Pacha)

綾部 まと

綾部 まと

フランス特派員

更新日
2025年9月8日
公開日
2025年9月8日

パリといえばエッフェル塔やルーヴル美術館を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はサウナ好きにとっても魅力的な街。イスラム文化の影響で「ハマム」と呼ばれるミストサウナが多く、独特の蒸気と香りに包まれる時間は、旅の疲れをやさしく癒してくれます。

今回の「パリのサウナ事情」シリーズでは、女性専用のハマムとして人気を集める「Hammam Pacha」を訪れてきました。

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パリに広がる「ハマム文化」とは?

パリの街を歩いていると、カフェやブティックに混じって「Hammam(ハマム)」という文字を目にすることがあります。日本で「サウナ」と聞くと、高温のドライサウナや低温のスチームサウナを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかしパリでは、イスラム系住民の文化が根づいていることもあり、ハマムと呼ばれる蒸気たっぷりのサウナが各地に点在しています。

ハマムは中東や北アフリカにルーツを持つ蒸し風呂文化で、フランスに移住してきた人々によって広まりました。日本のスーパー銭湯のスチームサウナは「少しぬるい」と感じる人も多いですが、こちらのハマムは温度や湿度がしっかりしていて、蒸気の中にアロマが香り立ち、思わず深呼吸したくなるような心地よさがあります。

Hammam Pachaのレポ

ロッカールーム

今回訪れた「Hammam Pacha」は、パリ6区にある女性専用のハマムです。

受付で名前を伝えると、まずはガラスのテーブルに案内され、熱々のミントティーを一杯。砂糖がたっぷり入った甘い味わいで、気持ちがほっと和らぎます。

その後はロッカーへ。カードをかざすと扉が解錠され、中にはスリッパ・ガウン・タオルがセットされています。この日はうっかり水着を忘れてしまったのですが、受付の方が「大丈夫よ」と笑顔で紙パンツを渡してくれました(無料で用意されていますが、周囲の人はほとんど水着を着ていたため、初めて行く方は忘れずに持参するとよいでしょう)。

準備を整えたら、ガウンを羽織って奥のサウナエリアへ向かいます。

 

ミストサウナ VS ドライサウナ

左奥がミストサウナ

サウナエリアには、2種類の部屋が用意されています。ひとつは木の香りが心地よいドライサウナ、もうひとつは蒸気たっぷりのミストサウナです。

ミストサウナは扉を開けると、立ちのぼる蒸気とともにアロマの香りが広がり、思わず深呼吸。朝一番の時間帯だったこともあり、アロマもしっかり香っていました。上段のベンチに座るとじんわりと汗が流れ出し、息苦しさはなく、心地よい温熱感に包まれます。寝転んでいる人が多く、寝サウナもできます。

ひと汗かいたあとは、水風呂へ。キンキンに冷たいタイプではなく、初心者でも入りやすい優しい温度です。「水風呂は苦手」という方にもおすすめできます。

一方でドライサウナはやや小さめで、温度は高めですが、発汗はゆるやか。木の香ばしい匂いが漂い、静かに汗を流すのに適しています。11時を過ぎると利用者が増え、満室で入れないことも多いので、ドライサウナに入りたい人は朝一番がいいでしょう。

 

ドライサウナ

内気浴で異国へトリップ

休憩スペース

サウナでしっかり汗をかいた後は、休憩スペースへ。ガウンを羽織り、ごろりと横になります。屋外に出るわけではないので「外気浴」ではありませんが、涼しい空気に包まれるのと、内装が豪華なので、浴場から移動する価値は十分にあります。

タイル模様やアーチ状の天井はイスラム建築を思わせ、ここがパリであることを忘れてしまうほど。色鮮やかなランプの光や、壁に描かれた幾何学模様に囲まれていると、異国を旅しているかのような気分になります。

ここの魅力のひとつは、滞在時間に制限がないこと。入場料を支払えば、好きなだけサウナや休憩を繰り返すことができるので、その日の体調や気分に合わせて自分のペースで過ごせます。

フランスで暮らす中での「心の避難所」

ミントティー

フランスで暮らしていると、言葉の壁や文化の違いに直面して落ち込むことがあります。仕事の場面で周りが冗談を言って笑っていても、自分だけ意味が分からず愛想笑いでやり過ごしたり、子どもの学校の保護者会で会話のスピードについていけず孤独を感じたり――。ふと、心の置き場所に困る時があるのです。

そんな時に訪れたハマムは、不思議と安心感を与えてくれました。ここはもともと、フランスにルーツを持たない人々が文化を持ち込んで作り上げた場所。だからこそ、外国人の私にも親近感がわき、心が落ち着いたのかもしれません。「異国で暮らす疲れ」を癒す、小さな避難所のように感じました。

パリに長期滞在して少し疲れてしまった時、観光の合間に静かに自分と向き合いたい時。そんな時にこそ、このハマムを訪れてみてはいかがでしょうか。心身ともにリフレッシュして、また新しい気持ちでパリの街に向き合えるはずです。

施設情報
■施設名:Hammam Pacha(ハマム・パシャ)
住所:17 Rue Mayet, 75006 Paris, France
電話番号:+33 1 45 48 14 35
アクセス:メトロ12号線「Falguière(ファルギエール)」駅から徒歩約1分、モンパルナス駅から徒歩約8分
営業時間:火曜〜日曜 10:00〜22:00(※月曜定休)
入館料:37ユーロ〜(コースにより異なる)
URL:https://www.hammampacha.com/

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