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パリから少し離れて、違うフランスの顔を見てみたい――そんな人におすすめなのが郊外の町・ピュトー(Puteaux)です。超高層ビルが立ち並ぶラ・デファンスのすぐ隣にある、高級住宅街。すれ違う人が笑顔で挨拶を返してくれる、落ち着いた雰囲気とあたたかさを併せ持った町です。
小さな町ですが、道端の花や石畳の路地など、思わず写真をたくさん撮りたくなるほど魅力的なスポットがたくさん。今回はそんなピュトーのおいしいお店と、そこで起きた小さなハプニングを紹介します。
パリ中心部からメトロ1号線またはRER A線でわずか20分ほどにあるラ・デファンス。高層ビル群が広がり、日本でいえば丸の内のようなビジネス街の印象を受けるでしょう。そのすぐ横にあるのが今回ご紹介する町・ピュトーです。
落書きのない清潔な通り、整えられた植え込みや花壇、石畳の路地など、どこか古き良きフランスを感じさせます。観光客は少なく、地元の人々の穏やかな暮らしがそのまま息づいているのも特徴。治安が良く、旅行者も安心して散歩できる環境が整っています。
ここでぜひ立ち寄りたいのが、ベトナム料理店 Au Viet(オー・ヴィエット) 。一人でも入りやすい、カジュアルで親しみやすい雰囲気が魅力です。
看板メニューの牛肉フォーは、たっぷり盛られた麺と澄んだスープが絶妙な一杯。ボリュームがありながらも、ハーブの香りが爽やかで最後まで飽きずに食べられます。価格は13ユーロと手頃で、パリ中心部のレストランと比べてもコスパの高さを実感できるでしょう。
地元の人でにぎわい、旅行者にとっても「現地の暮らし」に入り込んだような感覚を味わる穴場。ピュトーに来たらぜひ立ち寄りたい一軒です。
■Au Viet
住所:9 Rue Anatole France, 92800 Puteaux
アクセス:メトロ1号線「Esplanade de La Défense」駅から徒歩約7分
営業時間:11:30〜14:30、18:30〜22:30(月曜定休)
URL:https://auviet.fr
朝ごはんに立ち寄りたいのが、地元で人気のパン屋 Boulangerie TAMASINI(ブーランジュリー・タマジーニ) 。ガラス越しに並ぶパンやケーキはどれも美しく、朝から次々とお客さんが訪れます。
特にクロワッサンはサクサクとした食感と香ばしい風味が絶品。パンを片手に近くの公園で朝食を楽しむのもおすすめです。筆者もクロワッサンと片手に公園へ向かっていたのですが……途中で思わぬ出来事が起こりました。ポケットに入れていたはずのホテルのカードキーがなくなっていたのです。
慌ててパン屋に戻っても、見つからず。「あんなに写真ばっかり撮っていたから、落としちゃったんだろうか」と自分を責める気持ちが押し寄せます。さらに、調べてみると紛失すると50ユーロの弁償が必要とのこと。せっかくの朝の散歩が、一転して憂うつな時間に変わりました……。
■Boulangerie TAMASINI
住所:3 Rue Chantecoq, 92800 Puteaux
アクセス:メトロ1号線「Esplanade de La Défense」駅から徒歩約10分
営業時間:7:00〜20:00
諦めきれずに、撮影していた写真をたよりに歩いた道をもう一度たどり直しました。すると、ホテルを出て最初にシャッターを切った場所の前に、カードキーが落ちているのを発見。胸をなで下ろすと同時に、「やっぱり写真を撮っていてよかった」と強く感じました(数秒前までは「あんなに写真ばっかり撮っていたから」と後悔していたのに笑)。
カードキーが無事に見つかって改めて感じたのは、この町の治安の良さ。人通りのある場所に落ちていたにもかかわらず、誰かに拾われたり悪用されたりすることなく残っていたのです。
一方で、こんなに治安が良くて天国のような街だからこそ、油断していたのかもしれません。私の住んでいるような治安の悪い町なら、もっと気を引き締めていたはず。こんなうっかりはしなかったでしょう。平和は心を和ませてくれるけれど、私のような人間には適度な緊張感も大切なのかもしれません。
それでも、フォーの一杯やサクサクのクロワッサンに出会える喜びと、地元の人々の笑顔があふれる街並みは、パリ中心部では得られないもの。パリからわずか20分で行けて、観光地の喧騒から離れて“もうひとつのフランス”を感じられる町--そんなピュトーを、ぜひ体験してみてください。